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夏眠中ですが、
私の言い出しっぺ企画を引き継いでいただいたので
【拡散希望】でご紹介します。

「外来種スジアカクマゼミを食べる会」の開催が決定しました。
http://kokucheese.com/event/index/196002/



今年5月、
中国本土や朝鮮半島・台湾に生息するセミの一種、スジアカクマゼミが
石川県金沢市に侵入し、拡大しているとのニュースを聞き
http://www.47news.jp/localnews/ishikawa/2014/05/post_20140515063602.html
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20090924103.htm

石川県ふれあい昆虫館の
福富 宏和さんにご連絡しました。

福富さんは虫cafe!2014にも
サプライズプレゼンターで参加するほどのプレゼン上手で、ユーモアがあふれ、
人と虫、一般と虫屋の間をつなぐことに意欲的な専門家です。

昆虫食にも興味を持ってくださっていたので、
「スジアカクマゼミを食べたい」と、お声掛けした所

場所の確保や自治体の担当者の方にも話をつけていただき
あれよあれよという間に実施出来る状態に。

その後、
私の学位取得に向けて、夏眠を決めたので、
来年にまで延期になりかかったのですが、

虫食い仲間のムシモアゼルギリコさんが
この企画を引き継いで下さり
開催にこぎつけました。

私は生き霊を飛ばして参加しようと思います。

とまでに
思い入れのあるこの企画。

「外来種問題をニュートラルに考える」
最適な形ではないか、と思っているのです。

外来種を含め、我々一般人が生物の扱いについて考える時、
どうしても専門家の話に耳を傾けがちです。

また、外来種駆除すべてに反対する集団も存在します。
(彼らは人が目に見える形で生物を殺すことを嫌悪しますが、その目的の達成のために論理が破綻してもいとわないので、なかなか相手をしにくい方々です。)

興味のない人の間では、
「なにもせずに放置」という人もいますが
「なにもしないことがベストである」という議論
事例に合わせてする必要があるので

いずれにせよ、社会において
ベターな解を求めて、きちんと議論しつづけなくてはなりません。

そして、議論の前には、
他人の意見に左右されない「ニュートラル」な
生物との触れ合いが大事ではないか、と思っています。

その形の一つが「食べる」でしょう。
私の経験なのですが、美味しい昆虫にはどうしても愛着がわいてきます。
おいしくなくとも、食べたことのある昆虫には親近感がわきます。

苦手だったカマドウマですら、
今では美味しいリクエビにしか見えてきません。
少なくとも、ぞんざいに扱えなくなります。

そんな彼らをどうすべきか、
知識をつけるのはそれからで十分でしょう。

生物をぞんざいに扱わないために、
きちんと勉強し、議論していく「良識ある市民」
日本の生態系のあり方を舵取りする上で、もっと重要になると思います。

この先、
日本は相対的に貧困になることが予想されています。
その場しのぎの開発や、持続可能性の低い活動により
短期間での経済効果を求めるのではなく、

将来にわたって日本の生態系をどう付き合っていくべきか、
まじめに考えられる人が増えてほしいものです。

ま、ともあれ
彼らはきっと美味しいです。
素敵な出会いとなることでしょう。

日本では金沢にしかいない貴重な食材です。

味のレビュー、お待ちしております。
嫉妬と羨望の眼差しで、聞き耳を立てたいと思います。

ぜひご参加ください。
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だいぶ前にまとめたものを放流しておきます。



某大学の昆虫学の先生から聞いた話ですが

「昆虫食をテーマにしたい」
学生が増えているとのことです。

どれほど人数がいるかわかりませんが
そう考えて頂くのはとても嬉しいです。

しかし、現状では高いハードルがあります。

以前書きました通り、
応用昆虫学をベースとして包括的な昆虫食の実現を目指す実学、
「昆虫食学」を我々食用昆虫科学研究会は構想していますが

その方面では、まだ「学術研究未満」です。

そして
昆虫食は欧米では失われた文化的な事象として
文化人類学の分野で先行研究が多くなされています。
その時に栄養学的な解析が併せて行われることも多いのですが

「伝統的昆虫食文化がその地域においてどのような機能を担っていたか」
を示す目的で行われています。
つまり、現状はあくまで社会科学・人文科学の学問領域なのです。

この路線で行きたい場合は、
立教大学文学部 野中健一教授 (地理学 生態人類学)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1748-5967.2009.00240.x/abstract

ピッタリかと思います。
著書も多く出されている民俗昆虫学の先生です。
大変多忙なため、アポイントが取りにくい先生です。

野中先生の分野に昆虫学、つまり自然科学系の学問を融合させると
いわゆる「学際的」となり、なんだかカッコよくて、時代の先端を行っているようで
聞こえはいいですが

昆虫食に限らず、学際的な研究は
学生にとってのデメリットが大きい場合が多々あります。

学生の
受け入れ先のパターンを比較してみましょう。


昆虫食の講座のある大学院を選ぶ

昆虫食について活発に論文を書いている大学は
私の知る限り野中先生の他に2つです。
他の団体はFAOの報告書にも見当たりませんでしたので
あっても小規模でしょう。
(ご存知の方いらっしゃいましたらお知らせください)
ワーヘニンゲン大学&研究センター
http://www.wageningenur.nl/en/Expertise-Services/Chair-groups/Plant-Sciences/Laboratory-of-Entomology/Edible-insects.htm

「ウシと昆虫の温室効果ガス」を比較した論文が有名です。

Wageningen UR (University & Research centre).
‘To explore the potential of nature to improve the quality of life’
生活の質の向上を達成する自然潜在価値の発見


ただ、教授の個人ページによると
http://www.wageningenur.nl/en/Persons/prof.dr.ir.-A-Arnold-van-Huis.htm?subpage=scientificpublications


個人的にお付き合いがないので、類推になりますが
作物学、植物学の教授であることがわかります。
つまり、昆虫学の体系的な教育を受けていない可能性があるのです。

論文に使用した昆虫も、だれでも簡単に購入、養殖できる
コオロギやミールワーム、ゴキブリを使ったものが多く見られます。

コンケン大学 農学部 作物学専攻 昆虫学講座
http://ag.kku.ac.th/entomo/english/aboutus.html

コンケン大学は、大学主導でコオロギの養殖を農家に指導し、
農村部の所得向上を目指す「参加型開発」というプログラムを行っていますが
あくまで昆虫学の知識は付随的で、「農村開発」を調査することはできるのですが、
昆虫学としての学生の受け入れは難しそうです。

※追記・詳しい話は控えますが、
ここでの昆虫食をテーマにした研究は極めて難しいことがわかりました。
興味のある場合は食用昆虫科学研究会にお問い合わせください。

既存の研究室で昆虫食を研究する

今の研究会の学生は皆この状態です。
開発学・農学が主な分野ですが、いずれもボスの寛大な処置によって
研究が許されていますが、そのボスが昆虫食を専門としないことによって
デメリットがあります。そのデメリットを埋めるための
研究会なので、ぜひ入会していただきたいです。



その他の課題

1,昆虫食の研究の後、どのような職種を目指すのか
昆虫食でメシを食う人は残念ながら日本には居ません。
修士まででしたら、けっこう就職には有利なようです。
(残念ながら当研究会を就活対策に利用されるのはご遠慮ください)

2,その職種につくための指導を誰から得るのか(指導教員の選定)
いわゆる「昆虫食学」を専門として論文を書く教授は残念ながら日本には居ません。
つまり、指導をうける際に、
自分の専門とする既存の学問分野を選択する必要があります。

3,どのような学位論文を目指すのか
博士課程を目指す場合、
学位論文には何を書いても基本的に自由ですが、
審査にあたって数本の国際誌への論文掲載実績が求められます。
私が今、大変に苦労している部分です。


まとめます
「昆虫食をテーマにしたい学生のガイドライン」

1,学問分野の選定

「食」は人類全てに関係するため、
それをテーマにする多様な専門分野があります。

そして、
専門分野にはそれぞれ「学会(学界)」が存在し、
投稿論文にはそれぞれ書き方のマナーがあります。


そのため、まず
「どの専門分野から昆虫食にアクセスしたいのか」を
絞る必要があります。


2,研究室・研究環境の選定

論文をどこに投稿するのか、投稿料は?
私見ですが。「総合的な学問・学際的な学問」は
研究者にとっては他分野への新たな挑戦ですが
学生にとっては両刃の剣ともいえます。

その先生がどのようなバックグラウンドを持つのか
背景を持たない場合は別のどの先生に聞けばいいのか

きちんと相談する必要があります。

その分野のエキスパートが存命・現役であることは
あなたにとってかけがえのない幸運です。

現状、日本の農水系の研究において、
養殖昆虫食へ注目した研究予算は全くありません。

3,ボスを探せ!
昆虫食をテーマに受け入れてくれる教授は
なかなかいません。


論文指導には膨大なな労力と知識が必要なので、
書きたい論文のフォーマットに
慣れている先生を探すことが必要です。

そして
ボスへの絶対的信頼関係が、
自分の学問のためには必要です。

私の「ボス」は今3人目ですが
いずれのボスも学生のことを想っており、
決してコマとして使い捨てを考えるような
ヒトではありませんでしたが

「自分側」の問題で信頼関係を築くことが難しく、断念した経緯があります。

「ボスと絶対的な信頼関係を能動的に築くこと」です。


このように考えることで、
もしあなたの興味が「昆虫食」ではなく

地域開発・国際協力・地理学・昆虫学・など

「既存の学問分野」の範囲内であるのなら、それほど恵まれたことはありません。

公的資金を投入することは先人が既に開拓してくれているので
そこに乗っかって、次の扉を開きましょう。

もし。
どうしてもその範囲に収まらない場合、
それでも恵まれています。アマチュアでも研究はできるからです。
もしその先に公的研究機関での研究に採用されたい場合、
学問以外の努力や戦略が必要になるでしょう。


最近思うのが
「自分の最大の興味が犯罪にカテゴライズされる社会じゃなくてよかった」
ということと、

「自分の最大の興味がオカネのかかる研究じゃなくてよかった」
ということです。

もし麻薬や覚せい剤、未成年との性行為など、
「犯罪」になるものへ興味が募る人生は
考えただけでも辛いと思います。そこに自由はないのです。

また、
ヒト細胞や哺乳類を使った研究はオカネがかかるので、現在過当競争のまっただ中です。
自分の研究ができることを夢見て、過酷な労働を自ら喜んで課している研究者も多く
学生も消耗しています。

私も一度は「生活の安定」が頭をよぎり、
研究費の多そうな学問分野を目指したこともアリましたが
残念ながらそこまで器用でないことが分かってしまいました。

なので、
環境としては決して恵まれていませんが
「それでも残念ながら昆虫食」なのです。

とはいえ、
偶然にも、「犯罪でない範囲」に自分の最大の興味がある、
ということは恵まれたことです。

昆虫食に限らず、「自分の興味」をトライアンドエラー方式で探してください。


蛇足ですが
「考える・考えない」の切り替えについて、最後に紹介します。
「より多くのチャレンジができるかどうか」

を指標にしてみてください。

多くの成功した研究者を見てきましたが、
いすれも「行動量が多い」ことが共通します。

才能や効率ではなく「量」です。

そのため、
「よく考えて行動につながる」条件と
「何も考えず行動につながる」条件を整えてください

「考えすぎて行動できない」
「考えずに行動できない」場合は、

速やかな切り替えをオススメします。

あなたにとって良い学問がみつかりますように。
新しい学問分野を切り 拓くのは誰か?

〜食用昆虫科学研究会の挑戦の日々〜


https://www.facebook.com/events/728722173819522/


告知です。
今週末土曜日、六本木の政策研究大学院大学にて
「Smips・研究現場の知財分科会」の1演題として、
食用昆虫科学研究会について話します。

今回は昆虫食の普及活動ではなく
このブログを含め

「大学の外で学問をすること」について、

多くの方と討論することが目的です。

今回の講演は、主催の山田光利先生が当ブログの過去記事
昆虫の味見は「研究」か
を読んで下さり、オファーを頂きました。

今回は、食用昆虫科学研究会から
私だけが
フロントマンとなり、他のメンバーの名前はあまり出しません。

研究会の中で起こるべくして起こった
多くの「問題・失敗・克服」の過程を
一緒に分析し、他山の石としていただきたいと思います。

概要です。


1,学術研究における昆虫食の位置〜大学の外でやる必要あるの?〜
2,食用昆虫科学研究会の活動実績〜論文掲載とサイエンスアゴラ賞〜
3,デメリット〜公的機関からの援助の重要性を再認識する〜
4,メリット〜多くのデメリットの中で得たもの〜
5,討論:この先どうするか、どうすべきか。


最初の方は、
一般的な昆虫食の話をしようと思います。
なので、細かい研究の話もしません。

あくまで
「大学の外で学問を深めた経験」を共有し、議論するための情報を公開します。

「昆虫食の研究の最先端を知りたい!」のであれば、
毎月行っている当研究会の勉強会に見学、

もしくは入会してください。http://e-ism.jimdo.com/

以上告知でした。
「見たいけど別に食べたくはない」

昆虫料理をしていると、
このようなお客さんが多くいることが分かります。
「本やブログは読んだけど食べる気はない」
「おもしろいけど体験する気にはなれない。」
以前にも言及しましたが、自らの文化にないものを新たに食べることは
相当のストレスですので、食べられなくて当然です。私も新規の昆虫を食べる時は
大変に苦労しています。(特においしくなさそうな警戒色のあるもの)

また、
「食べさせる」準備はとても大変です。
本来はとれたて新鮮なものを、しっかり加熱して、
味付けはシンプルに食べていただきたいのですが、

保存性や値段の制限のあまり、
本当に美味しくて新鮮な昆虫を提供できないことも多く

「さほど美味しくないよね」と
無料で出した昆虫料理にコメントされることあり
残念な気分になります。

「採れたてのトビイロスズメの前蛹はクソうまいんや!お前なんかに無料で食わせてたまるか!」
と言い返したくなるのをぐっと我慢。
目的は「一般人のレスポンスの収集」ですので
口論してもいいデータにはなりません。

また、逆に、我々の目の届かない所で勝手に食べられても困ります。
昆虫を含む新規の食材にはアレルギーなどのリスクがあることを理解し、

我々の免責について同意頂かないと、食べさせられないのです。
そういう意味で、5人以上はスタッフが必要になります。

そんな中、
茨城県自然博物館の方から、
当バッタ研究室へ
サバンナからのメッセージ アフリカの自然とその保全」への協力依頼を頂きました。

私の遠い兄弟子にあたる前野浩太郎博士が
現在モーリタニアでサバクトビバッタの研究を行っており、
アフリカとバッタ研究は切っても切れない関係にあります。

そちらは博士のブログ「砂漠のリアルムシキング」か
著書「孤独なバッタが群れる時」を御覧ください。




そして、
バッタは大発生時に農作物に多大な被害をもたらすとともに
平時の食料としてもアフリカに貢献してきました。

嬉しい事に、「アフリカの昆虫食を
展示したい、との意向をいただきました。

ただし期間は3ヶ月、常温での展示です。

これは困りました。昆虫料理は傷みやすいのです

そして、
このような需要が実は多いのでは、とも考えました。

これからの昆虫食イベントの形として
「食べてもらわない昆虫食イベント」もありかなと。

考えてみれば、多くの昆虫標本は乾燥でも、ある程度いきているときの
みずみずしさを保っています。味は悪くなってしまうのですが、
「見た目」だけでいうと、昆虫は保存性の高い生物といえそうです。

そして、
日本には「食品サンプル」という技術もあります。
合成樹脂を使い、色使いと質感を本物のように再現、むしろ
本物以上に脚色して「美味しそう」と見せている奇跡のワザです。

塩化ビニールのくせに、
我々が食べてもらおうと苦労している
昆虫料理を差し置いて「美味しそう」と
思われている、嫉妬の対象でもあります。

嫉妬は何も産みませんので、取り入れて利用していきましょう。
私は食品サンプルを作る技術がありませんので、
中古でオークションに出されている食品サンプルを購入し、
「ハイブリッド昆虫料理標本」を作成しようと思います。


サバクトビバッタ丼
サバクトビバッタ Schistocerca gregaria


は、植物を食べる昆虫なので、生きたままの輸入には
植物防疫法上の制限がかけられ、飼育には
二重扉が必要なために、日本では、研究用に唯一、
当研究室で飼育されています。

見ていると、
私の研究対象であるトノサマバッタ以上に
よく食べ、急速に成長します。
サバクという過酷な環境に適応した、底力を感じます。

北部アフリカのナイジェリアは、コメを食べる文化があり、
その市場ではサバクトビバッタ丼がみられます。

スネから先と、翅をとったバッタと、揚げ、
ご飯に載せただけのシンプルな食事。日本で言うと吉野家的な
位置づけでしょうか。

これを真似して作った所、
「日本人の目からみて美味しくなさそう」
でしたので、食品サンプルの技法に則って、和風にアレンジしてみました。

こちら


紅しょうがとネギを他の食品サンプルから拝借し、散らしただけで、
美味しく見えます。また、この美味しそうなタレは「油性ニス ローズ色」です。
まさかホームセンターの塗料コーナーに食欲をそそる色があるとは。
我ながら「視覚による美味しさ」に対して、とても曖昧であることを再認識です。

続いて、
モパニワームのトマト煮 トウジンビエ添え
このサイトを参考にしました。

コンゴやザンビアを初め、多くの地域で食べられているモパニワーム
学名Gonimbrasia belina  は、消化管内容物を抜いた後、
天日で干されてから流通します。
戻す時は「干ししいたけ」のように、水で戻し、油で炒め、
トマトや野菜と一緒に煮て
穀物のおかずとして食べられています。

今回はトウジンビエを手に入れる時間がなかったので、豆で代用。

汁気のあるものなので、一回本当にトマト煮を作った後
フリーズドライし、樹脂で固め直す、という方法をとりました。

本物の野菜を使っているので、フリーズドライによって色があせてしまいます。
今回は煮物なので、問題なかったのですが
みずみずしい生物には向いていない方法だと思いました。

そして完成


こちらも地中海風アレンジをして、
馴染みやすい美味しさに脚色しました。とてもおいしそうですね。

今回のこれらの「昆虫料理標本」は
「アフリカ展」内で展示していただけることになりましたので、
皆様、3月8日から6月15日まで、
茨城県自然博物館にぜひお越しください。

宣伝でした。














先週末は記録的な大雪が降り、首都圏は交通の不具合が多発しました。

そんな中。60人の「虫屋」さんが
全国から渋谷駅のほど近い超おしゃれなアイリッシュパブに
集う恐るべきイベント「虫cafe!」
が、昨年に続き開催されました。

主催者は
栃木・宇都宮の虫屋、りゅうひさん

SNSを駆使し、参加募集開始後
わずか8時間で予約一杯になるという集客パワーを魅せつけました。
(予約70人に対し、記録的な大雪の中異常なまでに出席率が高いのは虫屋のフィールドに対する強さだと思います)

私もダウンを着、登山用の防水靴を履いて渋谷に参じました。
(渋谷にここまでアウトドアな恰好で行ったのは初めてかもしれません。)

当日朝、
いつものようにバッタのお世話。
午前中にどうにか終わり、

研究室から最寄りの駅まで、
いつもは自転車で12分なのですが
さすがに無理そう。

近くにタクシー会社があったので、雪をかき分け、ノック。

ラフな格好のおいさんが出てくる。
「今日は雪で運転手が出勤していないんです」

とのご返答。恐るべし雪

仕方なく歩くことにしました。片道40分。
雪のため余計に足が重く感じます。

渋谷駅にほど近い東京三菱UFJ銀行のすぐ裏。
カッコイイアイリッシュパブに。
全国の虫屋が集まります。


虫屋、といっても採るだけでなく作る方もいます。
こちらはガラス細工の数々。



今回はシークレットも含め10名のプレゼンター。
抽選の結果、私は無事4番手。いい位置につくことができました。

そしてプレゼン。
なんとムービーが動かない!というアクシデント。
macとwindowsの互換性に悩まされます。

ご来場者の皆様へ、
そして雪や他の都合で来られなかった方、人数制限に泣いた方へむけて
この度完全版としてここにご紹介したいと思います。


お題は
「美味しい鱗翅目の養殖を目指して 〜Bombyx moriの功罪とベイツ型擬態〜」

このブログをお読みの方ならお分かりかもしれませんが、
今までの鱗翅目の記事を5分に要約したものになります。


虫好きですから、一度ぐらい食べたことありますよね。
(実際7割ぐらいの方は手を挙げられました。すばらしい。)


でもカイコにはいい面「完全養殖OK」と悪い面「卵以外味が悪い」があります。


そもそも絹糸用ですので、
副産物はともかく、わざわざ食用に養殖する必要はありません。


なので、手当たり次第食べてみました。
162種、成長段階を変えて243パターン。
今回はその中でも鱗翅目について3トピックほどお話します。

カイコの味ですが、「遺伝」か「食草」か
区別したかったので、カイコガ科の桑を食べない種「イチヂクカサン」
を食べました。すると香ばしく・甘く。大変美味しかった
ことから「カイコ味は食草由来」であると考えられます。




続いて
とてもモフモフかわいいオナガミズアオ
そしてモサモサかわいくない、食欲わかないマイマイガ
両極端な二頭ですが
どちらものどごしが最悪。サンマの腹側の肋骨をまとめて飲んだような感じですね。
そこから、捕食者にとってはモフモフとモサモサは相同器官であると考えられます。




サクラ餅のニオイ成分「クマリン」は桜の葉の細胞が傷ついた時に発生する
生体防御物質の一つです。なのでサクラケムシ(モンクロシャチホコ)は
桜餅の香りがして、とても美味しいのですが、同じくサクラを食べるモモスズメや
カレハガはその香りがとても少なく、クマリンが感じられません。
そこから、サクラケムシはクマリンを体内に溜め込み、捕食者に食べられない
戦略をとっていると考えています



警戒色をもつ生物の多くは、有名な二種類の擬態にカテゴライズできます。
本当に危険な「モデル」のマネをするハッタリ型、ベイツ型擬態
キケンな種同士が似たような恰好をし、食べた捕食者に強く印象づける
ミュラー型擬態

このホソバセダカモクメはどちらでしょうか。
食べてみないとわかりませんので、チャレンジしたのですが
大変美味しいのです。おそらくハッタリ型のベイツ型擬態といえるでしょう。
このように、ベイツ型擬態の鱗翅目が、将来の養殖昆虫となるかもしれません。

時間がないので動画にまとめてきました。

(会場では踊る大捜査線のテーマを使ったのですが、youtube公開にあたり
音楽を差し替えました)


トップ10

シンジュサン
キバラモクメキリガ
ヒメヤママユ
ホソバセダカモクメ
モンクロシャチホコ
トビイロスズメ
キアゲハ
シモフリスズメ
セミヤドリガ
オナガミズアオ

ワーストファイブ

ツマグロヒョウモン
ブドウスカシクロバ
マイマイガ
チャバネセセリ
セスジスズメ

毒ありきけん

オオゴマダラ
ヒロヘリアオイラガ
チャドクガ

養殖しましょう
エビガラスズメ
エリサン
オナガミズアオ

最後に
美味しく食べましょう

エリサンカレー
エリサングラタン
モスバーガー
エリサン寿司
オナガミズアオ蒲焼き
最後は
お節料理に「ちょいたし」して
あけましておめでとうございます。




まとめ やはりカイコは鱗翅目の中でもあまり美味しくない。
全般的に前蛹が一番食べやすいです。
カイコは桑以外でどれだけ育てられるか、挑戦します。
未来の食料はベイツ型擬態をするカラフルな鱗翅目かもしれませんね。



ムービーが動かず、ふがいない思いをしたのですが
投票の結果第二位に!賞品を頂きました。



ご投票頂いたみなさま、ありがとうございます。
来年は互換性に気をつけ、
ちゃんとしたプレゼンを他の「目」でやろうと思います。

とても楽しい会でした。
Twitter上でやりとりしていただいた方と実際にお会いできたり、
「食べてもらえませんか」との嬉しいオファーを頂いたり。

ネットの普及でウェブ上の付き合いは簡単になりましたが、
それだけに、リアルで会うことが一層貴重で、
意味のあるものになってくる予感がします。
大事にしたいですね。


Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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