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昨日23日は
「東京虫食いフェスティバル:番外編」



虫ドル、カブトムシゆかりちゃんや
デコゴキアーティスト・岡本リサさんなど

今までの虫フェスにはありえない女子っぽさを
楽しんできました。

写真をいただけたら、まとめと今回の15分ネタ
「アラサー部屋昆」をここでも記事にしようと思います。

(絵は、イラストレーター栗生ゑゐこさんに書いて頂きました。)

さて、
虫フェス前日に見つけました。
セイタカアワダチソウについていた ハムシ

ヨモギハムシ Chrysolina aurichalcea
オス


こっちはメス


交尾中のところを捕まえてきました。

セイタカアワダチソウは今年の河川敷を覆い
大変なことになっています。

それらを食べてくれるのだったら・・駆逐してくれたらいいなぁ

ともあれ味見です。

ヨモギハムシ・オス
キク科の強い味はなく、ほのかに春菊の香りがあるのみ。プチッしゃりっとした食感がほどよく外皮は固くない。

メス
強いヨモギの香りがあり、苦味もある。ここまで大きく違うとは驚き。腹部が卵でふくれているため脂質のコクが強く、オスより特徴が強い。外皮は割と柔らかいので、もっとおいしい葉を食べさせるともっとよくなるかと。ヨモギを食べさせてみたい。

ここまで雌雄で味が違うのも珍しいですね。
モチや団子に入れればヨモギハムシモチ ヨモギハムシダンゴになりそうです。


蓬葉むし団子。
蓬葉むし餅
とても風情のある名前ですね。これは売れそうです。



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気づいたら外は冬。
バッタもめっきり減ってしまいました。

今回は養殖昆虫。
カブラハバチ Athalia rosae です。


ハチといえば社会性のミツバチやスズメバチを想像しますが、
ハバチはその名の通り葉を食べるハチの一種。単独で暮らします。
そして刺す針を持ちません。

日本産のハバチは720種記載され、
未記載種を含めると1000種を超えると言われる大きなグループです。

バッタ目が370種ですから、
植食性の昆虫の中でも開拓しがいのある、
そして分類が難しいグループです。

今回は
養殖された研究用のものを分けていただきました。



ハバチは様々な食草に対応し、それら植物の防御物質に巧みに対応しています。

カブラハバチは多くの生物にとって毒であるアブラナ科の
毒を巧みに利用しています。

この利用法はなかなかトリッキーです。

直接的な毒成分は、イソチオシアネート


という化合物で、
これは植物にとっても毒なので、
通常は糖と結合した数種の前駆体(総称してグルコシノレート)が液胞に隔離されています。
これが細胞ごと昆虫などに破壊されると、細胞内にある酵素ミロシナーゼが
反応し、イソチオシアネートを生成するのです。

イソチオシアネートは
ヒトが食べても問題なく、むしろカラシとして好む味なので、
ヒトは多くのアブラナ科の植物を野菜として品種改良しました。

大根おろしをすりおろしてからちょっと置くと辛くなるのは、
この酵素反応に寄るものです。

そのため、殺虫剤が開発される前は、
アブラナ科の作物は自前の毒成分で
葉の食害を防いでいたのです。

この
カブラハバチはアブラナ科に適応した天敵で
その適応方法はなんと、血液(体液)中に
グルコシノレートを輸送してしまうのです。
すりつぶした植物に含まれるミロシナーゼが、
毒素イソチオシアネートを生成する前に、
消化管から体液中に移動させてしまうことで、
毒の生成を抑え、植物の栄養成分を悠々と消化することができるのです。

今回読んだ論文はコチラ


別の昆虫、コナガの仲間は
ヒトと同じように分解しているそうなので、
昆虫によって植物毒の回避方法は様々です。

このカブラハバチにとっては
毒の基質を積極的に取り込むことによって
捕食者への毒として機能させることが出来るので
一石二鳥で素晴らしいですね。

蛇足ですが、
このカブラハバチのカラシ油輸送を止める遺伝子操作をすると
彼らは何の影響もなく元気に生きているそうです。
なので、毒に耐える、しかもそれを利用する、
という二段構えといえそうです。

ということで、
アブラナ科の植物毒を好んで食べるヒトと
それを体液に溜め込む
カブラハバチとの出会いは必然といえるでしょう。

味としては
体液に濃縮されたカラシ成分が期待されます。

味見
期待したほどのカラシ味はなく、茹でた大根菜を白和えにしたような、柔らかくタンパクな味。
プチッとした食感と柔らかさが好ましいので、ちりめんじゃこなどと和えて食べると美味しそう。

おっと
勘違いをしていました。
辛味成分、イソチオシアネートは生成していないので
グルコシノレートの味が味わえるはずです。
なので、
「ゆでた大根菜」は酵素を熱で失活させる調理なので
まさにグルコシノレートを舌で検出したといえるでしょう。

セイヨウカラシナというもっと辛味成分の強い食草も食べるので、
薬味として使うのならば辛味を追加したい所です。
また、体液と酵素を反応させる、という意味で
すりつぶして消化管と体液を触れさせ、
しばらくおいておくと辛味が増えるのかもしれません。

そして
このグルコシノレート

癌のリスクを下げる、アレルギーのリスクを下げる効果があるようです。

健康食品のマカ(アブラナ科)も
グルコシノレートの効果を期待したもの。


食べてみましたが。
まさにカブラハバチの味

濃縮されたグルコシノレートが
含まれている気がします。

ということで、
酵素反応していない、
「生きた(意味深)グルコシノレート」

を食べるには、カブラハバチが一番、といえるでしょう。



そう考えると
サクラを食べる幼虫を今までにいくつか食べましたが

サクラケムシ
に比べ
モモスズメカレハガの方が
香りが少なく感じました。

サクラに含まれる桜の香り成分、
クマリンも毒ですので
前者は積極的に体液に輸送して利用し
後者は影響のないよう分解していたと考えることができます。

毒植物×単食性昆虫の組み合わせは、
ヒトの植物利用を更に発展させるものといえるでしょう。

今回の記事は 
農業生物資源研究所 
主任研究員  畠山 正統 博士の
ご協力を頂きました。

御礼申し上げます。

また、カブラハバチは
さらにステキな性決定様式や
単為発生の条件とか・三倍体とか

遺伝学的にヒャッホイな性質があるので、
また続報ができ次第紹介させて頂きます。

やはり基礎的な研究の進んでいる昆虫は
「話が早い」というか。
深みがありますね。
すべての昆虫基礎研究者に
協力をいただけるよう、精進したいと思います。








秋ももう終わりに近づいてきました。
朝晩の冷え込みはもう氷点下に迫る勢い。

そんな中、セイタカアワダチソウを盛んに飛び回る元気な虫が。


ナミハナアブ Eristalomyia tenax Linnaeus

ぱっと見ミツバチによく似ています。擬態のようです。
冬なのにとても活発で、見ているとこちらも元気が出てきます。



幼虫は腐植食性で下水溝などに生息
成虫は花粉を食べるとのこと

成虫の食い物がファンシーなぶん、幼虫の食い物が気になります。
下水…ううむ。 悩ましい。

食べるかどうか迷いました。
が、近頃新しい昆虫を食べていないので、開拓したいとの思いや
成虫は花粉食だしクリーンだろうとの勝手な判断から
味見してみることに。

くれぐれも加熱は十分にいたしましょう。

以前に食べたシオヤアブのように
大型の双翅目はけっこうクセのない美味しいものが多そうです。
先入観なく食べてみることが大事かと思います。

味見
目がカリッとしており、全体的に柔らかい印象。味も全くクセがない。胸部の毛にポン酢の絡みもよいので薄味がおすすめ。毛の悪い食感はほとんど感じられない。

味は良かったのですが。。。
衛生的にどうなのか不安が残ります。

やはり腐植食性の昆虫はコントロールされたエサで育てて食べるようにしたいものです。

某大学の昆虫学研究室におじゃました所、
スジコナマダラメイガがよく成長しているとのことで
味見させてもらえることになりました。

昆虫学研究に使う昆虫は、
フィールドに繰り出して観察・採集する場合と
研究室で養殖する場合の二通りが考えられます

昆虫の養殖には日本の「蚕学」が大きな足跡を残しています。
年中桑の葉が無くても飼育できる人工飼料「シルクメイト」
もその成果の一つです。

生糸の輸出で得られた膨大な外貨の一部を投資し
安価で安定した成分で、しかし決してクワの生葉に
負けるような成長率ではイカン。というシビアな条件を
試行錯誤した探した結果が
シルクメイトなのです。

蚕の食べる葉の量は成長に従い一気に増大し、
その
大部分は終齢幼虫に集中します。
そのため、クワでの飼育はこの終齢だけにし、
小さな幼虫はシルクメイトで簡便にすることで、
ヒトの手間を抑える事ができるのです。

ですが、問題点があります。
「糞不味い」のです。

生糸生産には全く影響はないのですが、
防腐剤や添加されている桑の葉の味やニオイがキツくて、
どうしようもありません。

近くの研究室の方に、
余ったゴマダラカミキリを頂いたのですが
これがシルクメイト飼育だったために

どの成長段階もシルクメイトの土臭いクワの香りがついてしまい
まったくあの美味しいカミキリの味を楽しむことが出来ませんでした。

憎きクソマズシルクメイトを、美味しい配合飼料に…
交換したいところですが。

ご賛同いただける
飼料会社のみなさま、
実用化をおまちしております

さて、今回の味見は
スジコナマダラメイガ  Ephestia kuehniella
 
左 幼虫 右 蛹


乾燥したトウモロコシをエサとし、
まったく水を飲まずに成長できる
脅威の生態の持ち主です。

貯蔵された乾燥済みの穀物を食べるため
「貯穀害虫」と言われます

コーンを食べるため 香ばしい香りが期待されます。
小さいので、幼虫と蛹をわけて一口で5,6匹一緒に頂きました

味見

幼虫
プチッとした食感が小気味よく、シャクッとした食感も好ましい。残念ながらトウモロコシの香ばし香りは少なめ。普通の味。


外皮がさくさくとして食感がよく、脂質が強めで味はあっさり。
カシューナッツぐらいの味。たくさん食べられそう少し収斂味がある。香ばしさは幼虫より強い。

貯穀害虫は
ヒトの食糧の敵でもありますが、
うまく使うと、ヒトが安定的に生産する農産物から
昆虫食糧へとつなげる架け橋となるかもしれません。

そして今回、某大学の研究室をお借りして味見を行ったのですが
わかったことがあります。

「昆虫学をやっているからといって昆虫をたべられるわけではない」

前途は多難です。
もっと美味しい昆虫をプレゼントして
仲間を増やそうと思います。。。
直翅目は

甲虫類のように固い外皮はなく
成長も早いものが多く
世界中で多くの種が食べられています。

このブログでも数多くの直翅目を食べてきました。
私の研究相手の

トノサマバッタ
を始め
ヒゲマダライナゴ
ショウリョウバッタ

コバネイナゴ
ツチイナゴ
タイワンツチイナゴ
クルマバッタ、クルマバッタモドキ

オンブバッタ ショウリョウバッタモドキ

コロギス
キリギリス クツワムシ
エンマコオロギ アオマツムシ スズムシ サトクダマキモドキ
ヤブキリ クサキリ
クビキリギス
ヒメクサキリ
マダラカマドウマ
ヨーロッパイエコオロギ フタホシコオロギ
ミツカドコオロギ

そして、
今回登場 ケラ Gryllotalpa orientalis

しばらく会えなかったのですが、
昔から大好きな昆虫です。
Mole crkicket の英名の通り、
モグラのような生態で、土を掘りながら昆虫や
ミミズから植物の根まで
なんでも食べ、この重そうな外見に反して
泳いだり空も飛べる万能選手です。

多芸だけれどどれも一流でない様子を
「おけらの七つ芸」
と言われることもあり、ちょっとかわいそうですが。

タイでは灯火採集で多くのケラが食べられていますが
残念ながら養殖には至っておらず、研究用の飼育継代も
なかなか難しいのが現状のようです。

さて 写真を見てみましょう。


かわいい。 

頭をすっぽり覆うように張り出した前胸背板。
力強く土をかき分ける前肢
コオロギに似たふくよかさの腹部。
直翅目にしては貧弱な後肢。

丸く輝く瞳(複眼)

前胸と中胸の間がフレキシブルに動くのも
愛嬌が増す感じがします

直翅目ではコロギスとならぶ可愛らしさではないでしょうか。

子犬ぐらいの大きさでフェレットの飼育ケージ
飼えたらさぞ大人気になるでしょう。

ならないですか。そうですか。

さて
大事に味見いたしましょう。

味見
やっぱりうまいなぁ。英語名 Mole cricket(モグラコオロギ)の名に恥じないコオロギ味。甘みが特に強く、濃厚なコクがあり高カロリーな感じ。茹でても赤くならないのでバッタとは違う茶色色素がありそう。

このケラ
日本には小型のものしか分布していないのですが

熱帯のものはもっと大きく
フロリダ南部には害虫として侵入し
農作物に被害をもたらしています。

天敵の不在で増えすぎたケラが
植物の根を食べてしまうのです。
家畜用牧草地へ600万ドルの被害とのこと。

ここで活躍しているのが「サウンドトラップ」

オスの求愛歌を流すことで
交尾シーズンのメスを効率的に誘引し
産卵を妨害するものです。


こんな子供用プールに
バケツを付けたような簡素なもの


結果は絶大です。17,000匹のケラが一晩で採れたとのこと。



もう採れたてのエビ
にしか見えませんね。

伝染病の媒介ではなく、食害が問題になる場合
対策の要は「卵を産ませないこと」です。

そのためメスの対策が重要になります。

同様の目的で
不妊オスの放虫や、合成フェロモンによる
交尾撹乱などが行われる場合もあります。


もちろんサウンドトラップにも長所と短所があり
交尾器の春と秋の二回しかとれないので
落とし穴式トラップとも併用するそうです。

生態をうまく利用した収穫方法として
参考にしたいところです。

ケラをビニールハウスで養殖し、食べごろのメスだけ
求愛歌で集めて収穫、というのもいいかもしれません。









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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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