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だいぶ前にまとめたものを放流しておきます。



某大学の昆虫学の先生から聞いた話ですが

「昆虫食をテーマにしたい」
学生が増えているとのことです。

どれほど人数がいるかわかりませんが
そう考えて頂くのはとても嬉しいです。

しかし、現状では高いハードルがあります。

以前書きました通り、
応用昆虫学をベースとして包括的な昆虫食の実現を目指す実学、
「昆虫食学」を我々食用昆虫科学研究会は構想していますが

その方面では、まだ「学術研究未満」です。

そして
昆虫食は欧米では失われた文化的な事象として
文化人類学の分野で先行研究が多くなされています。
その時に栄養学的な解析が併せて行われることも多いのですが

「伝統的昆虫食文化がその地域においてどのような機能を担っていたか」
を示す目的で行われています。
つまり、現状はあくまで社会科学・人文科学の学問領域なのです。

この路線で行きたい場合は、
立教大学文学部 野中健一教授 (地理学 生態人類学)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1748-5967.2009.00240.x/abstract

ピッタリかと思います。
著書も多く出されている民俗昆虫学の先生です。
大変多忙なため、アポイントが取りにくい先生です。

野中先生の分野に昆虫学、つまり自然科学系の学問を融合させると
いわゆる「学際的」となり、なんだかカッコよくて、時代の先端を行っているようで
聞こえはいいですが

昆虫食に限らず、学際的な研究は
学生にとってのデメリットが大きい場合が多々あります。

学生の
受け入れ先のパターンを比較してみましょう。


昆虫食の講座のある大学院を選ぶ

昆虫食について活発に論文を書いている大学は
私の知る限り野中先生の他に2つです。
他の団体はFAOの報告書にも見当たりませんでしたので
あっても小規模でしょう。
(ご存知の方いらっしゃいましたらお知らせください)
ワーヘニンゲン大学&研究センター
http://www.wageningenur.nl/en/Expertise-Services/Chair-groups/Plant-Sciences/Laboratory-of-Entomology/Edible-insects.htm

「ウシと昆虫の温室効果ガス」を比較した論文が有名です。

Wageningen UR (University & Research centre).
‘To explore the potential of nature to improve the quality of life’
生活の質の向上を達成する自然潜在価値の発見


ただ、教授の個人ページによると
http://www.wageningenur.nl/en/Persons/prof.dr.ir.-A-Arnold-van-Huis.htm?subpage=scientificpublications


個人的にお付き合いがないので、類推になりますが
作物学、植物学の教授であることがわかります。
つまり、昆虫学の体系的な教育を受けていない可能性があるのです。

論文に使用した昆虫も、だれでも簡単に購入、養殖できる
コオロギやミールワーム、ゴキブリを使ったものが多く見られます。

コンケン大学 農学部 作物学専攻 昆虫学講座
http://ag.kku.ac.th/entomo/english/aboutus.html

コンケン大学は、大学主導でコオロギの養殖を農家に指導し、
農村部の所得向上を目指す「参加型開発」というプログラムを行っていますが
あくまで昆虫学の知識は付随的で、「農村開発」を調査することはできるのですが、
昆虫学としての学生の受け入れは難しそうです。

※追記・詳しい話は控えますが、
ここでの昆虫食をテーマにした研究は極めて難しいことがわかりました。
興味のある場合は食用昆虫科学研究会にお問い合わせください。

既存の研究室で昆虫食を研究する

今の研究会の学生は皆この状態です。
開発学・農学が主な分野ですが、いずれもボスの寛大な処置によって
研究が許されていますが、そのボスが昆虫食を専門としないことによって
デメリットがあります。そのデメリットを埋めるための
研究会なので、ぜひ入会していただきたいです。



その他の課題

1,昆虫食の研究の後、どのような職種を目指すのか
昆虫食でメシを食う人は残念ながら日本には居ません。
修士まででしたら、けっこう就職には有利なようです。
(残念ながら当研究会を就活対策に利用されるのはご遠慮ください)

2,その職種につくための指導を誰から得るのか(指導教員の選定)
いわゆる「昆虫食学」を専門として論文を書く教授は残念ながら日本には居ません。
つまり、指導をうける際に、
自分の専門とする既存の学問分野を選択する必要があります。

3,どのような学位論文を目指すのか
博士課程を目指す場合、
学位論文には何を書いても基本的に自由ですが、
審査にあたって数本の国際誌への論文掲載実績が求められます。
私が今、大変に苦労している部分です。


まとめます
「昆虫食をテーマにしたい学生のガイドライン」

1,学問分野の選定

「食」は人類全てに関係するため、
それをテーマにする多様な専門分野があります。

そして、
専門分野にはそれぞれ「学会(学界)」が存在し、
投稿論文にはそれぞれ書き方のマナーがあります。


そのため、まず
「どの専門分野から昆虫食にアクセスしたいのか」を
絞る必要があります。


2,研究室・研究環境の選定

論文をどこに投稿するのか、投稿料は?
私見ですが。「総合的な学問・学際的な学問」は
研究者にとっては他分野への新たな挑戦ですが
学生にとっては両刃の剣ともいえます。

その先生がどのようなバックグラウンドを持つのか
背景を持たない場合は別のどの先生に聞けばいいのか

きちんと相談する必要があります。

その分野のエキスパートが存命・現役であることは
あなたにとってかけがえのない幸運です。

現状、日本の農水系の研究において、
養殖昆虫食へ注目した研究予算は全くありません。

3,ボスを探せ!
昆虫食をテーマに受け入れてくれる教授は
なかなかいません。


論文指導には膨大なな労力と知識が必要なので、
書きたい論文のフォーマットに
慣れている先生を探すことが必要です。

そして
ボスへの絶対的信頼関係が、
自分の学問のためには必要です。

私の「ボス」は今3人目ですが
いずれのボスも学生のことを想っており、
決してコマとして使い捨てを考えるような
ヒトではありませんでしたが

「自分側」の問題で信頼関係を築くことが難しく、断念した経緯があります。

「ボスと絶対的な信頼関係を能動的に築くこと」です。


このように考えることで、
もしあなたの興味が「昆虫食」ではなく

地域開発・国際協力・地理学・昆虫学・など

「既存の学問分野」の範囲内であるのなら、それほど恵まれたことはありません。

公的資金を投入することは先人が既に開拓してくれているので
そこに乗っかって、次の扉を開きましょう。

もし。
どうしてもその範囲に収まらない場合、
それでも恵まれています。アマチュアでも研究はできるからです。
もしその先に公的研究機関での研究に採用されたい場合、
学問以外の努力や戦略が必要になるでしょう。


最近思うのが
「自分の最大の興味が犯罪にカテゴライズされる社会じゃなくてよかった」
ということと、

「自分の最大の興味がオカネのかかる研究じゃなくてよかった」
ということです。

もし麻薬や覚せい剤、未成年との性行為など、
「犯罪」になるものへ興味が募る人生は
考えただけでも辛いと思います。そこに自由はないのです。

また、
ヒト細胞や哺乳類を使った研究はオカネがかかるので、現在過当競争のまっただ中です。
自分の研究ができることを夢見て、過酷な労働を自ら喜んで課している研究者も多く
学生も消耗しています。

私も一度は「生活の安定」が頭をよぎり、
研究費の多そうな学問分野を目指したこともアリましたが
残念ながらそこまで器用でないことが分かってしまいました。

なので、
環境としては決して恵まれていませんが
「それでも残念ながら昆虫食」なのです。

とはいえ、
偶然にも、「犯罪でない範囲」に自分の最大の興味がある、
ということは恵まれたことです。

昆虫食に限らず、「自分の興味」をトライアンドエラー方式で探してください。


蛇足ですが
「考える・考えない」の切り替えについて、最後に紹介します。
「より多くのチャレンジができるかどうか」

を指標にしてみてください。

多くの成功した研究者を見てきましたが、
いすれも「行動量が多い」ことが共通します。

才能や効率ではなく「量」です。

そのため、
「よく考えて行動につながる」条件と
「何も考えず行動につながる」条件を整えてください

「考えすぎて行動できない」
「考えずに行動できない」場合は、

速やかな切り替えをオススメします。

あなたにとって良い学問がみつかりますように。
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質問です!
こんばんは、以前モンクロシャチホコの消化器官を取り除いた方がいいのかについて質問した者です。
再度質問で申し訳ないのですが…
庭の山椒の木についていたナミアゲハ幼虫を現在飼育しているのですが、思いのほか大量のフンをしてくれます。
こちらのブログで以前バッタやカイコガのフン茶を作られていたのを思い出し、こういう感じで使えないか?と思ったのですが果たして大丈夫でしょうか…?
山椒以外の葉は何も与えていないので、山椒の香りのするお茶が作れたりするのかなと思ったのですが…
陣野 2014/05/10(Sat)22:04:49 編集
Re:質問です!
陣野さま
内山昭一さんが食べられていますね。
http://insectcuisine.jp/?p=1397
私はまだやっていません。

山椒を食べたアゲハ本体の味見はしたので
http://mushikurotowa.cooklog.net/Entry/104/
おそらくフンにも反映されていると思います。続報期待します!
【2014/05/11 09:33】
Mushi_Kurotowa
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昆虫料理開発
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人生迷走中 顔はクロトワ似「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか」をテーマに研究開始。食べたら美味くて研究頓挫「昆虫を美味しく食べる調理法とは」に変更/食用昆虫科学研究会 Edible insect science meeting 昆虫料理研究会 趣味自転車;鯨食文化研究;法螺貝;トランペット;リコーダー;鯨歯彫刻
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