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昨年10月に、面白い論文が出ました。

ミールワームが共生細菌と一緒にスタイロフォーム(発泡ポリスチレン)を分子レベルまで分解する

というものです。

とても良い写真とともに。

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.5b02661

確かにスタイロフォーム食ってる。
スタイロフォームとはいわゆる発泡スチロール。建築材で大量流通しているのでとても安く、
造形の世界でも大型の造形物の芯に使われたり、とっても便利な素材です。

二報にわたって示されたことには、ざっくり言うと

1,ミールワームはスタイロフォームを食って分子レベル(脱ポリマー化と二酸化炭素への分解)の分解をしている。コムギのフスマを食べさせたものとスタイロフォームを30日食べさせたものは、生存率に有意な差はなかった。食べたスタイロフォームのうち16日で半分程度がCO2へ。

放射性同位体の炭素C13を使った追跡によって確認
2,スタイロフォームポリマー(ポリスチレン)は消化管の共生細菌によって分子レベルにまで分解されているようだ

ディスカッション
プラスチック廃棄物の処理方法の1つの手段になるかもしれない。

とのこと
これはすごい。

やはり再現性が気になったのと、
30日間のその後の長期的なミールワームの健康が気になったので、
やってみました。

昨年10月から仕込んで、2パックほどの市販ミールワームを。
11月25日の写真がこちら。
 
食ってますね。底に水色の粉が溜まっているので
少なくとも粉末レベルで破砕しています。
そして4月

遅いですが食いっぷりは進んでいます。

味は。。。


あまり普通のものと代わりはない。プラスチック製品のような溶剤の香りもない。
もちろん無臭の成分でも体によくないものがあるのでおすすめはしません

追記です。
論文に記載されている分解については
ポリマー化しているα炭素とβ炭素についてラベリングしていますが
ベンゼンについてはまったくノータッチです。
C02として無機化しているということは、
好意的に見ればベンゼン環も分解されたと見えますが、

ベンゼン環はかなり安定した化合物で、分解菌も通常ほとんど分布していないこと、
変異原性があることから、分解の可能性は低いでしょう。
なので、せっかく安定していたポリスチレンからベンゼンを放出する「余計なことしい」
の可能性もあります。


続報を待ちましょう。というかベンゼンに標識した結果ってなんでないんだろう。。

なので試食はおすすめしません。今の段階では。



香ばしさが幼虫より強く、甲虫でも食感はとてもよい。揚げなくてもサクサクしている。



今のところ成虫までにはなったのですが、次世代が生まれていません。
完全栄養食とはなっていないのでしょうか。
引き続き観察します。

さて、
スタイロフォームの材料であるポリスチレンなどの
プラスチックはヒトの活動が近年生み出したもので、
自然界には本来分布していません。

こんな分子構造をしています。


紫外線でポリマーの分子結合が分解されながら
機械的な破砕とともに細かくなっていきます。

いったん表土などで被覆されたり
水に沈んだりすると
分解は相当に遅くなります。

機械的な破砕によって細かくなったプラスチック破片「マイクロビーズ」は
野生生物への悪影響があるのではないか、と懸念されています。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3725/3.html

今のところ野外での重大な影響は報告されていませんが、
実験室内での影響はあったとのことです。

そんな中で、
ペットの生き餌として使われる身近な生物、ミールワームと
プラスチックとのマッチングは
我々のプラスチック処理のシステムを大きく変えることになるかもしれません。

梱包材や衣服など、身の回りにあふれるプラスチック製品を
昆虫で転換して食べてしまう、という未来です。

はたしてこのマッチングは
「奇跡的」なものでしょうか。

そして
廃棄物処理の救世主になるのでしょうか
いまのところ結論を保留して
昆虫学のレベルからもうちょっと冷静に考えてみましょう。

中編に続きます。

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2013年にゲジを味見してからもう3年にもなるんですね。


きっとオオゲジはおいしい、と思いながらのようやくの出会いです。


今回は他の昆虫を目当てで夜間採集に行ったのですが、
目的のものはとれず、でもオオゲジは二頭とれました。

ゲジは偽複眼、という単眼の集合体を一対もつことから
かわいらしいつぶらな目をしています。

長い多くの脚に隠れて見えませんが
竹林の隙間から見えるような可愛らしい顔。すばらしいですね。

味見のまとめでも気づいたのですが

「食べる前の見た目の印象」と

「食べておいしいとわかってからの見た目の印象」
は大きく変わってしまいます。

ゲジというとムカデの仲間で牙があって、動きが早くて足が多いし
すぐとれるから触るのが怖い。触って殺してしまうのも怖い、

という感じで、
どうにも猫の背みたいな「掴んでいい部分」が見当たらないんですね。
どう触っていいかわからない、というのはなんだかお近づきになりにくいです。

ところが、一度おいしいことが分かってしまうと、
そんなのは
大した問題ではなくなってしまいます。

食べて克服すること、というマウンティングによる自分の優位性が
確かめられたことで、
相手を過大評価しなくてすむようになるのかもしれません。

「苦手な虫を食べて克服」という昔の辞書の暗記のようなことが
将来起こるかもしれません。

そして、ゲジというネーミングも悪いと思います。
ゲジという濁音二音だけ、バカが考えたような短い名前。

食感も悪そうで、ジャリジャリしそうな名前ですよね。
オオゲジといういかにも大きすぎるような印象をあたえるのも良くありません。
私たちが食べる動物性食品のうち、オオゲジは小さい方です。

そこで、

コガタリクアノマロカリス

というかっこいい名前をつけました。

学名で奇妙なエビ、という意味を持つアノマロカリス、
彼らはただデカくて海にいるだけですから
イセエビと比べてもあんまり奇妙でもありません。

陸上で捕食者として走り回る彼らこそ、「奇妙なエビ」でしょう。

食欲をそそらない和名、というのもこれ以外にも改訂していいかもしれません。


ということで、味見をしてみましょう。
茹でるとあっという間に自切し、胴体だけになってしまいました。

足先はゼンマイのように丸まります。

色は不透明になり、青みがかりました。

味見
ゼンマイのように丸まった足先の食感はゲジよりだいぶ固い。
イモムシのようになった胴体はシコシコとした食感と芋のような甘い香りとやさしい甘み、
そしてエビに負けない強い旨味があって最高。あぁうまい

奇妙なエビ、コガタリクアノマロカリス、
特に苦手な方は、その克服にいかがでしょうか。
by ケミストリー



思いは思いのままで。と歌ったのはケミストリーですが

食材のにおいはにおいのままで楽しもう、というのが今回の趣旨です。

単に消そうとするだけでは

その臭みのない他の食材の下位互換でしかなくなってしまいます。

消すのではなくちょうどいい具合に弱めて他の食材と合わせる。

フードマッチングとかフードペアリングというイメージがいいですね。

何と合わせるか、もちろんわが家の大黒柱、ゴキブリです。



以前から、生ごみ処理機として

マダガスカルゴキブリを1kgほど飼育しています。

飼育容器の開発も第6世代に突入し

強制的な換気装置と、フン自動分離機構を備えたので

半年に一度ぐらいの大掃除をする以外はノーメンテ。



彼らの天敵はカビとハエです。

どちらも抗菌剤を出して高湿度に対応する生物です。

どちらもゴキブリの健康を著しく阻害するらしく、

死体にカビもしくはハエが増え、更にゴキブリが死ぬという

負の虐殺スパイラルになってしまいます。地獄絵図です。

ゴキブリの養殖経験の長い爬虫類愛好家の方は

生ごみなどの湿度リスクを考えて

乾燥した配合飼料と水のみを与えているそうです。


ともあれ、

マダゴキによらず

彼らのヒト住居への適応能力は高いものがあります。

よく誤解されがちなのが「ゴキブリは最強の生物」みたいなのです。

テラフォーマーズも影響しているかもしれませんが。

これは全くの誤解です。

「ヒトの好みのままに創りだした環境がたまたまゴキブリにも適していた」

のです。

決して他の昆虫よりとりたてて優れているわけではありません。



ではなぜ、

ゴキブリはヒトの住居に適応できたのでしょうか。

まずは
近年のヒト住居について、もう少し考えてみましょう。

まず野外の昆虫が入ってきません。

ゴキブリは特別な防御機構をもたないことから

野外では格好のエサとして消費されています。

オオゲジやアシダカグモなどの翅をもたない徘徊性の節足動物のエサです。

ですが今の密閉性の高い住居では人の出入りが唯一の侵入のチャンスですが

警戒心の強い大型の捕食者は、なかなか入ってきてくれません。

ヒトは無意識ですが、彼らにとって我々は決して勝てない捕食者なのです。



次に、優れた空調です。

ヒトに限らず、従属栄養生物はガス交換をしないと窒息してしまいます。

ですが、ふつう、ガス交換は同時に熱の移動も伴います。

なので、本来であればガス交換と、保温、保冷は
相反するものなのです。

風通しが良くて夏暑い、冬寒い家
風通しが悪くて夏涼しく、冬温かい家

というトレードオフではなく

夏涼しく、冬暖かく、かつ風通しが良い
という空間を少ない電力エネルギーで実現しています。

空調、つまり熱交換器の実用化によって、
ヒトの住居は圧倒的に住みやすくなりました。

そして断熱のよい構造体。鉄筋コンクリートですね。

ゴキブリは住居がビル化する前は、
家を通過するごくありふれた昆虫たちの一種でした。

ところが、気密性が高く、乾燥したビルに、
有機物を大量に置く、という

選択的ゴキブリ誘引トラップが設置されたことで

我々はゴキブリを誘引され、屋内で養殖して
そしてそれに人々が驚く、という

不幸なマッチポンプを生み出してしまったのです。


さて、
ゴキブリといえども、マダゴキはマダガスカル出身ですので、
日本人とマダガスカル人どころではなく、キツネザルぐらい遠縁のものを

ゴキブリという和名でくくって嫌がってしまうのも、なんだかかわいそうなものです。

なんとか印象を挽回する方法はないものか。
やはり、

彼らをおいしく食べる事を考えましょう。

今回使うのは、美しい脱皮直後のメス成虫です。

白い。美しい。


昆虫は、陸上での外皮の硬化に色の出る化学反応を使っているので、
残念ながら茶色っぽく、黒っぽくなってしまいます。

しかし脱皮直後は別です。色素の少ない、透明感のある美しい姿は
食感もよく、食べごたえもあり、最高の時期だと思うのです。

しかし、
ゴキブリにはゴキブリらしい臭さがあります。

ケミカルというか、ムレ臭というか、ゴキブリ臭とも呼べますが。

集合フェロモンだそうで、ゴキブリのフンからも同様のニオイがします。

以前にチョコを食べさせた時、そのニオイが低減したことから、
何らかの食事制限によって多少変動はさせられそうです。

今回目指すのは
「ゴキブリ臭い、けれどもゴキブリクサおいしい」という未来の料理です。

そして、以前の粉末バッタが粉末としての利点を活かしたことをふまえて
体のままであることを活かした料理とします。

「注入」です。

羊の腸の皮に他の畜肉を詰め込むという黒魔術のような料理、

ソーセージと言われるものは今では世界中に普及しています。

単なるひき肉つくねでは得られない、パシッとした食感が

その悪印象を払拭してくれる「おいしさ」なのでしょう。

そして、脱皮直後のゴキブリは柔らかく、中身が結構スカスカです。

脱皮時にしか外皮の表面積は増えませんので、

外骨格生物は脱皮すると先に外の大きさを決めてしまい、

後から中が充実してきます。

そのため、最も身が張っているのは脱皮直前なのです。


余談ですが、外皮が比較的柔らかいセミ幼虫は

肉がしっかり詰まっていて圧力の高い脱皮直前のものが一番おいしく、

脱皮直後のものは美しいですが、

濡らしたティッシュのようにやや味気なくなってしまいます。


話を戻します。

今回注入する液体は
「既存の料理に使う調味料」の組み合わせで作ります。

ムレ臭のような香りはニンニク、
フルーツのような華やかな香りはワインビネガー

注入する都合からニンニクのワインビネガー漬けを作りまして

苦味要因としてチーズ(材料にセルロースを含まないもの。含んでいると注射器が詰まります)

そして結着剤として卵を入れ、「ゴキブリ臭く」仕上げます。

ダイソーで売っている化粧品小分け用の注射器を使い

脱皮直後の余裕のある外皮に対して、尻から体側面にたっぷり注入します。


深海のヨコエビのような感じになりました。

これをバターと胡椒で低温じっくりと焼き上げ




トマトとアイスプラントで仕上げ。

 

おいしい。。確かにゴキブリ臭いけどだがそれがよい

プリっとふくらんだ腹部はパンと張り
チーズとニンニクの旨味がじわっと。
フレッシュトマトのジューシー感とアイスプラントのさくっとした食感と酸味。

いずれもすばらしい!おいしい!

マダゴキの新たな可能性を感じました。

同時に「言語化=情報化」と「見立て=抽象化」のパワフルさも。

ゴキブリの味の特徴を言語化し、他の食材で見立て、

相性をマッチングして作っていく、創作料理のエキサイティングな過程を体験できました。

プラモデルで言うところのキット改造からフルスクラッチへ。

昆虫料理を既存の料理のアレンジではなく、フルで創作する段階に来たのかもしれません。
さて、

私は今日まで419パターン272種の昆虫、
及び陸上節足動物を味見して、記録してきました。

これは
食べた数を競って他の昆虫食愛好家へマウンティングをするためではなく

(同定すらできないのに幼少期より生で数千種を食べたと豪語する、
発言する度にその期間や数がなぜか過去に遡って増えていく方もいて
昆虫食界隈はなんともアレです。)

私の味見は
昆虫を食べたことのない人が、食のバイアスにとらわれず
自分とマッチする昆虫を見つけるまでの適したモノサシを開発すること
が目的です。

また、
昆虫食をやって味見をしているというと
ランキングをよく聞きたい、と言われるので、
きちんと数値化したいという願望もありました。





官能評価については、私が専門でないので、こちらの記事を参考にしました。(pdf)
官能検査 4 官能評価に用いられる統計手法

(官能といいますが官能小説との関連性はたぶんありません。)


味見、つまり官能評価は2つの方向性を持ちます。

A,ヒトをモノサシとして昆虫の味がどうなっているのか調べる

B,昆虫をモノサシとしてヒトの味覚がどうなっているのか調べる

今やっていることはあくまでプレ調査なのでまだまだ統計解析というか「集計」レベルです。
ABどちらの方向から考察するにも十分とはいえませんので、
まだまだ「皮算用」レベルです。

しかし、
予備実験としてみても、いろいろな改良点や将来性が見えてきました。




まずはAの方向から

私の味覚が正しいと仮定して、昆虫の味がどうなっているか見てみましょう。
ランキングなので、100点満点にしたいものです。

スコアリングは

4段階の基礎ポイントを割り振りました

1 わるい 3点
2 どちらかといえばわるい 8点
3 どちらかといえばよい 13点
4 とてもよい 18点

続いて、
加点減点ポイントがあればプラスマイナス2を適宜追加して、
各項目20点満点で評価します。

項目の選択も苦労しました。

やはり「みため」の影響は大きそうなので、一項目入れています。

また、昆虫生態学が将来の昆虫の食利用のベースになるでしょうから
生態を踏まえた将来の利用可能性「のびしろ」も一項目入れました。

昆虫を食べた評価を表す指標としてかおり、のどごし、あじわいの3つを使いました。

先味、後味や、5基本味の詳しい比較については、
私のたった一人の解像度では心もとないので先に紹介した味覚センサーに任せることにします。

それらを重み付けをせずに、そのまま合算する、
というとても荒々しい方法ですが、419パターンについて全て、スコアを出してみました。

例えば、
ホオズキカメムシのスコアを見てみましょう

みため  3 -1 12点
かおり  4 +1 19点
のどごし 3 +2 15点
あじわい 3 +2 15点
のびしろ 4 +2 20点


見た目は普通のカメムシですが黒っぽく、ゴツゴツしているので減点1
香りはヘリカメムシ科特有の青りんごの香りで加点1
のどごしは口吻タイプの昆虫らしく華奢で口に残らずなめらか、しかし特長も少ない 3加点2
そして味わいは穏やかなカメムシらしい柔らかい味に、食草であるピーマンの刺激がピリッとあって加点2

将来性は既存のピーマンなどで養殖できる点、食草由来のピリ辛と、
昆虫特有のいい香りの組み合わせが楽しく、他の昆虫にない特長なので、満点の評価とします。




次にランキングの根拠となる
トータルスコアを概観してみましょう。

手に入りやすい昆虫は何度も、いくつものステージを食べているので
種ごとで平均値をとって集計しました。

平均値が66
区間が23から95

ハイスコアの方向にやや歪んだ山型の分布をしています。
まあまあ悪くないバラ付きかと。

昆虫を全くのランダムに、そして私が全く正確に
昆虫の味を記載すると正規分布のような左右対称の山型のスコアになりそうなものですが
この歪みはなぜでしょうか。

各項目(みため、かおり、のどごし、あじわい、のびしろ)の相関分析をしてみたところ
のびしろとみため、においてのみ、有意な相関が見られなかったものの

他の項目で相互に有意な正の相関がみられました。

スコアを出すにあたって合算する項目同士は本来、それぞれが独立であることが望ましいのですが、
影響しあっているようです。


改良して、より正しくなる
スコアリングの方法を考える必要が有ると思われます。
考えてみましょう。




先のAの方向から見ると、
つまり私の味覚は各項目を独立に評価していて正しいと仮定すると

「昆虫はあじわいのいいものほど香り、のどごし、将来性がある」
という相関がある、ということが出来そうです。

逆にBの方向からみてみましょう、
「昆虫の本来の味スコアはそれぞれ独立だが、私の評価が相互にプラスの影響を受けてしまっている」

ホオズキカメムシでも、将来性の見積もりに味や香を要因にしていますから、
この影響はあるでしょう。


そのため、
Bの可能性、予断による私の味バイアスを排除したいところです。
多くの人に、中身や見た目を隠した状態で食べてもらう
ブラインドテストがあるとよりよいのでしょう。

しかし
「何かわからない食べてもらう」というのは
なかなかハイレベルな協力者が必要です。

「あの、すみません。目隠しして茹でた昆虫の一種をたべてもらいたいのですが」

とはなかなかお願いできないものです。

ブラインドテストと同様の結果をシミュレートする、という意味で、
味わいについては以前に紹介した味覚センサーも
予断のない昆虫の味スクリーニングを強力にサポートしてくれる
ことでしょう。

のどごし、香りまで含めて質の良いブラインドテストをするためには
「中身がわからない昆虫を食べて評価してくれるヒト」が多く必要であることがわかります。



私が研究や理論をベースにはしていますが、
昆虫愛好家の広がりを大事にするのもこのためです。

質の良い官能評価をしてくれる市民昆虫食愛好家に
研究者は情報や美味しさの尺度を提供し、奉仕することで、
彼らの協力をいただきたいのです。

また、
「昆虫食は健康によい」と、声高にアピールすることもしたいのですが
今は健康に関する統計的調査のレベルが向上したことと
健康をうたう変な商品が蔓延して消費者被害を出し続けていることから
そこらへんのハードルは高くなっています。

今年の4月から
景品表示法違反による課徴金が追加されることから、事業者側のリスクを高くするほうが望ましい、という
社会の流れがあります

健康効果について
参考になるのがコーヒーです。



カフェインなどの毒成分を含みながら、大規模な疫学的調査により
「メカニズムはわからないが、コーヒーを適度に飲む人は総合的に健康な傾向がある」
(コーヒーがヒトを健康にする、とまでは言えないのですが、コーヒーを飲むことで死亡リスクなどの重篤な健康を害するメカニズムは今のところなさそう、あっても小さいだろう、とまではいえます。)

との報告がありました。
単一の嗜好品で、文化や経済状況にあまり関係なく広く飲用されており
悪影響もふくめてその効果がここまで明らかにされたのは
コーヒーが最先端ではないでしょうか。

昆虫食に関しても、健康に関する大規模な疫学的調査をするためにも
「昆虫食が健康にいいかどうか関係なく昆虫を食べるヒト」が
恐らく世界に、バラバラに10万人ほどいれば、総合的な昆虫食の評価ができるでしょう。

それまで
「自発的に昆虫を食べるヒト」をマイノリティといえるレベルまで増やすことが
第一のフェーズです。

そして、
第二に、「食べているヒトがいるから食べるヒト」という
自発性の低い集団に安全な昆虫食材を提供できれば、昆虫食ブームが起こった後、定着へと向かうでしょう。

その時に、
第一のフェーズで食べ始めた、ファーストペンギンな愛好家は、
愛好家同士の狭いマウンティング合戦ではなく、
ライト層の定着に向けての活動を始めてもらいたいと思っています。

そのフェーズの切り替えにあたって第一フェーズの愛好家同士で
「昆虫食は今どのフェーズにあるのか」という議論ができれば、完璧です。

自発的な集団が、周囲の集団に利益をもたらしていることを
社会集団全体から信頼されるようになると、

ゆくゆくは社会の壁を突破し
「昆虫を食べるヒトがいるのも当たり前の社会」になるでしょう。




さて

ランキングをよく聞かれる、と最初に言いながら、
話が蛇行してしまいました。

せっかくスコアリングしたのですから

皆様お待ちかねのランキング

…といいたいところですが

ブログとはまた別のメディアで、ランキングについては
読んでいただこうかと考えています。

もう少しで皆様にお知らせできるかと思いますが

お待ち下さい
以前に見て、
たいそうお気に入りの映画。インターステラー


クリストファー・ノーラン監督の映画は

バットマンシリーズやインセプションを見ましたが

わかりにくいものをわかりにくさを含めて誰にでもなんとなく分かったように見せて話をすすめる」という

非常に詐欺師に近い恐るべき能力を持っているように見えます。

ほんとうにこんな才能が平和利用されてよかった


題名にも書きましたように、

インターステラーは星の間を移動する映画ですので昆虫食は出てきません

ですが、
星を移動する動機は食糧事情の逼迫です。

劇中に出てきた作物と登場人物の発言から推測すると、
昆虫食にとって恐るべき事実が明らかになっているのです。

ハードSFってのはいいですね。
科学ベースのいろんな想像をそこに重ねられるので、
妄想が捗ります。

以下盛大にネタバレをします。

インターステラーは特に、ネタバレと大変に相性の悪い映画ですので
これから見ようという方は決して読まないでください。
まずしっかり見る。




そして劇中の将来の食糧事情と昆虫食について語りましょう。


まず指摘するのは
「インターステラーでは昆虫生態系と昆虫食文化が崩壊している
という事実です。

2015年に改定された「食用昆虫リスト」は、2000種を超え、
今でも20億人が何らかの昆虫食品を食べています。

食べるだけでなく、菜食、果物食にとっても重要な送粉者で、
日本においては農産物産出額の8.3% 4700億円もあり、
うち3000億円が野生の送粉者によるものとされています。

http://www.niaes.affrc.go.jp/techdoc/press/160204/

農業殺虫剤の市場が1000億円ですから
雇用を産んでいないだけで既に一大産業といえるでしょう。

劇中では
人類は60億人をピークに減り続けている、と話されていました。
このままの増加率でいくと100億人になる、と言われていますから、

劇中の世界では人口増加が食料の逼迫の主な原因ではなく
先に農耕地の開発が行き詰まり、荒廃が始まり、
耕作可能地域が減少した結果と考えられます。

また、
残された耕作可能地域をより効率的に主食の生産に活用できるよう
効率のよい作物を選抜し、特に近縁のものだけを栽培し続けてきた結果
コムギ、オクラ、そして最後はトウモロコシの順に疫病が蔓延し、

「人類は窒息する」とのことです。

しかし変です。
現在でも、多くの酸素は森林が生んでいますので、田畑に単一の作物に対する疫病が
蔓延したからといってすぐに窒息することはないでしょう。

つまり、
この時点で森林は既に開発済みで、
使える田畑と使えない田畑(砂漠)の
二種類の陸地しか残っていなかったと考えられます。

これで砂の多さにも納得です。

しかも先の
コムギ、オクラ、トウモロコシは、いずれも風媒花です。
そこから、送粉昆虫の生態系もすでに崩壊していると思われます。

これは困った。


食糧事情が逼迫しても、もはや食べるべき昆虫は存在しないのです。
土壌細菌との共生が必要なダイズが食品にないことから、
土壌細菌群もかなり疲弊していることが類推されます。

昆虫食を忌避するヒトは
「飢えたら食う」とは言いますが
実際に飢えた状態にある生態系はこのように崩壊した後で
今更昆虫を食べはじめることすらできないのです。

さて、
ここから
「人類が昆虫生態系を破壊する前に昆虫を利用しはじめた未来」
というパラレルワールドを考えてみるのも一つの楽しみ方ですが

インターステラーのモットーに従えば
「過去は変えられない」のです。未来を考えましょう。




劇中、主人公クーパーは、重力を操作する理論の完成のため
自殺ともいえる英雄的行為によりブラックホール内で得たデータを、
重力を操作して娘マーフに伝えることに成功し、未来を変えました。

人類は重力を操作して土星にむけて移住ステーションを飛ばす「プランA」を実施、
地球を離れることができました。

そして
娘マーフはその5次元理論構築にあたって

父に何が起こったか、全てを理解しているようで
それまで通信機が壊れて、マン博士の妨害もあり、
何の予備情報もなかったのに、

父クーパーが
「なにものか」に土星付近で、124歳の時に
開放されるであろうことを数分の精度で予測できていました。

そして
同僚の博士ブラウンが別の星の開拓に成功していることを突き止めています。

あまりに全能なマーフ
ステーションの名前がクーパーステーションになるのも納得です。

マーフの全能性によりかかって、その人類移住計画の全貌について
読み解いてみましょう。


次に言えることは
ステーション内で
分解性昆虫の食利用は少なくとも採用されている」ということです。

重力操作については全くの物理ベースのSFなので、
アントマン同様触れることができません。

しかし、
重力操作はあくまで手段であって、目的は食糧事情の改善です。

ステーション内では、どのように食糧事情が解決されたのでしょうか。

まず目につくのはトウモロコシです。
父クーパーが帰ってきた時、ステーション内では野球グラウンドが整備され
芝生があり、土壌がありトウモロコシが植わっていました。

作物への疫病が地球に居られない原因で、その解決はできなかったのですから
ステーション内に疫病を持ち込むことはできません。

すべての物品について検査し、滅菌してから持ち込んだものと思われます。

すべての物品について

そうです。
あのステーションにあるものは、すべて意味があるのです。

次に、昆虫がステーション内にいるかどうか、
確認してみましょう。

ここ

ラザロ計画の記念碑があったすぐ横
ここに昆虫が飛んでいます。

もう一箇所 トウモロコシ畑にも。


しかし、
野球場の芝生や住居の樹木、農地がちらっと映りましたが
訪花昆虫を必要とする作物は見当たりませんでした。



先に言いましたように、
このステーション内に意味のないものはないのですから
何らかの目的で訪花昆虫ではなく、分解系の昆虫が利用されていると考えられます。

ステーション内の食事については一言も触れられていないのですが
効率の悪く、窒息の助長になる大型哺乳類家畜はとうの昔に居ないでしょう。
地球でも既に滅亡していたものと思われます。

トウモロコシベースのデンプンと、
そしてヒト由来の有機物、つまり人糞を昆虫で再利用した
タンパク質が、主な食事でしょう。

そして農場に飛んでいる昆虫は、疫病対策のため、バックアップの
遺伝資源として放飼されているものが映り込んだ、と考えられます。

トウモロコシの残渣やフスマ、人糞を原料に
ハエやミズアブなどの分解性昆虫を作用させ
高タンパクの食料を、低エネルギー、低水消費で分散処理していたのでしょう。


そこから、
なぜマーフが最後、父をステーションから追い出したか、
という本当の理由も見えてきます。

マーフは父が農場を好きでないことを知っていました。
124歳にもなって、90年ぶりに世界を救って帰ってきた父に、
今更昆虫を食え、とはとても言えなかったのでしょう。

マーフは父に「ブラントの元へ行け」と促します。
寸分たがわず用意されていた実家があるにもかかわらず
所在なさ気に「ここはきれいすぎる」とビールを飲んでいた父。

そのアンニュイな表情は、
ハエやアブなどの不潔に見える昆虫食が、たとえ衛生的に管理されていたとしても
口に合わなかったのではないか、と類推させます。

ブラント博士も
おそらく昆虫を食べない食習慣のままエドマンの星に行っているので
この宇宙において唯一の食生活の合う人類でしょう。

ステーションから
備蓄食料も持ち出さず、
整備中の探査機のようなもの単機で飛び出します。

これはどうみても、
ステーション内の食が合わなかったとしか思えません。

マーフの最大の誤算は、
父のために昆虫でない食料を用意できなかったこと

そして、父が、
意外にも昆虫食が口に合わなかったことだったのでしょう。

しかし
全能マーフは父に昆虫食について一言も言わずして、
父の願望を言い当て、ロマンたっぷりにブラウン博士の元に行くよう促します。

さて、
移住先のエドマンの星では、ブラウンと父クーパーはどのような農業を繰り出すのか。

そしてステーション内の昆虫食文化をもつであろうプランAの住民と、
受精卵で運ばれ昆虫を食べないであろうプランBの住民とブラントとクーパー

この先、
うまく融和できるでしょうか。
食の軋轢による新たな人類の分裂がおこらないか、とても心配になりました。

インターステラー2「食の葛藤」カミングスーン

じゃないですか。そうですか。
Mushi_Kurotowa
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Mushikurotowa 
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男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
人生迷走中 顔はクロトワ似「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか」をテーマに研究開始。食べたら美味くて研究頓挫「昆虫を美味しく食べる調理法とは」に変更/食用昆虫科学研究会 Edible insect science meeting 昆虫料理研究会 趣味自転車;鯨食文化研究;法螺貝;トランペット;リコーダー;鯨歯彫刻
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