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続いて、料理開発に参りましょう。フン茶は桜の香りが強く残っていて、少しの渋みもあり、素晴らしいお茶です。

桜風味の餡はこちらを使いました。
https://www.marumiya.co.jp/cms/web/viewitem/4183/1

期間限定で、今手に入らないのは残念。

蛹は外皮が硬めで、内部が柔らかいので、
今回は分離させてみました。

外皮は揚げてきな粉にまぶし、内部はトレハロース混ぜあわせて加熱し撹拌して餡にします。

とても美味しい。

ただ揚げただけでも揚げたては美味しいのですが
次第に外皮がしっとりし、内部は冷えてスポンジ状にスカスカになっていきます。

今回使ったマグカップは、透明感のある美味しそうな幼虫を描くことで
私の中で評価の非常に高い(世間的にも評価が高いですよ)西塚emさんの作品を使わせていただきました。

別バージョンで、大阪自然史博物館友の会にて制作した
http://omnh-shop.ocnk.net/product/1457  虫へん湯のみを使ったものも作りました。


ここで困ったのが
「季節感」です。オオシモフリスズメの旬は6月初めから中旬
サクラの葉も同じように青々しています。そろそろサクランボもとれます。

ですが、サクラの季節はなんといっても早春、雰囲気をどうすべきか
いまひとつはっきりしない仕上がりになってしまいました。無念。

この後、多めに作った揚げ外皮のきな粉まぶしを2日ほど常温においておいたところ
いつまでもサックサクで、嫌な香りもしないことに気づきました。
そして、冷蔵しておいたトレハロース餡も劣化していません。

「外はサクサク、中はしっとり」
という新鮮揚げたての蛹は大変おいしいものですが
揚げ置きや揚げ直しをしたり、古くなるとどんどん風味が悪くなります。

今、皮と内部を分離してそれぞれ調理することにより、
それぞれの風味や味を長期間楽しむことができるようになりました。

これは「脱構築」です。構造を一旦解体することで、
食材本来の美味しさを長時間楽しむことができるのです。

次にできることは「再構成」でしょう。

外はサクサク、中はしっとり、
そしてそれぞれを合わせても外のサクサクが失われない。

もうおわかりですね。

モナカです。



モナカの餡の特徴は、
「糖度を高く、甘みを少なく」だそうです。
糖度を高めることで餡のしっとり感が皮を湿らせることはなく
甘ったるくならないよう調整するとのこと。

トレハロースはショ糖の半分の甘さですっきりしているので、
モナカの餡にぴったりです。

そしてできたのがコレさて
ここまで考えて

将来の食のあり方について考えてみました。


オオシモフリスズメに将来性があるのは、全国津々浦々に
ソメイヨシノがあるからです。

また、ソメイヨシノは花見用でクローンですので、果実を付ける必要もありません。
秋には落ち葉がゴミになってしまいます。

それらの葉を有効活用し、このような甘味として味わえたら、バイオマスの有効利用ですし、大変に「粋」だと思うのです。

多くの人が自給的農耕をしなくなったことで、ほとんどの食品は現金で購入するものになりました。
そんな中、「現代人は情報を食べている」と言われます。

ですが、
そうすると、家庭菜園で育てたマズイ野菜を食べたがる気持ちがいまひとつ説明できません。
情報の信頼度という面から見たとしても、プロが作った野菜のほうがおいしく、安いことは明白です。(自分で作ったほうが安心安全、というウリ文句もなんだか違う気がしています)

また、
情報を食べるようになったことで、脆弱性も生まれました。
誇大広告であったり、食品偽装などの詐欺的行為によって
本来の価値のないものに高い値段をつけて購入してしまうのです。

そこで、未来の食料生産の健全化のために次の提案をします。

「システムを食べる選択」です。

情報は常に更新しないと、ウソが混じります。
また、ウソを暴けないシステムを構築しておくと、そのウソは長年にわたってまかり通ります。

そのため、
情報を更新し、ウソが混入すると明らかになる、排除できるシステムを食べる(お金を出して購入する)のです。

我々人間の体もシステムです。ウソが混入すると、最悪の場合食中毒で死に至ります。
訴訟しても健康は帰ってきません。

そのようなシステム管理は国際規格やHACCEPなどで認証が行われてきました。
将来的には昆虫生産も認証をとりたいものですが、今のところそこまでの市場がないのが現状です。

システムを食べる、という概念が普及すると、

昆虫には大きな利点があります。

「脱集中化」です。Decentralization とも言われます。

今の多くの食料生産は集中化によって価格を下げています。

郊外の広大な農地から自動で穀物収穫貯蔵するシステムであったり
畜産農場も悪臭や水質汚濁の懸念から都市部から大きく離れています。

ところが、昆虫は悪臭や廃液を殆ど出さず、
植物に比べて土地依存度が低い、しかも特別な処理をすることなく
キッチンでおいしく調理できる、という意味でも

消費地に近接した養殖に、昆虫食導入のメリットがあると考えられます。

そこで見られるのは、「食べる寸前まで元気で生きている家畜」です。
そこに与えるエサも見ることができます。

近くに生えているソメイヨシノであったり
家庭から出る野菜くずを使った雑食昆虫養殖であったり、

消費地に近接した養殖は、そのシステム全体を見渡すことができます。
そのため、ウソが混入しにくく、また緊急時にインフラが止まった時の頑強性も高いのです。

1ヶ月の食糧の10% つまり3日分備蓄があれば、災害時に大きなメリットになると言われています。食品残渣は購入食品の約40%と言われていますので、それらの10%を昆虫で再利用されれば4%の備蓄

更に、身近にある非食用のバイオマスを転換し、6%の食品生産をすることができれば
食品の10%を楽しく、災害に頑強な食料生産が都市部でできるようになるでしょう。

家庭菜園がここまで「赤字」なのに支持されるのも、
「システムが明朗でウソが入りにくく、見渡せる」ことがその大きな理由と考えられます。
システムの多くを生物に丸投げすることで、失敗した場合に枯れてくれる安全装置も魅力です。

つまり、もう私たちも、
情報ではなく、システムを食べる順応をすでに始めているのです。


それではもっと具体的に考えてみましょう。

わが家には野菜くずを利用してゴキブリを利用するシステムがあり
そこから出たオスゴキブリを主に間引いてアリを飼育しています。
近所からいただいたソメイヨシノの葉を使ってオオシモフリスズメは育てました。
ベランダではバッタ用の草も準備しています

できるだけ高密度、省スペースで飼育したいのと
取り扱いを簡単にしたいので、一つのモジュールは5kg以内、大きさは
タワー型PCぐらいにしておきましょう。

密度を高めるので、ガス交換と、湿度の管理を自動でできるとなお良いです。
機械的システムを作ると基本的に廃熱が出るので、昆虫の最適温度は
常温より少し高め、日本で言うと亜熱帯に適した昆虫を使うのがよいでしょう。

脱走した時も冬場の寒さで死ぬことが望ましいです。
グルメからすると、単一の種では飽きるので10種ぐらいを、2週間に一度の簡単な世話で飼え
半年に一度の大型メンテナンスをすることで維持できたらいいですね。

という感じのシステムを形にして見せるべく、


ちょっと動いています。


ワインのラベルのような紙に書かれた情報ではなく、食料生産の現場をそのまま見せることで

「美味しいシステムを食べる食事」が演出できれば、と思っています。

またご報告します。

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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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