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今まで目をつけていたものの、味見に出会えなかった虫がいました。

オオシモフリスズメ Langia zenzeroides

シモフリスズメが美味しいことは以前に味見して知ってはいたのですがそれから更に大きく、
しかもサクラを食べるというのです。しかしなかなか採集が難しい、
というか採集スポットが限られています。

そして、このネット全盛の世の中にあって
希少種の採集スポットの多くは「口伝」です。
流石に全国的な絶滅危惧種ではないのですが、
レッドデータブックではあまり状況はよろしくないとのこと。


富山県:絶滅危惧Ⅱ類
石川県:準絶滅危惧
滋賀県:情報不足
大阪府:準絶滅危惧
兵庫県:準絶滅危惧
高知県情報不足
佐賀県:絶滅危惧I類

少し話はそれますが
環境省の方針でも、希少種の詳細な生息地情報はかなりナイーブに扱われます。
希少種を保全するためには必要不可欠な情報ですが、「希少」というだけでプレミアム感を
感じてしまう人も多く、採集禁止などの具体的な規制を事前に公表してしまうと、
駆け込み乱獲も起こるそうです。

また、そのようなプレミアム感を商売にして希少種を高値で売り抜ける業者も
いるそうで、情報を保護の用途に限って公開することは難しく、
悩ましいものです。

科学の世界で再現性は重要とされますが
再現性もなにも生息地が破壊されてしまえば元の木阿弥。
生息環境は学術論文よりも重いのです。

それに習いまして、今回のオオシモフリスズメの採集場所もネット上には載せないこととします。
この場所は近年街灯として多く設置されていた水銀灯がLED化されたそうで、昔から水銀灯に集まって来ていたオオシモフリスズメが激減したそうです。

そのぶん産卵には成功しているでしょうし、食樹はありふれたソメイヨシノですので
この大きな美しい蛾が、あなたの街にやってくる日も近いかもしれません。

今後に期待しましょう。

さて
成虫から以前に食べたクロメンガタスズメの成虫のように、密度の高い、しっかりとした剛毛です。
食べづらく、のどにひっかかるのでオススメはしません。

そこから卵を産ませて孵化したものをサクラの葉で飼育しフンを乾燥させて軽く煎り、お茶にしつつ

幼虫、前蛹から蛹までを集中的に味見します。


育ててみたところ、あまり難しさは感じませんし
カレハガのように、高密度で食欲が低下する(譲り合ってなかなか葉を食べ尽くさない)という現象も起きませんでした。
ふれあうと威嚇することもありますが、共食いや傷つけ合いもなさそうです。

惜しいところは年1化なので、春にしか発生しないところ。
もしかしたら冬眠状態を人工的に作ることで休眠を打破し、サクラのあるうちに何度も養殖できるかもしれません。
温度調節できるインキュベーターがほしいところです。

途中、脱皮の失敗によって口器がゆがんでしまった個体について、味見をしました。…おいしい。。。

モンクロシャチホコのような濃い桜の香りはないのですが、全く苦味もクセもなく
外皮の食感、のどごしもすばらしい見事な味です。
トビイロスズメに比べるとややタンパクよりも脂質に寄ったコクの強さはあるのですが
いい味しています。
これを十分に育つまでしっかり育てて
前蛹と蛹を得ました蛹は前蛹はアワビのようなコリッコリの食感。
むしろアワビを食べるよりも昆虫を食べてきた歴史が長いのですから
「アワビを美味しいと思う我々の味覚嗜好の本来のターゲットは前蛹」
といえるかもしれません。続いて次の記事では、オオシモフリスズメをつかった料理開発と、
「情報を食べる人類からシステムを食べる人類へ」という
未来の話まで考察していきます。
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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