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クモ類は昆虫ではありませんが、
陸上性の節足動物で伝統食への利用も多く
「食べられる虫」の一群として注目しています。

利用しやすい点は
翅を持たないこと、
そしてその分体重が重く、
食べごたえがあることでしょうか。

利用しにくい点として、
ほとんどが肉食性なのでエサの用意に
コストが掛かってしまうことでしょう
群れを作るものが少ないので共食いの危険もあります。

カンボジアでは
採集タランチュラが日常的に食べられていますが
近年は減ってきたとのインタビュー報告があります。(FAO報告書2013)
南米チリではペット用昆虫牧場があり、養殖は可能ですので、
養殖へのシフトを促したいところです。

天然資源の減少はその価格高騰をもたらし、
リョコウバトやオオウミガラスの
ように「さらなる乱獲を助長する」危険もあります・

逆に、高騰した採集モノの価格を安くする方法として
養殖技術をすんなり導入しやすい好機でもあります。

採集タランチュラを養殖に変更すると
どの程度価格が変化し、
雇用が生まれるか算定したいものです。

特に彼らは成長が遅く、生体まで二年もかかるのでかなり高価になるかもしれません。
それを受容できる、そして密猟を許さない社会全体の法律の制定と成熟も同時に望まれます。

ちなみに
この写真は私が飼育しているタランチュラです。ブリーダーの方からベビーを頂き、
実験で余ったバッタを与えて1年半、元気に過ごしています。食べても美味しいですが
その味見については次の機会に。
このような多様な肉食食用動物の飼料としても、
バッタの養殖はもっと高度化する必要がありそうです。

「生死のフチ子さん」という題名です 笑

話が一旦逸れます。
ここで使った「コップのフチ子さん」は、奇譚クラブが漫画家、タナカカツキさんと
企画したガチャポンで、コップの縁にちょこんと、
個性的なポーズでつかまる ゆるめのOLの姿をしたフィギュアです。
日常に「フチ子さん」がいる光景をSNSで公開し、楽しむことで爆発的人気となりました。
まだマイナーかもしれませんが、
「ネイチャーテクニカラー」のシリーズで見られる
造形や彩色であったり「フチ子さん」のような企画力、「バカ度」は
海洋堂を超えてきています。
要注目です。

モノづくりを競う場ではエネルギーのある「若手バカ」が
評価される健全な競争が望まれますね。

さて、味見でした。

ジョロウグモ Nephila clavata



以前から何度か食べていたのですが、
ブログで紹介するのは初めてです。

味見
香りが良い。腹部を噛むとプチッとした食感の後に
枝豆に似た香ばしくはなやかな香りと
しっかり旨みの効いた味が口の中に広がっていく。

クモ類で抜群に美味しく、かつ採集しやすいのが
ジョロウグモといえるでしょう。
これから秋が深まるにつれ、産卵を控えた♀たちの身がしっかり詰まってきます。

ジョロウグモを使った「自家製納豆(納虫?)」もおすすめです。
作り方は
昆虫料理研究会 内山さん著
「楽しい昆虫料理」をご参照下さい。




秋のジョロウグモ。
採集も簡単で、初心者にもオススメの味です。











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近頃味見以外の記事を書いていたので
けっこう味見したい昆虫が溜まってきました。

今回は蛹三種。いずれも土中で蛹化するタイプなので
繭を作りません。

モモスズメ Marumba gaschkewitschii echephron
緑色の幼虫状態で捕獲 ナイフヘッドのようなとんがった頭が可愛いです。


その後蛹化

ちょっと脱皮不全のようになっていますが
元気に尻を振っていました。

タカサゴツマキシャチホコ Phalera takasagoensis Matsumura


「おさげをした水玉ワンピの女の子」と表現したらちょっとは
この感じが薄れるでしょうか… 食べるのを躊躇しているうちに蛹になってしまいました。
女の子(?)はタイミングが大事ですね☆

幼虫も成虫も樹の枝に擬態しているようですね。一貫していて素敵です。
幼虫は生木の枝に寄り添うように擬態し、
成虫は短い枯れ木の枝をイメージしているようですね。
すごいです。
蛹はこんな感じ。固いです。



アヤモクメキリガ Xylena fumosa
5月に幼虫を食べて美味しかったので、
蛹も食べたいと保存していました。

なかなか前蛹?のような状態から変わらず、
なんと4ヶ月もたってから9月26日に蛹化。まったくわけがわかりません。


脱皮不全だとするとなぜいまになって成功したのか
休眠だとするとなぜ前蛹で休眠を開始したのか。
虫は想像を軽々と超えてくるので興奮を抑えきれませんね。

虫を見ていると謙虚になれます。

さて
味見
モモスズメ
おいしい。ほとんど特徴のない穏やかな味。あまく、そしてうまい。珍味でなく日常の食品になりそうな感じ。香りも殆ど無い。外皮は堅めなので中だけ出して食べたい所。ぷりぷりしておいしい。

タカサゴツマキシャチホコ
外皮がカリカリしており珍しい食感。内部は水っぽい。クヌギの香りがするがナナフシモドキのような苦味はなく、食べやすい。内部に弾力がないのが残念な所。

アヤモクメキリガ
爽やかな穀物の香りが豊かで幼虫同様とても美味しい。やはり今期ヒットだっただけがあり、幼虫も蛹も美味しいことが判明。待てば海路の日和あり。

同じような色・形の蛹になっても味は正直です。
三者三様の味わい。ごちそうさまでした。


昆虫を味見する際に留意したい点として

「昆虫を差別しない」ことが挙げられます

当然分類するので区別はします。そして その生態や味から
利用法や調理法を考えていくことが必要です。

ここでいう「差別」とは、
「対象の特徴を無視して観察者のバイアスを優先すること」
と言えるかと思います。

直感的にわかりやすいのは「キモい」「生理的にムリー」
でしょうか。
このキモさ(嫌悪感=Disgust)には生来の遺伝的バイアスだけでなく
文化的なバイアスが多くかかっています

特に
昆虫に関してはごく最近までヒトの食品でしたから、
ヒトがこんなにも短期間に遺伝的な忌避行動を獲得するわけもないので
多くは文化的バイアスといえるでしょう。

逆に言うと百年以内に昆虫食に戻る可能性もあるわけですから
安易に遺伝子に刻んでは危険なのです。

むしろヒトは文化として、世代を超える情報を外部保存することで
遺伝情報よりも臨機応変なバイアスを持つことに成功したといえるでしょう。

ということで
我々は多くの文化的バイアスがかかっています。
そして、
その文化的バイアスから独立した視点をもつために使われるのが、
「科学」という客観性を重視した手法といえるでしょう。

昆虫の分類も
「好き嫌いは置いといて、皆が客観的に判断できる手法を用いて、、個体をグループに分け、
近い順に並べる科学的手法」と解釈できます。

さて
一つ前の記事で「直翅目にハズレ無し」と書いたばかりですが

実は未だ直翅目の分類群を網羅していません。
これから食べようと思っているケラ科(今年は見つからなかった)の他に

カマドウマ科という高いハードルがあるのです。
おそらく美味しいとは思うのです。

今回捕まえたのはクヌギの樹液を食べに来るマダラカマドウマ。
樹液食は美味しい要素の一つです。
しかも翅がなく、飛ばないので体重もあり
日光を必要とせず、高密度でもケンカしない。
翅のないキリギリスといえる体型。
どれも美味しそうな要素しかありません

サラブレッド。もとい直翅目界のブロイラー
と言っても過言ではないのですが。。。。。。。

ごめんなさい。主観的にキモいのです。

思い出すのは一人暮らしを始めて二年目の仙台。
秋も深まり、寒い夜にシャワーを浴びようと浴室へ。

私は極度の近眼なので、シャワーを浴びる際は
極端に防御力が低下します。全裸で目も悪い、地中性の生物のようです。

勝手知ったる我が家の浴室なので、何の警戒もしていませんでした。

シャワーを出したその瞬間

足元に何かが駆け上がったのです。
お察しのことと思いますが、カマドウマです。

ハエや蚊、ゴキブリならともかく、体重があり、
壊れた玩具のように跳ねまわるカマドウマの感触は
なかなか自分の記憶と一致しませんでした。

おぼろげながらカマドウマとわかり、
一旦撤退し、メガネをかけ直し、
全裸のままカマドウマを捕獲。ベランダから投げました。

そのためか、カマドウマにはまだまだ苦手意識があります。

でも差別してはいけません。
自分に文化的なバイアスがあると認識した以上、
意識的に
差別につながらないよう
行動せねばならんのです。 

行動とは。当ブログでいうところの味見ですね。

前置きが長くなりました

なんせ茹でられたカマドウマが右手のそばにあるものですから
味見のタイミングを伸ばしたいという深層心理の現れかと思います。

マダラカマドウマ  Diestrammena japanica


 


味見
少し土っぽい枯れ葉系の香り。しかし抜群に美味い!なんだこれは。体液はほとんど感じられず粒感と弾力のあるタンパク質の塊がやってくる。焼きタラコのような食感。
翅がなく、胴がたっぷりしているので肉質なのかと。
キリギリス科の中でも抜群に美味しく、とても意外でちょっとだけ残念。

クラスの地味な子がアグレッシブな特技で突然人気になってしまい話しかけづらくなる感じ。
でしょうか。

文化的バイアスは
かかっていると自分が認識してから、
その逆バイアスをかけ直すには、多くの努力が必要です。

ですが、その先にはどの文化的素養のあるヒトの間でも形成できる
多様性を許す社会が出来るのでは、と思います。

また、そのバイアスが他文化に悪影響を与えない場合、
誇るべき文化として自らの強固なアイデンティティを形成することになるでしょう。

もう一度いいます

「直翅目にハズレなし」(ケラは未食)

味見よりも同定が難しい直翅目。
今回もがんばりましたが、同定大丈夫でしょうか。がんばります。

ヒメクサキリ Ruspolia jezoensis


産卵管が長いので♀です。

今の時期の直翅目はオスが鳴くものが多いので、
狙いを定めて捕獲にいけるのですが、
静かな♀はなかなか見つかりづらく、昼間に偶然出会うしか捕獲方法がありません。
一期一会を大事にしたいですね。

味見
味は他のキリギリス科に似た甘めの味。堅めで歯ごたえがあり、ムチッとしたキリギリスとは対照的でスマートな印象。しっかり噛むと全て食べられる。脚は口に残るので取り除くとよいかと。

「直翅目ははずれへんな〜」という印象ですね
日本の食用昆虫は
1919年の三宅らの調査では50種類以上食べられていましたが
1985年の野中博士らの調査では十数種類まで減ってしまいました。

この減り方には傾向があり、
イナゴ(稲作)・カミキリ(薪炭材)・カイコ(養蚕)など
生業と深い関わりのあるものが強く残されました。
他の昆虫よりも手軽に確保しやすかったためと思われます・

一方で、一部の採集昆虫
ザザムシやハチノコは、効率が悪いものの、嗜好品として
食べ続けられました。それだけ格別な味だったのでしょう。

後述しますが、やはり絶品です。
危険を犯しても、いや危険だからこそ
食べたくなる味といえるでしょう。


ここで注意して頂きたいのは
オオスズメバチは特に危険だということです。
樹液などで見られる彼らも粗暴に見えますが、
巣の近くでは尋常でない攻撃性を示します。

昆虫料理研究会では、ハチ駆除の専門家から
殺虫剤を使わずに捕獲出来た時だけ
分けてもらうことがあります。

巣が入り組んでいたり、攻撃をモロに受けてしまう
位置だったりすると煙だけでは静まらず、
防護服を着ていても
殺虫剤を使わないと手に負えない場合もあるそうです。

また、
彼らが空中に噴霧した毒を吸うと、動悸が激しくなり
夜寝付けなくなることもあるそうなので
何らかの生理的作用がありそうです。
そのため、専門家でない方に
オオスズメバチの巣の捕獲はオススメしません。

彼らのような真社会性のハチの群れでは、
働き蜂は卵を産むことが出来ません。
そのため、自分が死ぬ危険を犯してでも、
巣や女王、子を残すために行動します。
それだけに他の昆虫よりも強烈な攻撃をしてくるのでしょう。


さて
今回は味見
幼虫から成虫まで一気に比較します。


左から終齢幼虫、前蛹、蛹、成虫です。

茹でる前は半透明ですが
茹でると不透明の白になります。


前蛹になる時に、幼虫は消化管の内容物を全て出してしまうので
前蛹の背中は白いのですが
幼虫はいわゆる「背わた」が入っているので背中に黒い筋が見えます。
これは肉食であるスズメバチ幼虫のために、働き蜂が捕獲してきた「虫肉団子」
ですので、細かくなったクチクラがジャリジャリして大変食感と味が悪いので
除去することをオススメします。

肛門の少し上の背側に切込みを入れ、ニュッと出します。


これをゆっくり引っ張ると取り除くことが出来ます。



鱗翅目の幼虫でも、消化管内容物の味が気になる場合は
同様に肛門の少し上、背側に切込みを入れ、絞りだすことによって
味の強い未消化物を除くことが出来ます

今回は茹でですので、刺さる危険のある成虫の針はとっておきましょう。



お吸い物で頂きます。




味見

幼虫
糖度が高いとわかるほど甘みが強い。白身魚に似たタンパクとコーンや木くずのような香ばしい香り、動物系の僅かな香りが食欲をそそる。やはり他の昆虫とくらべても抜群にうまい。

前蛹
消化管を抜かない分プチッとした食感が楽しめる。同様に、体液が逃げないのでより濃厚な味、カニ味噌やウニのような強いうまみがあり美味しい。お吸い物にも向いているが、濃厚なのでわさび醤油で食べたい。


更にあっさりして豆腐のような味わい。形成しかかったクチクラがサクサクと良い食感を与えてくれる。強い旨みは減り、穀物のような優しい香り。一番好み。お吸い物の具に最も適した段階

成虫
クチクラが硬くなってきてしまい、茹でただけでは口に残ってしまう。体液を主とした甘みがあり、味は良い。タンパク系の味はほとんどしなくなってしまう。揚げ料理で香ばしく頂きたい。

味の違いを詳しく見ることが出来ました。

巣を見てみるとこんな感じ。部屋にフタがされたところは前蛹か蛹が入っており、
段々色がついてきます。目が黒くなったあたりがもっとも好みです。



実は
今回の味付け「お吸い物」には思い出があります。

2011年、昆虫料理のよるべ(昆虫料理研究会主催)に参加していたところ
オオスズメバチ蛹のお吸い物がメニューにあり、
食べた所ガツンと衝撃を受けました。
それまで昆虫の料理法は揚げがほとんどで、
「昆虫は他の食材と同様の普通の味」と思っていたのですが

このオオスズメバチの蛹は
お吸い物の具に最適化された味・風味・香り・食感・色を
兼ね備えていたのです。


そこで気づきました。
「昆虫料理は種・段階・時期・調理を総合的に評価して開発しなければならない」
そして
「現在の昆虫料理開発に最も不足しているのは昆虫学の体系的知識である」と。

ということで、
昆虫料理の味見に向けて昆虫学を勉強する
当ブログのコンセプトが生まれたのでした。

この大変美味しい蛹


感動したので、
当時独学で練習していた鯨歯彫刻を使ってストラップを作りました。



今ではもうちょっと上達しましたが
我ながら美味しそうに作れたと思います。
思い出の品です。





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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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