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「生食できる」とはスリルを伴う甘美な響きがあるようです。

しいたけの一種に「生食できる」と称したり

牛の生肝臓がダメなら豚を、とか

ジビエの鹿肉や猪は生食できる、なぜなら今まで大丈夫だったから、と称する中高年の狩猟者がいたりしますね。


生食できる食品を提供できる、というのは何だかすごそうだし、
それを身をもって体現している人はなんだか詳しそうに見えます。
一般的に生で食べられない、と
言われているものなら尚更です。

特に日本に生食の誘惑が強いように見えるのは、
魚介類の生食があるせいでしょう。


とんねるずが昔結成した
「野猿」というグループがありました。

鮒は生じゃ食えないはずさ
泥臭い 生臭い fish! fish! fish!
鯉は洗いで食えるくせに
甘露煮 鮒ずし だけなのね

https://www.youtube.com/watch?v=rEbVsKdwakU

「おいしいかどうか」よりも
「生で食えるかどうか」という魅力があるようです。

そして、それは付加価値として経済性をもちます。


欧米でもRAW FOODというブームが起こりました。
恐らくスシブームもその派生でしょう。

生のほうが酵素が生きたまま取り入れられるとか
消化に良いとかなんだとか、あることないこと言いながら営業をしています。

もちろん
生のほうが得やすい栄養もあります。
熱により変性しやすいビタミンなどがその一例です。

ですが
酵素の場合、胃酸で変性・消化され、アミノ酸として利用されるので
生で酵素を食べることの栄養的な利益は全くありません。

どの食品でも確かに言えることは、生で食べることは
食品の危険性(ハザード)は十分に高くなります。

例・サルモネラ菌が付着したキュウリのピクルスで死亡者3人

生で食べるべきかどうか、は
ハザードとベネフィットを天秤にかける状態。
つまり生で食べないと生命の危険のある状態に
考慮されるべきことで

日頃から
普通の食材を食べて栄養の良い状態で生きている人にとって
たとえ緊急的に食品が不足するような事態に陥ったとしても
生で食って改善される状況はまずありません。

緊急時はむしろ、医療不足のほうが致命的ですので
日本に生活しているヒトが
食品ハザードと栄養を天秤にかけ、
ハザードを選ぶことはまずないでしょう。

つまり、
日本において生食ができる、と安易にいうヒトは
疫学や食品衛生の知識がないのか、
営業を目的に意図的に無視していると考えられます。

無知ならば、あるいは営業ならば仕方ありません
とはなりません。

不良な食品は多くの人の生命を不特定に脅かしますので
社会的な影響が大きく、感染性ならば公衆衛生の敵です。

また、
それが簡単に予防できるにもかかわらず、
食品提供者の怠慢や短絡的な利益のために見逃していたりすると
食品という社会インフラの根幹に関わる問題ですので、行政が介入します。

つまり、
食品は特にハザードとして重要度が高いのです。

昆虫食がこれから安全に普及していくべき、と
考えている私としては
見逃すわけには参りません。

以前にペットの生き餌用昆虫の生食について警鐘しましたが


もちろん野外の昆虫にも、
ヒトに感染可能な寄生虫や感染症は数多く見つかっています。
私信で、論文報告は行われていませんが、
野外の昆虫を生で食べることによって、
本来野生の哺乳類に感染する寄生虫がヒトに感染したと思われる事例の情報も得ています。


なので、
この警告は
「野外の昆虫はペットの生き餌昆虫に比べて感染性微生物が少ないので生で食べられる」
ということでは全くありません。
意図的に読み替えて野外の昆虫を生食をしている、自称専門家がいるようなので
くどく繰り返します。

私は自称専門家として、警鐘に努めてまいりたいと考えています。
もちろん私刑のような野蛮な方法ではなく、言論で。

言論には自由が保証され、基本的に強制力がないので、弱いです。

もしこれをお読みの皆さんの中に、
これから昆虫を食べようとしている方がいましたら

整合性のある言動をする自称専門家を選んで、
(公的な専門家を養成できていないのは不徳のいたすところですが)
信頼できるかどうか判断されることをおすすめします。




とはいえ、
オレ、生の味知ってるぜ。
度胸と覚悟のない素人は真似するんじゃないぜ

って言うことは

ちょっとスリリングでカッコよくもありますよね



私は2013年から、
同定した昆虫を十分に茹でてから味見をして、
種間比較をしてきましたが、
茹でることにより見逃すことになった
おいしい生食用昆虫がいる可能性を考えると
気が来でなりません。

また、
日本には馬刺し、鶏卵や水産物、養殖サーモン、養殖カキなど
生で食べられる動物性食品はたくさんあります。
つまり、きちんと管理すれば生食できる動物はいるのです。

批判してばかりでは
ユーモアが不足しますし、より建設的な議論へと持っていくために
おいしい生食昆虫がいた場合、それを見つける戦術と、
おいしい生食昆虫が普及した将来について、考えてみましょう。

武器は度胸や覚悟などではなく
サイエンスとテクノロジーです。


中編に続きます。

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Twitterで反響があったのと、映画を見た後に書いてみた原稿があったので。
休眠中ですがUPします。なかなか本業のほうは前途多難です。またご報告します。


マッド・マックス 怒りのデスロード

映画館で一回見て、先日iTunesで配信が開始されたので、見ました。「イモータンジョーの食糧生産ヤバくね?」は
コチラのブログで紹介されていましたが、私も同感です。
(トマトの苗だけは確認できませんでした。)

そして
「エンディングの後の食糧生産、ヤバくね?」

というのが一番の感想。
彼らの物語を少なくともバッドエンドにしないためにも
食糧生産についてきちんとアドバイスを送る必要があるでしょう。

予め「昆虫食がフュリオサを救う」と言っておきます。

それでは参りましょう


※以下めっちゃネタバレをします。

未見の方はご注意ください。
上映劇場も減ってきましたし、そろそろディスクも出るのでご勘弁ください。


1,あの世界に昆虫食が存在するか

そもそも昆虫食文化が絶えてしまっていたのでは、
新たに食用昆虫を生産しても彼らは食べてくれないでしょう。

この映画には食事のシーンが少ない中、
幸いにも昆虫を食べるシーンがあります。

食べたのはウォーボーイのニュークス。
懇意になった赤毛の女の子、ケイパブルが寝ている間に肩に登ったコガネムシ科の昆虫を
器用に自分の手に移し、よく観察したあとパクっと食べます。

日常から昆虫を食べていたことが伺える貴重なシーンです。
今回は生食の危険性について、彼らの事情も考慮して不問とします

少なくとも昆虫を食べることはありそうです。
また、このコガネムシの同定は残念ながらできなかったので、
どのような生態をもつのか、後述して推測します。

2,どの程度昆虫が分布しているか

これも難しい問題ですが、幸いにも描写がありました。

冒頭、マックスは双頭のトカゲを踏みつけ、食べます。
歩くのが速く、口が大きいので恐らく昆虫食性でしょう。

双頭という重篤な変異を持つにもかかわらず、大きく育っているので
近くに豊富な昆虫資源があると思われます。

3,イモータンジョーの食糧生産本作の重要な問い「生きるために他人を搾取してよいか」を際だたせるため、
イモータンジョーは徹底的にヒトを搾取するシステムを持っています。

彼の愛車がギガホース、彼のマスクの歯が馬の歯という設定から
以前は草食の家畜を生産していたと思われます。

ところが、核戦争の後、
先天的な障害を持つヒトの割合が増えてしまったことで
ヒトの利用を多様化し、家畜として利用することで
徹底的に搾取する構造を備えたと思われます。

ジョーは血縁の後継者を必要としていますので、
多くの女性を妊娠させる必要があります。

そして、フュリオサのように、
子産みという利用価値のない女性を殺すことはしないようです。

また、ドゥーフのような先天的に目の見えない男性に対しても
ギターを持たせるという適材適所な人員配置も魅力です。

これは役立たずでも殺さない慈悲があり、
能力次第で上に登れるという救世主アピールと同時に

ヒトを育てる時に生じたコストを出来る限り回収する目的があったのでしょう。
フュリオサとジョーに恋愛関係がーという考察もありましたが
私はそうは思えません。

恋愛や妊娠に価値がある世界には見えませんし
汚染されていない緑の大地出身のフュリオサは健康体で恐らく長寿命です。
また、
フュリオサがありあわせでつくった義手の精度が異常に高く、パワーもあり
ロストテクノロジーかと思われるレベルです。
ジョーやリクタスの生命維持装置もフュリオサが作っていたと考えられます。
まさに「能力主義」で上り詰めたのでしょう。

逆に
短命こそが高コストであるがゆえに、ウォーボーイズの仕事は収奪と攻撃、
そして望まれるのは敵を殺しての派手な死です。

マックスが核戦争前に警察だったことから、
おそらくジョーとマックスは設定上同年代で

マックスやフュリオサは汚染環境でも老化速度があまりに遅く、病気にもならず
健康体を保てるイレギュラーなパフォーマンスをもつ人達と思われます。

一方「凡人」だったジョーが老化とや病気と闘いながら
組織的に長寿命を獲得しようとした苦労も伺えます。

ワイヴズも、
年長者はそれぞれ別の文化背景を持つような(お祈りとか)描写もあります。
ハイポテンシャルな彼女らは子産みの仕事の後、
母乳女として家畜として徹底的に搾取されるようです。

映画に出てきた母乳女達は自らが産んだ子供を取り上げられ、代わりの人形抱きながら
母乳生産を仕事とされます。そして一様に太っています。なぜでしょうか。

ここで、ジョーがもぬけの殻だったワイヴズの住処に行く途中、
水耕栽培のシーンを見てみましょう。
そこにあるのはアブラナ科の作物。おそらく甜菜かと思われます。

穀物もおそらくあるでしょう。
砦の屋上にはヤシ科かイネ科と思われる草で覆われ、
灌漑用の風車が見えます。

これらの作物は、エネルギーがあるものの
アミノ酸スコアの低いことが問題点です。
カロリーだけ高い食物を食べさせられ、運動を禁止されると、
栄養不足と肥満になります。
そして母乳という完全栄養食品を搾取されているのでしょう。
大変に合理的で、非情な搾取といえます。
「農産物由来の母乳」がジョーの砦の貴重な栄養源といえます。

4,イモータンジョーの物質収支
イモータンジョーは界隈で最大勢力を誇り
近所のバレットファーム(弾薬畑)と
ガスタウンと同盟関係にあります。

余談ですが
ガスタウンの主は人喰い男爵(people eater)と呼ばれていることから
人肉食はあまり一般的でなかったと思われます。
(私も映画を見た後、Twitterの名前を「蟲喰い男爵」にしようかと思いましたが、あの世界では普通すぎるので断念です。)

ガスタウンには石油があり
弾薬畑ではヒトの糞便から硝酸アンモニウムが作られ
ジョーの砦には水と食糧があります。

ガスタウンと弾薬畑については、映画中に描写がないので、
こちらの資料を参考にしました。




同盟とはいえ、彼らには上下関係があるようです。

やはり
食糧を握っていて人口も抱えているジョーが最も偉いようです。
ガスや弾薬は安いレートで食糧や糞便(そして髪の毛)と
交換させられていたのでしょう。

5,イモータンジョーの工芸と祭り

ウォーボーイズはジョーを尊敬し、短命にも関わらずQOLは高いようです。
ジョーのためにタトゥーを彫り、化粧し、工芸品を作り、音楽やコールまで多彩な文化があります。このような一見資源の無駄のように見える「祭りの構造」が多くのヒトの心の支えになり、
トータルとして人心掌握につながり、無駄にならないという高度な意思決定があると思われます。

食糧生産が自動化されているので、誰かが通りかかるまでは工芸ぐらいしか仕事がない、
ともいえます。工芸や祭りは農閑期の公共事業だったのでしょう。

ここまでは、この世界の考察です


さて、
エンディングで、ジョーは死に、
多くのウォーボーイたちと自動車がダメになりました。

そして、母乳女達が開放されます。

大きな問題です。「母乳というタンパク源が無くなった」のです。

そこで効いてくるのが「種」です。弾丸が「死の種」と呼ばれていましたから
種は生の象徴でしょう。

彼らは種ババアことメリッサから、汚染されていない『種』を持ち帰っています。
メリッサが見せたシーンでは
「木に花にフルーツ」そしてマメ科と思われる苗と、インゲン豆っぽい種も見えます。

そこで気になる一言が。「何一つ実らなかった」
メリッサは土壌の汚染と説明していますが、
大きな勘違いをしている可能性があります。

ここで、
フュリオサが砦に種を植える前に、確認しておくべきことがあります。

A,土壌細菌の有無
マメ科が実るためには、根粒菌などの土壌細菌が必須です。
水耕栽培で土が汚染されている可能性を考えると、マメ科が「実らなかった」のは
土壌細菌が不在だった可能性があります。

ヨーロッパでは土壌と根粒菌の相性が悪く、大豆の栽培が定着できなかった、
という経緯がありますので、これは重大な確認事項です。

B,訪花昆虫の有無

ここで、ニュークスが食べていた昆虫の出番です。
期待したのはハナムグリなどの訪花昆虫ですが、
高画質で、コマ送りしながらじっくり見たところ、
鞘翅の形がハナムグリっぽくない。

そして、その直前に
「カラスのいる汚染された土地(緑の土地の成れの果て)」を通過した後であることから
糞食性、腐肉食性のセンチコガネである可能性も捨て切れません。

体型はゴミムシダマシっぽい?ということでまめだぬき先生がコメントをくださいました。
幸いなことに、ジョーの砦で育っていたのは、
虫媒花のアブラナ科、てんさいで、自家不和合性(自家受粉では実らない
が特徴です。つまり冒頭ですでに、訪花昆虫の存在を示しているのです。

つまり、
種ババアの持っていた虫媒花の花、マメ、フルーツが復活できることを暗示しています。

ですが、懸念もあります。
アブラナ科の自家不和合性は、二酸化炭素濃度を3〜5%に上げることで打破できます。
人が多く、燃料もあり、密閉されたガラス室で水を逃さないよう栽培しているてんさいですから、もしかしたら自家不和合性の打破によって自家受粉していたのかもしれません。
これも大きな疑念が残ってしまいました。



ここでは
最悪のパターンに備えましょう。
訪花昆虫もおらず、土壌とマメ科の相性も悪かった場合。

相性がよかったとしても、
持ち帰った種は少量なので、数回の収穫はすべて次世代に回すべきだと思われます。
そして、母乳女はもはや搾取されません。

今すぐ、今ある農作物からの、速急なタンパク質の生産が必要です。

昆虫の残存量がどのくらいか不明なのが残念ですが
3つの昆虫養殖を提案します


A,糞便を利用したセンチコガネ養殖
B,イネ科作物を利用したバッタ養殖
C,アブラナ科作物を利用したカブラハバチ養殖

この3種が(いたとしたら)フュリオサに、亡霊となってでもぜひ伝えたいのです

「ハイ、フュリオサ! 虫だ。虫を養殖して食うのだ」

ニュークスには早急に亡霊となって、
ケイパブルに、あの時食べた昆虫が何であったか、
今まで食べたことのある虫は何かを
伝えるべき
だとおもいます。ヴァルハラに行っている場合ではないのです。

虫はアミノ酸スコアが高く、穀物より炭水化物が少ないので、
今までの糖、穀物食にプラスするだけで肥満も抑えられ、栄養状態も良くなります。

また、虫のフンは肥料として利用すれば、
微量元素の散逸も抑えられます。

そしてワイヴスの生活していた温室
が他の作物を食害させず、温度を高めに保ちながら
昆虫を養殖できるスペースになります。


We are not things!と、ヒトとして声を上げた場所で
昆虫はThingsとして、ワイヴズの代わりにガラス室に住むことになるでしょう。





After Mad, Max-buggy road!

狂気の後に、最大限に虫だらけの道へ

はたして、
フュリオサは昆虫養殖、もしくはマメ科作物の栽培に成功し
 贖罪「Redonpsion」を達成するのでしょうか。

Buggy とは乳母車の意味もあるそうです。
虫だらけになった砦で、
望まれて生まれてくる子供が
フュリオサの作ったBuggyに乗る未来もあるかもしれません。

みなさま ご無沙汰しております。
バッタの実験結果を論文にまとめるために引き続き休眠中であります。
コメント欄に質問を頂いているのですが、対応できていません。
Twitterでしたらお返事できるかと思います。

さて


数ヶ月前、
テン・ブックスという出版社の『森へゆく径』という雑誌がTwitterで募集していた
「1万円あります。本、買いにいきました」
http://www.hjissen.com/#!mori/cd0h

という企画に応募したところ、選んでいただきました。

これは、
書籍代一万円を頂き、そのレビュー原稿をお返しするという企画で
買いたいけれど後回しにしていた書籍を一気に買ってしまおうと、
ついつい(笑)応募してしまいました。

ちょうど見本紙を頂きましたので、この機会に
ブログ連動企画として紹介しようと思います。

今回は6冊の本を買いました。

料理王国 2015年 05 月号


ライフスケープ (風景写真1月号臨時増刊)


「もしも」に備える食 災害時でも、いつもの食事を


原発事故で、生きものたちに何がおこったか。


[新装版] 旅する根付 高円宮妃現代根付コレクション


もっとおいしく撮れる! お料理写真10のコツ


細かな書評は本誌を見ていただきたいのですが

これらを読んで見えてきたのは、
私達の社会は、外的な要因によっても、内的な要因によっても
「日常」と「非日常」のシフトが起きやすくなっていることです。

様々なメディアを通じて、
世界中の、そして現在から過去までの膨大な「非日常」の情報が交錯する中、
私達が持っている「非日常へのあこがれ」は大いに刺激されます。

その反動で、
日常がつまらなく、刺激がなく、
自分を成長させないような気がしてくるのです。
(自分を成長させたい、という欲求もまた非日常へのあこがれの一種だと思います)

ところが、逆に
突然の強制的な非日常がやってくると、
人々は日常を強く求め、心の平静を保とうとします。
それは天変地異かもしれませんし、ドローンのような
不可思議な新製品かもしれません。

その時にココロをかき乱されないよう、
外的な要因と内的な要因をバランスさせながら
「自分なりの日常」を保てる力こそが
地面に踏ん張って本来の自分の能力を最大限に引き出せる
「生きる力」なのだと思います。

生きる力とは、すなわち食です。(と言い切っておきます)
以前に学生相談所の精神科医に言われたことがあります。

「睡眠時間や食欲がなくなったら病気と判断します」

つまり、どんな理由にせよ、
生きる力を失った人は、社会に助けを求めなければならないのです。
そうでないと、人は生物的にも、社会的にも簡単に死にます。

さて、
今までの日常を生きてきた私達が
将来予想できない非日常に投げ出された時、
何をすればいいでしょうか。

自由にできるのは「時間」です。
これは誰でも寿命に応じて持っており、
平等に減っていく財産です。

「急ぐ」ことと「急かされる」ことは違います
「のんびりする」ことと「怠惰である」ことも違います。

自分の意志を持って、かつ自我の暴発を抑えて
時間の使い方をコントロールしていくことが
大事なのでしょう。




ということで、
以下の「非日常」なシチュエーションを想定して
日常と平静を保つ昆虫料理を作ってみました。

1,物流が止まる大きな変化が起こった。
2,ガスが止まった。電気だけ復旧した。電気があれば通信はできる
3,ここから動くことができない。交通が寸断されている。
4,今まで生活していた消耗品は残っている。
5,時間はある。やることがみつからないぐらいだ。

これは大地震でも自己破産でも構いません。
本人にとっての大きな変化としましょう。

そこで
のんびりランチでも食べられたら、
「日常を謳歌している」と言えそうです。

のんびりリッチな気分。
インセクトランチセット。

豆と乾燥イモムシのインド風カレー


ヒラタケとコシアブラとトノサマバッタのアヒージョ


カブトムシココア


カレーは炊飯器で
アヒージョは丸美屋の三ツ星レンジ<アヒージョの素>
を使いました。
http://www.marumiya.co.jp/cms/web/viewitem/4212/1
これは
紙製の容器とソースがセットになっており
容器に入るだけの材料を入れ、ソースをかけて
振って混ぜ、レンジに3分かけるだけで
アヒージョができるスグレモノです。
紙容器がきちんと閉まるので、
油も飛び散らず、バッタも生きたまま入れても逃げ出しません。
食べ終わったら容器ごと捨てられるのも、非常時には重宝しますね。

この紙容器は熱に強いので、揚げ物の準備がない場合でも
トノサマバッタをカリッカリに仕上げてくれます。
春の山菜コシアブラとの相性も抜群です。

エリサンとトノサマバッタは私が養殖したものです。

カレーは味がしっかり染みていて、肉質の香ばしい
エリサンの香りとマッチしています。
インド生まれのエリサンとインド風のカレーの組み合わせは抜群です。

カブトムシは日本の里山で大量に養殖されている
バイオマスです。味が悪く、食べるのもカラスかタヌキぐらい。
集合性があるそうで、スポットを見つけるとボロボロ採集できます。

今回は、蛹を一旦ゆでて
タンニン系の水溶性の渋みを除いた後、
ローストして、成分調整したあと
ココアにしてみました。カカオは
世界的な流通が必要ですので、代用ココアを
物品が手に入らない時に作ることができれば、
ヒマな時間も潰せますし、リッチな気分にもなります。

折り紙式の皿
orikaso(オリカソ)をつかって盛り付け
http://www.ats-co-ltd.net/Flatworld1.html

撮影は
日光を使ったライティングに挑戦。
日常の風景として提案します



ピクニックに行くのではなく
ピクニックが自宅の庭に来るようなそんなワクワク感を
演出してみましょう。


それではいただきます。









なんやかんやでバレンタインデーから一週間が過ぎてしまいました。

一年間育てたバレンタインチョコ昆虫。
とうとう味見です。

一年間でどのくらい食べたのでしょうか。


当初が22gで、
食べられた結果の重さは16gです。
なので、一年間で6g食べたことになります。

体重、測っとけばよかったですね。

それでは味見しましょう。チョコフレーバーは
彼らに移行しているのでしょうか。


マダガスカルゴキブリ Princisia vanwerebeki
うまい!臭みはまったくなく、甘みが強いがチョコの味ではない。おどろくべきうまさ。ちょっと外皮が固いのが残念。



オレンジヘッドローチ Eublaberus prosticus
?オレンジ柑橘系の妙な香りがあってゴキブリ臭い?ようにも感じるが、
甘みがあって食べられそうな妙なかおり。なんだこれは。混乱。
通常飼料の味ではない。


アルゼンチンモリゴキブリ デュビア Blaptica dubia
さくさくして食べやすく、こちらもチョコの香りではないもののおいしい。なんだ。チョコに含まれないなんらかの成分がいいのか?


意外な結果となりました。
典型的な「ゴキブリ臭さ」がいずれからもせず、
妙な香りと旨味でした。また、チョコフレーバーはほとんどせず
香りを食用昆虫に移すことはなかなか難しいようです。

彼らは窒素代謝物の再利用系を持っているので
タンパク質などの何らかの経路に、「ゴキブリ臭さ」のフェロモンを作り分泌する
系があり、それがチョコ食により阻害されているのかもしれません。

なので、食餌制限によって「ゴキブリ臭くない」おいしいゴキブリを作ることは可能で
それらは一年間飼育しても致死的でない要因によって達成できることがわかりました。

これはこれでけっこう良い成果なのでは、と思ったり。

彼らは養殖昆虫としての可能性を大いに秘めています。
そして、ヒトの生息環境のまま繁殖し、
他の昆虫に比べて野外には大きな影響を与えていないように見えます。
(ヤマトゴキブリが駆逐されている、という話も聞きますが。)

南方系のペット用種は冬には加温しないと死んでしまうので
そのような種をヒトの生活圏内で残飯を使って飼育し、食べる行為は
高緯度地帯の先進国における一つの解なのでは、と思います。

ごちそうさまでした。
一年前の自分にお礼。意外なおもしろいけっかとなりました。
皆様
ご無沙汰しております。
休眠中の蟲喰ロトワです。

最初に悪いニュースから。もう半年、休眠を続けなくてはなりません。

ほとほと昆虫学者としての実力と、将来性のなさを痛感しておりますが、
自分が言い出したことですし、
とにかく形にするべく、在籍期間満了の最後の半期をやり遂げようと思います。

休眠中ですが一つだけ、
一年がかりのプロジェクトがありましたので、
軽く記事にしておきます。

始まりは昆虫食仲間のムシモアゼルギリコさんが
つぶやいた一言からでした。 そうです。バレンタインデーです。

残念ながら私はギリコさんが期待するような
チョコをもらえませんでした。

生命保険の方が研究室にチラシと一緒に置いていったチョコを頂いただけです。
もちろん自分に保険などかけるはずもないので、
私は顧客・勧誘対象ですらありません。

そこで思いついたのです
「一年後の自分にチョコを贈ろう」

ギリコさんが納得するような、昆虫食研究者らしいチョコを。
友チョコ、ならぬ俺チョコといった感じでしょうか。

そこでこんな話を思い出しました。

昆虫食関係のどっかの本にあったと思うのですが。
「コオロギに食味の良い餌を食べさせて、フレーバーコオロギなどを作っても良いかもしれない」という話。(うろおぼえにつき出典ご存知のかた、おしえていただければ。)

これはすばらしい。
ということで、バレンタインデーらしくチョコフレーバー昆虫を作りましょう。

とはいえ、今までに揚げセミ幼虫のチョココーティングや
セミ成虫♂の鼓室へのチョコ注入、
クリムシチョコなど、チョコ昆虫はありふれた調理法です。

なので、もう一歩攻めてみることにします。
昆虫は養殖に大きな期待がかかっていますので、
一年がかりで、チョコで育てた昆虫を作るのです。

残念ながらコオロギは
チョコが体に合わないらしく、食べてくれません。

やはり、広食性のゴキブリが最適ではないか、と考えました。


一年前の開始時には、
マダガスカルゴキブリ アルゼンチンモリゴキブリ
オレンジヘッドローチの三種しか飼育していなかったので、
この三種、体格の近いものを1頭ずつ用意しました。
そして、22gのチョコと水を入れ、開始です。



そして一年後、どうなったでしょうか。それは後編で。


当ブログでは、
マダガスカルゴキブリ以外の味見を紹介していませんでしたが
ゴキブリはペットの生き餌として、ペットそのものとして、多くの種が輸入され、
飼育愛好されています。

チョコ作りにはとりあえず3種を選んだのですが、
数カ月前に、とあるブリーダーの方から理由があり

多くの種をお譲りいただき、味見をしました。
複数種を食べ比べることで、「ゴキブリの味」というものを概観し、
今後の指針にしようとおもいます。

マダガスカルゴキブリは以前に食べましたのでこちら(前編 後編

続いてオレンジヘッドローチEublaberus prosticusの羽化直後個体。


飼育環境下では臭いが味はどうか。羽;クニュっとした食感とシコシコした歯ざわりが美味しい。昆虫の羽ではかなり美味しいレベル。頭部、芋系の香りと粒感のあるタンパクな味。全くエグみがない。胸部かなり美味しい。やはりサツマイモ系の香り。見た目できになるトゲも柔らかく、問題なく飲み込むことが出来た。腹部。やはりゴキブリ臭。集合フェロモンの強い匂い。味というかニオイがダメ。調理前に腸を切除するか、揚げて揮発させる必要があり。

アルゼンチンモリゴキブリ(デュビア)Blaptica dubia


外皮が比較的柔らかく食べやすい。茹でると少しゴキブリ臭。揚げればいけそう
ちなみに、このデュビアは、
昨年の蟲フェスでデュビアジャパン http://dubia.jpさんが
料理コンテストに使用し、脱皮直後の虫をつかったアヒージョ「ゴキージョ」を
出品し、大変おいしくいただきました。
野菜メインの飼育をすることが、美味しさの秘訣だそうです。

オガサワラゴキブリ オオモリゴキブリ こちらは採集品、オオゴキブリ カプチーナ、と呼ばれる種 そういえば、やきそばにトッピングするとなんたら、
という騒ぎもありましたね。 当然ですが、原材料に記載されていない素材が入っていた場合、
食品の製造工程になんらかの問題があることが示唆されるため、
保健所に通報し、検査することが妥当でしょう。
エビ・カニアレルギーのある方の交差反応も心配です。

ただ、同時期にチェーンファミリーレストランでのo-157食中毒があり
その混入経路が不明のまま、当該店舗のみ3日間の営業停止処分だったことを考えると

同社の商品を全回収することは、
その危険性と照らしあわせてみると大きすぎる反応にも見えます。



余談ですが、
彼らが本格的に嫌われたのは、ビル化と関連していると考えられます。
「害虫の誕生」という本は




ハエや蚊などの、衛生害虫の成立と、
政府の国力増強政策が関連していることを示した良書ですが、

オビに
「なぜゴキブリは嫌われるのか」と
あるような、ゴキブリの害虫としての成立過程には
ここ数十年の現代の歴史がフォローされておらず、
もう少し説明が必要に感じます。


彼らは昔から木造家屋への侵入はありましたが、
「コガネムシは金持ちだ」という歌のように
有機物が豊富な、金持ちの家にしか来ない昆虫で
とりたてて嫌われるものではなかったようです。

数十年前でもハエや蚊、その他迷いこんでくる雑多な昆虫のうちの一つでしかなく
室内温度が氷点下になるような隙間風の多い日本家屋においては、
虫達は冬にはいなくなったものでした。(越冬するカメムシなどはいたようです)

平行して、
1970年代以降かねてからオフィスにしか使われてこなかったビルが
多目的化し、飲食店や住居として使われ始めました。

ビルは木造一軒家に比べて気密性が高く、空調によって
常に乾燥し、一年中温度が安定している、膨大な空間といえます。
そこからは、その土地に生息していたほとんどの生物が追い出されたのです。

ヒトを由来とする湿潤な有機物は、
公衆衛生の観点から、滞留させないことで、下水を整備し、
ハエや蚊の発生を抑制しました。

そんな中、ゴキブリは乾燥に耐え、温かいビルに適応しながら
わずかな有機物を齧ってゆっくりと成長し、
ビル内の環境への適応を果たしたのです。

彼らはそもそも衛生害虫でないので、
ビル内で殺虫剤を使うことは本来の用途でありません。
そのため、ハエや蚊の発生が抑制されたビル内の王者となったのです。

その根拠として、
ゴキブリ用途の業務用(害虫駆除業用)
殺虫剤が登録されたのが昭和53年。

http://www.pref.chiba.lg.jp/eiken/eiseikenkyuu/kennkyuuhoukoku/documents/15-p1.pdf

殺虫剤は農薬ですので、薬事法により用途(=目的昆虫の名前)が決まっています。
ビルに適応したゴキブリは、おそらく、当初殺虫剤を使用できなかったのです。

そこから見えてくるのは
「ビル管理者がゴキブリの苦情を害虫駆除業者に言い始めてから」
ゴキブリは嫌われ始めたといえるでしょう。

はたして、ゴキブリは
ビルというゴキブリに適した環境を提供しておきながら
そこに増えたゴキブリを害虫認定するというマッチポンプによって
日本一嫌われる昆虫の座をヒトによって与えられたといえるでしょう。

そのため、彼らはハエや蚊のような重篤な感染症の中間宿主となることはなく
感染症の運搬者となる可能性が指摘されているものの、それは潜在的なもので
カラスやタヌキ以下の低いリスクしかないものです。

徹底して駆除し、殺虫剤耐性ゴキブリを産むほどではないといえます。
今や感染症発生時のハエや蚊の駆除と同等の徹底ぶりです。

これでは、いざ彼らを媒介とする感染症が蔓延したときに、
殺虫剤が有効な封じ込め手段ではなくなってしまいます。

例えば病院では、抗生物質の使用を制限しており、
最も強力なバンコマイシンの利用は「奥の手」でありかなり慎重です。
それは耐性菌の発生を助長するものであり、院内感染の蔓延原因となるからです。

幸いなことに、というか不幸なことに、
そもそもハエや蚊ほど感染症リスクが高くないので
殺虫剤耐性ゴキブリが発生している現在も、
直接的な感染症のひろがりはありません。

また、
ニューヨークのゴキブリは、味覚が進化している可能性も指摘されています。 そもそも、根拠の曖昧なまま始まったゴキブリ駆除の要求は
「ほどほど」を失い、もはや
ゴキブリそのものよりも怪物となっているような気がします。

おそらくですが、殺虫剤の広告において
虫への嫌悪感を煽るマーケティングは、
薬事法の「優良誤認」を防ぐため、と思われます。

薬剤は消費者に効果を誤認させるような広告を使うと、
厚生労働省から是正勧告が入り、回収を指導されてしまいます。

そのため薬剤の効果を広告するよりは、対象となる昆虫の嫌悪感を煽るほうが
効果的であり、薬事法の面からみても安全だったのでしょう。
業務用殺虫剤から、家庭用殺虫剤への変遷は又の機会に紹介します。

もしその煽りによって、極度のゴキブリ嫌いになってしまった人がいたとしたら
ゴキブリに対する加害者というより、ゴキブリと共に、被害者といえるのかもしれません。

さて この話は

仮説や妄想を多く含んでおり、検証が必要な「言い過ぎな話」が多くあります。
なので、今の段階で、この話をさも教科書に載っている正しいことのように、
引用を明記しないまま拡散しないでください。

紹介、引用する場合はこのページごと紹介して頂くと、
私に反論がきちんと返ってきますので助かります。


少し暗い話になりました。
後半は明日、書き上げます。チョコで一年育ったゴキブリたちは
はたしてどんな味に仕上がったのでしょうか。

Mushi_Kurotowa
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昆虫料理開発
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人生迷走中 顔はクロトワ似「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか」をテーマに研究開始。食べたら美味くて研究頓挫「昆虫を美味しく食べる調理法とは」に変更/食用昆虫科学研究会 Edible insect science meeting 昆虫料理研究会 趣味自転車;鯨食文化研究;法螺貝;トランペット;リコーダー;鯨歯彫刻
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