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エゾゼミ Lyristes japonicus

茨城平野部では見かけないので、青森に先輩が帰省した際に採ってきていただきました。



模様がとりわけ美しいです。前胸背板のフチドリがアイヌの文様デザインを思い起こさせます。
北海道以外にも生息するセミですが、「蝦夷」の雰囲気が出ていますね。

味見 苦味が強い。香ばしさがあるがうまみがあまり感じられない。
クマゼミと近縁とのことだが、味はヒグラシのほうがより近い。「セミの苦味」と調理は
今後の対策事項になりうると思う。

セミといえば、
高村光太郎が「蝉の美と造形」という随筆を残しています。

引用
彫刻家はセミのようなものを作っているのでなくて、セミに因る造型美を彫刻しているのだからである。それ故にこそ彫刻家はセミの形態について厳格な科学的研究を遂げ、その形成の原理を十分にのみこんでいなければならないのである。

うむ

どんなアウトプットをするにも科学的研究・昆虫学は基本中の基本。
しっかり探求したいです。
そして、ただ知識や経験を貯めこむマニアになるだけではなく、
必ずアウトプットする、という最終目的をきちんと忘れないようにしたいものです。

アウトプットの手法は論文・書籍・このようなブログや芸術など
多岐にわたりますが、手法が違えば見方も変わります。
同じ昆虫を違う分野の人達が見比べ、楽しく、有意義な情報交換をしたいですね。
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以前鳴く虫を4種食べ比べましたが
今回も引き続き鳴く虫を食べ比べましょう。

キリギリス Gampsocleis buergeri もしくは Gampsocleis mikado



兵庫で捕まえたので、「ニシキリギリスか!」と思ったのですが
分布では岡山以西だそうで。。。また
その分類についても個体変異が大きそうで昨年、識別点検討の報告が出されています。(pdf

直翅目の分類は難解そうです。。。

今まで「キリギリス科は茹でても赤くならず バッタ科は赤くなる」
と思っていました。

残念。


見事に真っ赤です。

生細胞茶色の色素にタンパク質・カロテノイド系色素の複合体が含まれているのでは、
と思っているのですが。直翅目の色素にもまだまだわからないことは多そうです。

味見 肉質の濃い味。少し苦味があるが煮干しのようにうまみにつながる良い苦味。ぎっちりと身が詰まっていて美味しい。

大型のキリギリスはとても食べごたえがありました。

大型の直翅目 キリギリス科としてもう一種

クツワムシ Mecopoda nipponensis



ガッチャガッチャとびっくりするぐらい大きな音をたてて求愛しています。

味見
クツワムシ茶
美味い。エビ系の香りと穀物のコクがあり、甘みが広がる。茹でてから塩を振りしばらく放置すると
エビのいい香りがする。自家融解と関係があるかも。

クツワムシ緑
茶色よりエビ系の香りが穏やかな気がする…?再現性がとれないので要検討。
エビの香りが酸化したカロテノイド系色素由来だったりすると尚うれしい

また、今回のキリギリスやクツワムシは夜行性で
草丈の高い草むらに潜んでいます。
大きな音を立てるので近づくことは出来るのですが
ヒトに気づいてしまうと草むらの中にポロっと落ち込んでしまうので、
捕獲は結構大変です。

そんな中、昆虫は一般的に「赤い光が見えにくい」ことが知られています。
行動と光の関係を見ても、視細胞の電気的応答を見ても、視物質の反応性を見ても
他の色に比べ、赤い光への応答が小さいのです。
(コレが本当に赤い光が見えていない、という直接的な証拠ではないですが。)

ということで、今回の捕獲にはこのヘッドライトを使いました。



明るいホワイトのヘッドライトの他に、
青・赤・緑の小さいLEDが付いています。

小LEDは周囲を照らすほど明るさは強くありませんが、
1m以内に近づく際には白LEDから赤LEDに変えると、
全く見えていないようで捕獲が簡単になりました。
他の虫にも試してみたのですが、
アブラゼミは背中を指でギュッと押すまで気づかないようでした。

この先赤色LEDのもっと明るいヘッドライトが出れば、
走光性のない夜行性昆虫の採集に使えると思います。
星空観察にも使えそうですね。どこかで商品化しないでしょうか。



以前、せっかく捕まえたシロヒトリ幼虫が
ヤドリバエにやられた話を書きましたが。

この度成虫のシロヒトリを捕まえたので味見。
シロヒトリ Chionarctia nivea
真っ白で赤のポイントがかわいらしい女性的な蛾ですね。


元はこんな
典型的なケムシでした。


いつものように茹でて。
今回は塩を振っていただきました。

味見
甘みが強く、香ばしい良い味。外皮も柔らかいが、毛がとれないので残念ながら皮をむかないモモのような食感になってしまった。焦がすなどして毛を取る工夫が必要。さなぎで食べられていればこんなことにならなかったのに…ヤドリバエめ…
クロカミキリ Spondylis buprestoides



実は7月中旬に既に味見していました。

味見:見た目はカミキリムシらしくなく、硬そうだが小さいので結構食える。香ばしさは少なめで甘みが強く、香りも良い。茹でただけで炒った穀物のような風味もある。同じぐらいの体型のクワガタよりだいぶ柔らかい。


ところがこの時、アクシデントが。


そうなんです。
昆虫の味見の最大の欠点は「侵襲性が高いこと」
標本であれば同定後、再度同じ個体を見ることが出来るのですが
味見してしまうとその個体には二度と出会えません。
なので写真を撮ることが必須なのですが、
この時は忘れてしまったのです。

ということで、当ブログに載っているほとんどの写真は
その昆虫の在りし日の姿。つまり「遺影」といえるでしょう。


せめて上手に撮影してあげたいものです。
コンデジとはいえ、慣れてくると過去の写真のヒドさに嫌気が差してきます。
撮り直して差し替えたいとも思うのですが
食べた個体の最後の姿を消すのは忍びないので 悩ましいところです。
さっさと写真うまくなれ、ということなんですが。



写真をとったきり冷凍庫に沢山の昆虫が眠ることになってしまいました
在庫整理をしておきます。

ボクトウガ Cossus jezoensis

クヌギの木に食入り、樹液を噴出させ、
その樹液を飲むのではなく、樹液に来た昆虫を捕食する奇妙な蛾の幼虫。

蛾の幼虫なのに頭部と胸部第一節、第二節ががクチクラで補強されていて
ゴミムシダマシの幼虫にも似ています。

1919年の三宅の調査では、日本でも食べられている地域がありました
これの近縁種でもっと大きいオオボクトウガは、Witchetty grubと言われて
アボリジニの食べる有名な昆虫の一つです。

オーストラリアにはしばらく行けないので、日本の近縁種を食べて
思いを馳せましょう。

実績、大きさ、色もよく
茹でると赤みがましておいしそう。期待が高まります。


味見
縦方向の木の香りがする筋肉質が味わえる一方で、脂肪体に独特な匂いがあった。
リコリスやフェンネルに似た、ゴムっぽいケミカルな匂い。
茹でると匂いが強かったので、次回揚げるともっとバランスが良くなるかと。

前評判は良かったのですが、期待し過ぎて独特の匂いに好き嫌いが別れる
結果となってしまいました。

肉食の鱗翅目はあまりいないですが、日本のおもしろい種として覚えておきたいです。

Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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