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「見た目が悪いから昆虫は喰いたくない」
という方に
そもそも見た目の評価自体が絶対的なものではなく、
文化的なものだと気づいていただくために
「姿のエビ」をよく例に挙げます。

エビが食えて虫が食えない理由を
合理的には説明出来ない、ということに気づいて欲しいのです。

ということで
以前に小エビのかき揚げとバッタのかき揚げを比較
しました。

今回は
生物がほとんど無加工のまま
出される寿司で比較したいと思います。

具材は茹でて味が良いことで知られる
オオスズメバチ前蛹・蛹とエリサンを使いました。

色味をつけるために食紅を使いました。


昆虫の表皮が水を弾くため、
あまり染色具合はよくなかったのですが、
うっすらピンク色になりました。

次に寿司の準備です。
幸い近くのスーパーで見切り品となった寿司を
確保し、崩れないよう自転車で持ち帰り、
予めヤフオクで購入しておいた
デッドストックの寿司桶に盛りつけます。

今回はエビが甘エビと茹エビの二種を使い
節足動物の割合を多めにしておきました。(シャコとかもあればよかったのですが。)




木を隠すなら森の中
蟲を隠すなら寿司の中

意外と甘エビの隣のオオスズメバチ前蛹に
気づいていない方も
いらっしゃったのではないでしょうか。(?)

やはりそんな大差ないですね。
味も穀物系で、生魚の味の強さに飽きたころに
調度良い味でした。「寿司ネタ・スイートコーン」の偉大さを感じます。

江戸時代に始まった寿司のネタは時代とともに変遷し、
トロ・生サーモン・ホッコクアカエビ(甘エビ)エンガワ(オヒョウ)などの新ネタから
海外産の養殖エビやネギトロ(マグロすき身+マーガリン)のような加工生産の変化まで
大きく変わりました。

そして、sushiが国際的にも人気になった結果、
マグロを始めとした漁業資源の枯渇が深刻です。

そんな中でも
「海は広いな大きいな」
と 
未だに海産資源の有限さに気づいていない
脳みそお花畑の国が大部分です。

確かに
海は人智を超えた偉大さに見えるため、
「有限」と言われてもピンと来ないこともあるでしょう・
そのためにも
自分の食糧は自分の目に見える形で養殖する、
という
食糧の有限さを噛みしめる農業・養殖業が、
これからの慢性的な食糧不足を
理性的に節約し、耐えぬく道だと思います。

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昆虫食についての勉強や実践を
当ブログで発信することで多くの反響をいただくようになりました。

昆虫の世界は膨大ですので、様々な立場の方からのコメントが
私のモチベーションを上げ、次のチャレンジへとつなげてくれます。

思えば
本格的に食べ始めたのが2008年。
5年ほど続けてきたわけですが、
日々進歩がなくてはいけませんね。

ということで

2009年、仙台にいたときに同級生に食べてもらった一品

「秋の蟲ピザ」


小型の直翅目をトッピングした食べやすいピザです。

秋になると性成熟し、加熱すると赤く色が変わる直翅目を使うことで
紅葉する広葉樹をイメージしました。

ちなみにこちらは調理前



これを今回はブラッシュアップしようとおもいます。

さて
昆虫料理を紹介するにあたって
「形を無くして欲しい」という声が多くあります。

似たような形を持つ
海老や蟹について「すり身でないと食べられない」という方の話は
殆ど聞きませんので

おそらく
調理された虫の「形」に対する嫌悪感というのは
「死体感」ではないでしょうか。

基本的にヒトは
調理加熱して他の生物を食べるので
当然「死体」食べているわけですが、

「死体」を「食品」とみなすには、文化的な刷り込みが必要です。

このブログをご覧になる方の多くは昆虫食を文化として持たないので、
形を見せてしまうと
どうしても「死体」の印象が拭いきれません。

ですが、
直翅目の美味しさはパリパリ感でもあるので
美味しく食べるためには形は残しておきたいものです。

そこで
「形を残したまま死体感を減らす工夫」
が必要だと考えました。

ヒントは昆虫標本にありました。

きっかけはとある虫屋の方から
「展翅したほうが見た目が良いのでは??」との
アドバイスを頂いたことです。

確かに
「標本は大丈夫だけど(道端の)死体はムリ」
「生き虫は大丈夫だけど死体はムリ」

という虫嫌いの方もいらっしゃるようです。
つまり

「展翅することで整然とした印象を与え、死体という無秩序な不快感を減らすことが出来る」

という仮説が考えられます。
やってみましょう。

まず、茹でた昆虫を
アルミ箔を張った網の上に置き、立たせて足を整えます。


このまま、マーガリンとチーズを塗り
200度のオーブンで10分間加熱します。

そして

市販のチーズピザの上にキレイにトッピングし、
250度のオーブンで10分焼きあげて完成。

秋の蟲ピザ 2013


味見
香ばしく、肉質のうまみ。とても良く合う。
残念な点としてピザに接している部分が
カリカリ感がなくなり、口に残ってしまうので
もうちょっとしっかりローストしてからトッピングすればよかったかと。
そうすると強度が低下してしまうので、
「強度」と「カリカリ感」の調整が難しくなってきそうです。

こうやって頑張ってみたものの、今度は
整然と多くのパーツが並んでいると嫌悪感を感じる「集合恐怖症」
というものをお持ちの方がいらっしゃいます。


その原理や適応的な意義は解明されていないようですが、
昆虫料理への嫌悪感を拭うというアプローチは
まだまだ先がありそうです。

できれば「形を無くする」という方法は最終手段に取っておきたいところですね。



今回も美味しくない(かどうか確かめてはいけない)むしの話です。

味を見てはいけない虫として、
体内に強力な毒を持っている虫が挙げられます

今までに 体内にカンタリジンを含む
マメハンミョウ
ツチハンミョウ

を紹介しました。

今回はペデリンを含むアオバアリガタハネカクシ Paederus fuscipes Curtis
です。
体長 7 mm 特徴的なビビッドな配色なので
見たことある方もいるかと思います。



灯火採集で捕獲しました。

皮膚科医が実際に肌に擦りつけた時の炎症を
詳細に記載したあまりに体を張った専門書
「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」によると


以下引用
「体液に触れると半日程度で浮腫性紅斑が出現し始め、次第に後半が強くなって2〜3日後から膿疱を形成する。自覚症状としてヒリヒリとした灼熱感や疼痛を伴う。その後1~2週間で痂皮を形成し、2~4週間で色素沈着を残して治癒する。」

なかなか食べられなさそうですね。

食べてはいけない虫の情報は、食べて美味しい虫よりも
必須の情報です。ですが、残念ながら全く愛着がわかないのです。

食べる虫を撮影するために用意した照明やブース、カメラなど
こんな食えない虫のために使うのは苦痛です。

ですが、
やらないと昆虫食は決して普及しません。
やるしか無いのです。
美味しい昆虫並べてうまいうまい言ってるだけではイカンのです。

ということで今年中に
「アオカミキリモドキ」も攻めたいところですが。
見つかればいいのですが。ううむ。乗り気がしないなぁ。
採集昆虫は季節モノなので、
採れ過ぎたものは一旦冷凍して保存しておきたいものです。

大抵のものは一年以上保存できるのですが
「冷凍セミ」はいまひとつ味が悪いことが経験的に知られていました。


写真はクマゼミCryptotympana facialis

今回は数人でセミを食べる機会があり、
今年の一ヶ月以内のセミと、去年のセミを
アブラゼミ幼虫・クマゼミ成虫で揚げて食べ比べました。

アブラゼミ幼虫・一年前
酸味が強くなり、酢酸系の不快なにおいと腹部から胸部まで広がった明確な苦味。
おいしくない。スが入ったように食感も悪く、挙げてもふわふわしない。

アブラゼミ幼虫・今年
香ばしく、苦味もなく、木の香りがよくフワ/サクっとした食感。とてもおいしい。


クマゼミ成虫・一年前
二度揚げしてもからっとせず、ジトッとした感じ。
腹部に強い苦味があり、舌に残ってしまう。

クマゼミ成虫・今年

二度揚げによって軽く・ザクザクと食べやすい食感に。香ばしさ軽い食感が
とても好ましい。苦味は全くなく、一気に食べられる。

今回は性別を統一して食べ比べなかったので
断定はできませんが、セミの冷凍劣化はかなり速く進むようです。

ファーブルのように「セミは不味かった」と断定する前に
調理・保存は大丈夫だったか、採集するステージは大丈夫か、
注意してみましょう。

「今年のセミは今年のうちに!」
http://www.youtube.com/watch?v=cyLogCll828



以前から甲虫類の成虫の「硬さ」には悩まされてきました。
カミキリムシやゾウムシなどは顕著で、幼虫がやわらかく美味しい分、成虫の食べにくさ
が一層残念に感じられていました。

魚の骨せんべいが一番近い感覚でしょうか。
高温でしっかり揚げるとパリパリとたべられるのですが、
内部の柔らかい組織もスカスカになってしまい、どれもこれも
エビの唐揚げのに似た同じような味になってしまいます。

カミキリムシはその幼虫の味から
カタイ殻の内部には美味しい味があるはずです。
取り出してもよいのですが、手間を考えると、そのまま食べたいものです。

そこで
二度揚げの効果を実験。

二度揚げとは
一度低温で揚げて寝かせ、再度高温で短時間揚げることで
中はジューシー外はパリっと仕上げるワザです。

そうです。私はこんな昆虫が食べたかった。


そこで、冷凍庫に残っていたいただきものの
ゴマダラカミキリAnoplophora malasiacaを使って、比べてみました。
これは茹でただけではとても固く、とくに首の付根、前胸背板にあるトゲが
口に残り大変たべにくいものの
味の良さもあるので外皮の攻略には大きな意味があります。




向かって左から

A,150℃ 2分 24時間寝かせ 190℃ 1分 (二度揚げ)
B,150℃2分             (低温揚げ)
C,            190℃ 1分  (高温揚げ)
D, 150℃2分 24時間寝かせ      (低温寝かせ)

食べ比べてみましょう。

A,ザクザクと噛みごたえがよく、小気味よくバラバラになっていく、香りがやや飛んでいるので加熱時間をもっと短くして良いかと。甘みも残っており、一番美味しい。
B,揚げたての香りがよい。クチクラが少しもさっとし、硬さはわりと軽減されるが触角に硬さが残る。
C,香りが飛んでしまって少し焦げた味になってしまう。クチクラは思いの外残っており触角がクチに残る。
D,香ばしい。炒りダイズのようないい香りがあるがクチクラが弾力があり固く、口に残る。

ダントツで二度揚げが美味しいです。
一番のネックであったクチクラもザクザクと多孔質な感じ。
高温揚げでは香りが飛び、低温揚げでは外皮がまだ固かったので、
二度揚げの効果は抜群かと思います

ということで、
他の甲虫類もやってみましょう。

選手入場

サクラコガネ?かツヤコガネあたりのコガネムシ


コガネムシはただ揚げただけでも美味しいことが知られています。
今回はメタリックなカラフル感を演出してもらおうと二度揚げに参加。

ヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima 
超有名な日本の昆虫。金属光沢が美しく、彩りとして参加。
カミキリムシと幼虫の食性が同じなので、味も期待。




コクワガタ Dorcus rectus

日本の代表的なクワガタ。オオクワガタの小型版のような名前だが
すっと伸びたアゴ、平べったい体は小ぶりながら味わい深い。
二度揚げによりアゴまでパリパリ食べられるか。

ミヤマカミキリ Massicus raddei

大型のカミキリムシ。身が詰まっているので、
ゴマダラカミキリよりもジューシーに食べられることを期待。



ノコギリクワガタ 言わずと知れた代表的クワガタ。
自慢の大アゴを二度揚げが攻略できるか。コクワガタとともに期待。


これら山の幸を調理するにあたって、どんな料理にしようか考えていた所、
やはりパエリアではないかと。

パエリアはスペインの伝統的な料理で、
魚介類を使った海のパエリアが特に有名ですが、
バレンシア地方ではウサギ肉、鶏肉、カタツムリ、インゲンマメ、パプリカなどの
山の幸パエリアもあるそうで、

山の幸と海の幸を混ぜるのは邪道、とのことです。

それでは山の幸、昆虫をつかった王道の森のパエリアを作ってみましょう。

まずベースとなるパエリアを作ります。
オナガミズアオとエリサンが蛹化していたのでダシに使いました。
スライスしたサナギがオリーブのようですね。


次に、二度揚げした昆虫をトッピングし、チーズを掛けて
軽く焼きます。




完成。

日本の森の虫のパエリア





揚げてもそのみずみずしい金属光沢を失わないタマムシ、コガネムシが
森らしい彩りを与えてくれます。

パエリアのダシとなったサナギとの相性もよく、
二度揚げ昆虫といっしょに美味しくいただきました。


二度揚げ昆虫
味の感想
コガネムシ 二度揚げするとホワっとさくっとしてしまった。柔らかすぎて歯ごたえがないので
      具材として使うには二度揚げの必要はないかもしれない
タマムシ  揚げても構造色が消えないのが美しい。香りがよく、
      カミキリムシよりクチクラが比較的やわらかい。木の香りがそこそこ残っており味が良い。
コクワガタ 二度揚げするとようやく食える。ザクザクとして香ばしい。
      味はやはりカミキリムシの方が上か。すこし土のようなコガネムシ臭。
ミヤマカミキリ 胸部・頭部にやや硬さは残るものの腹部はうまみがあり美味しく食べられる。
        大きいほど揚げた時に独特の味が残るので好ましい。
ノコギリクワガタ 固い。ツノがとても固く、二度揚げしてもまだ足りない。
         しかし固いクチクラに囲まれた内部はうまみと香りが残っており、
         固い部分以外は美味しく食べられる。

二度揚げにしても、体サイズや外皮の強度によって調節する必要がありそうです。
この中ではタマムシ、ミヤマカミキリが特に美味しく頂けました。

タマムシの外皮はキチン質・タンパク質しか含まないのにメタリック、
という食用としての安全性とデザイン性を兼ね備えた素晴らしい素材です。

そのうち「メタリック食材」として一世を風靡するかもしれません。
それまでに養殖技術が確率していればいいのですが…

とはいえ、王道、森のパエリア。とても昆虫向けの料理だと思います。

梅雨も開けましたし、
夏にかけて虫があつまる時期です。ぜひ(自己責任で)試してみて下さい


Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
バーコード
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