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今日は梅の木についていた見るからに食欲をそそるイモムシ。
カラスヨトウ。Amphipyra livida corvina



パッと見はスズメガのような尾部に見えますが
スズメガが角状のしっぽ(尾角)に対してこれは円錐状の突起。こちらのほうが肉感的です。
茹でていただきましょう。

味見。
少し苦味があるものの、スズメガ系のいい味。モモスズメが近い味。コスズメが近い触感。
姿も似ているが味も似ている。やや粒感のあるこしあんのような食感もあり、香ばしさもある。楽しめる味。


ここで「茹でただけなのに香ばしい」という
昆虫独特の現象について仮説を立てておきます。

1,アミノ酸・糖の存在を知らせるニオイ
アミノ酸と糖を加熱して起こる反応を「メイラード反応」といいます。
メラノイジンを主成分とする様々な物質と香り、特に香ばしい香りが特徴です。
プリンのカラメルのニオイ、というとピンとくるかと思います。

この昆虫には、アミノ酸と糖が含まれており、それらが常温で、何らかの酸化酵素と
反応して、このような香気が発生。エネルギーと体の構成要素である2つの主要成分に
我々ヒトは食欲をそそられる。

2,アルカロイドの分解を示すニオイ
アルカロイドは多くの植物体に含まれる毒物質で、
ヒトも肝臓に解毒作用はあるものの、多量の摂取はキケンです。

同様に植物食性の昆虫にも、解毒または耐毒の仕組みがあると考えられます。
解毒は消化酵素によって無毒化するもので、
耐毒はそのまま体内や血液中に毒成分をもっていても、
生命活動に支障をきたさない仕組みのことです。

特に毒を酸化分解した場合、
香気成分であるフェノール、ピリジン、ピラジンなどが
出てくる可能性考えられます。。

そのため、「植物由来アルカロイドを分解している昆虫」
は食べられ、
「血液中に滞留させている昆虫」は食べられない、という嗅覚弁別なのではないか、
と考えると、
ヒトが火を持つ前から、「香ばしい香り」を良い香りとしている理由にもなるかもしれません。
(香ばしい と 火 が先に関連していたならば、火の危険性や火に対する恐怖と全く別の「食欲」がそそられる理由が説明できません)

もうちょっと先の話ですが
「嗅ぐことで美味しい昆虫を見分ける」
ことができるようになるかもしれませんね。 感覚を磨いていきたいと思います。





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無題
唐突に失礼します、いつもブログを楽しく拝見しております
昆虫類を食べる下準備について一つ質問があるのですが、フンや内臓の処理というのはどのように、行うものなのでしょうか?
また、フン抜きや内臓処理をする必要の無い種もいるように見受けられますが、それらはどのように判断しているのでしょうか?
NONAME 2014/05/13(Tue)20:50:57 編集
Re:無題
ご質問ありがとうございます。
「フンが自然に抜けたもの」として前蛹(蛹化前段階)やサナギがあります。
この味を基準にして、同種・あるいは近縁種の幼虫や成虫を食べた時、
あまりに苦味やエグミが強い場合、その昆虫の食べ物に原因があると考えます。
その時に、絶食させるか、内臓を抜くか選びます。
最近良く食べている植食性の鱗翅目の幼虫は、
絶食に絶えられず死ぬことが多いので、茹でた後に内容物を取り除いています。
尾部の背側に切れ込みを入れ。押し出して取り除いています。エビの背わた取りに近い感覚です。
【2014/05/14 23:38】
無題
失礼します。
もし、以前に誰かの質問への回答などでこの話題になっていたら申し訳ないんですが…

例えば、今回のカラスヨトウは身体が緑ですが、茹でて調理した際には、その色は変化するのでしょうか?例えば牛肉豚肉鶏肉などは茹でると白くなりますよね。野菜も茹でるも色が鮮やかになったりします。虫はどうなのでしょうか。

また、これまたちっぽけな疑問なのですが、なぜ毛虫の中身は液体なのに生きていられるのですか?すいません、全くの無知なもので。哺乳類は骨があり筋肉がありで動けることには納得できます。また、バッタやカマキリなども、骨では無いですが骨格のようなものがありますよね?(伝わりますか?)毛虫を踏んづけても体液が出るだけですし、どうも疑問です。
ts 2014/05/13(Tue)22:22:46 編集
Re:無題
ありがとうございます。
加熱による変化はタンパク質や高分子の形の変化=変性が主です。
タンパク質は一般的に固まるので、茹でると半透明だった幼虫は白っぽくなります。
また、緑の色は「黄色の色素+青の色素」なのですが、青のほうが熱に弱いので、
緑のアオムシは茹でると黄色くなる傾向があります。

「毛虫が動けるわけ」ですが、イメージとしては消化管が
適当かと思います。消化管も骨が無いですが、筋肉の連鎖的な
変形(蠕動運動)によって消化物を移動させることができます。
あの動きを外に向けて使うとイモムシやウジムシの移動ができます。

また、
「体を支える」ことに筋肉の収縮力を使うと、無駄にエネルギーを使ってしまうので

多くの動物は外骨格や内骨格などの「体重を支えるときにエネルギーを使わない構造」を
作ってエネルギーを節約します。
柔らかいイモムシは
「収縮しない柔らかな表皮に水を高圧で貯める」という水風船の要領で
筋肉を節約しながら体型を維持しています。なので傷がついて水が抜けてしまうと
形が崩れてしまいます。

お答えになっているでしょうか。
【2014/05/14 23:55】
無題
食べ方や何と食べ合わせるとおすすめとか、鼻に抜ける風味や後味・喉ごしなどをより細かく教えてくれると嬉しいです
NONAME 2014/05/14(Wed)04:36:13 編集
Re:無題
ありがとうございます。
近ごろ表現が簡易になって申し訳ありません。

カラスヨトウについては、
参考に食べてみた梅の葉っぱに強く影響されており
食性も広食性なものですから、今後食草の吟味をして
養殖してから、様々な調理法の実験をしていくつもりです。

(イメージとしてはトノサマバッタ、エリサンのページを参考にしてください)

そのため、今回のような味見レベル(標本数1、試食者1)での
断定的な表現は、カラスヨトウを食べて
他の味を感じた方の自由な味の表現を
阻害する可能性があるので、
今後もあまりしない予定です。
【2014/05/15 00:00】
無題
下処理について質問した者です、ご返答ありがとうございます
一度食べた上で、内臓抜きが必要かどうか判断しているのですね
NONAME 2014/05/15(Thu)20:04:50 編集
Re:無題
お返事ありがとうございます。
「行き当たりばったり」ですね 笑
もうちょっと体系化していきたいです。
【2014/05/24 13:00】
無題
カラスヨトウを茹でたら…の質問の者です。
納得しました。ご丁寧に答えてくださりありがとうございます。
ts 2014/05/15(Thu)22:42:27 編集
Re:無題
お返事ありがとうございます!
また何か疑問がありましたらいつでも。
【2014/05/24 13:01】
無題
クマバチはもう食べられたでしょうか?
もし機会があれば味のレビューをお聞かせ願えませんでしょうか?

最近近所に植えてあるハリセンジュの花が咲いて、そこにクマバチが集まってくるのですが、ずっと見ていると肉厚で美味しいのかもとだんだん思うようになってきました。
調べてみると木の中に住むようで、幼虫の方もカミキリムシっぽく美味しそうに見えました。

まだ味見していなかったら是非試食してみてほしいです!
NONAME 2014/05/19(Mon)17:31:55 編集
Re:無題
クマバチは未食です。
おいしそうですよね。。。
クマバチの巣を追いかけてみたいのですが
まだその経験のある虫屋さんを見つけていません。
あの体重を維持するだけの花の蜜を集めるので
かなり行動半径が広そうなのですが…調べてみます!
【2014/05/24 13:02】
無題
すいません。また疑問が生まれたのでここで聞いてもよろしいでしょうか?食虫とは違う話になりますが…

チョウの幼虫は、蛹になって成虫になる際、体が蛹の中で液状になって成虫の体になると聞きました。
そこでなのですが、もし、幼虫の足を(少し残酷ですが)切って、体が欠けている状態で蛹になったとします。そうすると、チョウになった際に、例えば足の数が少ないとか、体の一部分が欠けているとか、ということになるのでしょうか?それとも、少しの容量不足ということになり、欠けている分、体全体が小さくなるのでしょうか?もしくは、そんなことは関係なく、完全なチョウへと成長するのでしょうか?

場違いな質問かもしれませんが、私の素朴な疑問に答えてくれればありがたいです。
ts 2014/05/19(Mon)19:10:40 編集
Re:無題
おそらくなのですが、体が小さくなります。
「成虫原基」と呼ばれる部分が、幼虫の溜め込んだ栄養分の中に
浮いているのが蛹の状態なので、脱皮阻害が起きなければいけそうです。
ただ、
そのような可塑性が残っているか、
それとも細胞が傷つくことで炎症性の応答が起こり
死んでしまうことも十分に考えられます。
幼虫の脚と成虫の脚は対応していないので、「足欠」は起こらないと思います。
【2014/05/24 13:05】
Mushi_Kurotowa
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HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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