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ディズニーの最新作
ズートピア



全く興味はなかったのですが、
ディレクターJared bush のこの発言を見かけて、私の心はざわつきました「調べたんだけど、ズートピアの肉食動物は植物ベースのタンパク質と昆虫を食べているんだよ。バグバーガーは彼らのお気に入りのレストランさ」初期段階では喋れないように「進化」した魚を食べていた設定だけど混乱するからやめた。乳牛のような「家畜」哺乳類は避けようとした。そしてどこかにいたとしても、鳥は見せないようにした。


なんと、昆虫食映画だったのです。

バグバーガー店舗は残念ながら劇中には確認できなかったのですが、公式ですし
しかも養殖昆虫が使われている可能性が高いので、近年最も先進的な養殖昆虫食映画だといえるでしょう。

また、
昆虫食の様子が「劇中で触れられていない」というのもなかなかおもしろい話です。
物語の本筋自体は、レイシズムを動物に置き換えた説教臭い優秀な教育映画でした。

更に、現在の動物福祉あたりの種差別もからめた皮肉だかユーモアを入れて脚本を仕上げるあたりが賢さ全開です。

全てのシーンに意味があり、最後まできちんと伏線として回収するあたりも見事
天才をとりあえず集めて、一人の天才ではできないことを集団で成し遂げるという
世界最先端の知的生産物だといえます。

つまりはいい映画です。これから設定をいろいろ考察できるのも、
脚本に破綻のない素晴らしい映画だから楽しめることです。

昆虫食に興味が無い方にもおすすめです。

以下は
ズートピアの食料生産を考察するために、
ネタバレをしますので、未見の方は読まないことをお勧めします。


1,ズートピアの住民の権利「ZOO権」

はじめに、
ズートピアがパラレルワールドではなく、我々の地球の将来、と仮定して推測します。
「DNA」という言葉が出るように、姿形だけでなく、遺伝様式も彼らと
現在の動物とは系統関係にあるといえるでしょう。

その食料生産を考察する前に、
劇中の動物たちに認められている権利、「ZOO権」について
(あくまで独自のZOO権であってアニマルライツではありません)
考えてみましょう。

二足歩行で言語を理解し、衣服を着ることが「文化的」であり
食に関しては菜食と昆虫食が採用され、それが「進歩的」である、
というなんとも人間臭い社会常識のズートピア。

音楽やファッションなどの娯楽も守られています。
通貨での貨幣経済も成り立っているようです。
ドーナツを食べて太る自由もありますし
食に関する個人の自由は最大限に尊重されているようです。

婚姻の自由に関しては深くは語られなかったのですが
異種への転換をすること、異種間に子孫を残す技術はない模様です。

トガリネズミが出てくることから、最小の哺乳類までZOO権は付与されているようです。
唯一出てきた哺乳類以外の生物はハエ、意思のない、不潔の象徴として表現されていました。
彼らにZOO権はないようです。

衛生に関する法律があることも語られたため、バクテリアも存在するようです。

我々の現在の社会と近いものがありますので
違和感なくすんなり話に感情移入できますが、彼らがもともと
野生の哺乳類だったこと、また、栄養要求性に関しては
進化してもあまり変わっていないことを考えると

彼らのZOO権を、人権と同じように尊重すると大きな問題が生じていることが推測されます。
食糧問題です。彼らの食性は、ヒトとは大きく違うからです。

現在のヒトの食生活においては
ZOO権を認めておらず、多くの家畜からの搾取で成立していたので
それらからの搾取ができなくなったズートピアでは、
ヒトの真似事ではない、独自の食料生産を考えなくてはなりません。

また、鳥、両生類、爬虫類、犬猫、霊長類、ヒトが出てこないことから
ズートピアの生態系はかなり歪です。



ズートピアを「エコトピア」と呼ばないあたりに、生態系を正しく利用する理想郷を
想定していないところが、この映画のグロテスクなところです。
あくまで動物園にいた哺乳類たちの楽園、という感じですね。


ディレクターもこんなことを言っています。ズートピアは哺乳類の主要都市で、他にも他の動物のための他の土地があるんだ。




2,ズートピアの成り立ち

彼らはヒトに近づく変化、二足歩行化と衣服、言語の理解を
「進化」と言っていますが、
我々の考える「進化」とは大きく異なっています。

奇妙なことに
「二足歩行化、言語習得」という人間にしか持ち得なかった能力を
多くの哺乳動物が同時に獲得したと思われます。

御存知の通り、
数万年前にヒトが知能を進化させた結果、
生態系は大きく変化しました。

もし
ズートピアが始まるときに知能を進化させたのが、
何らかの一種だった場合、その種が優占することとなり、他の動物にも影響するでしょうから
ズートピアで見られている種構成が大きく異なっているはずです。

いわゆるチンパンジーなどの数種の類人猿が寡占したのが
「猿の惑星ジェネシス」ですね。

「知能をもった猿が支配する未来」が来ていないことを考えると
「複数の哺乳類において同時多発的に知能向上が起こった」といえます。

そういえばズートピアにサルが出てきません。これも妙です。

つまり… 「ズートピアは猿の惑星の続編」という仮定が成り立ちます。

ヒトとサル、犬猫、先に知能化された霊長類があり
動物福祉の観点から「動物園の動物」が後追いで知能化されたと考えられます。

そして、、、、

ヒトの惑星から猿の惑星、そして動物園の動物の惑星へと、数百万年のタイムスパンで代替されてきたと思われます。

その代替が選挙によって穏やかに行われたのか、それとも種差別と殺戮の応酬によって
歴史ごと塗り替えられたものなのか、語るものはもういません。

もう一つ、気になることがあります。彼らの社会の進歩の無さです。
動物の種差別を乗り越えようとする段階は、まさに今のレイシズムを乗り越えようとする
人類の過渡期と同様で、数百万年の蓄積があるとは到底思えない「未熟な社会」です。

また、エネルギーの使い方にも浪費が目立ちます。
エンジンを使った車、ツンドラ地帯を人工的につくる巨大な熱交換器
熱帯雨林地帯を作り出すスプリンクラー

それらがいまひとつ断熱されていない地域の境界など
ヒトがいなくなる過程において、
エネルギー問題は恐らく核融合か核分裂などで解決されたとみえます。

しかし巨大な熱源をもつことはヒートアイランド現象を引き起こすでしょうから
ズートピアは夏めっちゃ熱い、と思われます。オフィスや公共交通機関の空調は
誰に最適化されていたのでしょうか。

以上から考えられることは、彼らの進歩のない、とってつけたような「人間化」は
進化ではなく、遺伝子編集によって人為的に付与されたものと考えられるのです。

そして、医学生物学研究は、暗黒の歴史として封印されているのでしょう、
ズートピアの医療システムは極めて稚拙です。植物毒の検出すらできなかったのですから。

時系列で整理します


1、動物解放論を端緒とし、ヒトに近い動物の権利「アニマルライツ」の向上が図られる

2、動物園で飼育する動物は「飼育動物の承諾をとること」という法律が可決、事実上の動物園廃止へ。一方で受精卵の遺伝子編集により人語を解する「本人の意思を確認できる動物」が生まれる
必ずしも二足歩行は必要ないのですが、
人語を喋れるように声帯の延長を起こすため、と脳が大型化しても脊椎が耐えられるように二足歩行にしたのかと。

かくして「動物園」が動物の承諾を得た上で成立するようになる
3,動物園の動物がヒトと同等の社会参加を訴える

4,動物・ヒトの混合社会の成立 もしくはヒト対動物の戦争状態

5,何らかの理由でズートピアからヒト、霊長類、犬猫が消える。
  同時に二足歩行でない哺乳類も消える。
  戦争かもしれないし感染症かもしれない
  ズートピアにいないだけで別の場所にいるのかもしれない。

6,現在のズートピアの成立。動物園由来の生態系なので、
  空調を用いて哺乳類個体に適した環境を作ることはあっても、
  本来の生態系に住む、という発想がないのが彼らの哀れなところです
  おそらく生態学などの学者もいないでしょう。

ズートピアは動物の楽園、ではなく、
あくまで動物園の動物達が楽園化した、といえるでしょう。

その成り立ちを住民が理解していないことから、
歴史上からヒトが消えたか、ヒトが彼らの見えない所で監視しているか、のどちらかだと思われます。交通監視システムから見ているのかもしれませんね。


さて、ついに本丸、昆虫食の生産について考えてみましょう。

劇中に出てきたドーナツやパイに、乳牛由来のバターや鶏卵を使えません。
ダイズや豆乳のような代替物を使うことでしょう。
また、イネ科系穀物とダイズだけではメチオニンが不足するので
合成メチオニンを添加 http://toyokeizai.net/articles/-/113049 していると思われます。

これらの石油化学工業は、だれの仕事なのでしょうか。

主人公のウサギの実家はニンジンをはじめとする植物農場でした。

ウサギのほとんどは伝統的に代々この職だそうです。
ニンジンはカロリーが低く、草食動物は食べられるものの
肉食動物にとっては腹の足しにはなりません。

単位面積あたりの生産量の高い牧草もいまいち見られませんでした。
ズートピア住民に反芻動物が多くいることから、大量の牧草を用意する必要があるはずです。

ウサギは「伝統を守る」目的でニンジン農場をあてがわれており

主な食料生産は公的に、他の場所で管理されていると思われます。

彼らの糞便が水洗トイレで流されていたところをみると、
公共機関がそれらを回収して植物栽培するのがよさそうです。

では
ウサギが「伝統的に」ニンジンを育てていることを誇りにしているのでしょうから

「昆虫を育てる」という伝統をもたないズートピアの住民のなかから
誰に育てさせることになったのでしょうか。

答えは恐らく

「囚人」でしょう。

ここから
「人語を介さない動物がいないこと」
「ヒト、犬猫、霊長類がいないこと」

の理由が見えてきます。逮捕起訴収監されたのです。

先の歴史「5,何らかの理由でズートピアからヒト、霊長類、犬猫が消える」
に追加しましょう

ヒトも犬猫も、霊長類も、そして最後に動物園の動物も
「人語を解する」ようになった結果、出生率の高い動物が増え

市民の大部分が動物園の動物由来になり
その中で先に人語を解するようになったヒト、犬猫、霊長類は
差別的な行為や行動をしたことにより
また、
遺伝子編集されていない原始的な動物は
捕食をすること(殺人)に相当するということで
みな「投獄」されたのです。

死刑制度という「野蛮な」制度はなくなっているでしょうから
終身刑で食料生産を担う、という囚人がたくさんいると考えられます。

食料生産の権限はおそらく市長がもっており
病院内を改造して刑務所のような区画を作ったり
逮捕された前副市長が囚人服を着ていたことからもわかります。

ライオン市長が最も凶暴化を恐れていたのは、食料生産を担う囚人だったでしょう。
なので、傷害事件の犯人にもかかわらず、市民がアクセスできる廃病院へと隔離したのです。

囚人を使った食料生産によって成立している社会ですから
法制度は厳しく、屈強な警察が必要です。

つまり、ズートピアは「夜警国家」なのです。

ようやく見えてきました。

強大な権力により「市民」と「囚人」に区画され
囚人が主な食料生産を担い
市民は「文化的」で「尊厳のある仕事」を任されます。

囚人がつくった昆虫などのタンパク質は国家が管理して粉末化され一括で価格が決められ
ドーナッツやパイの材料として「見えない形で」市民に供給されています。

では、その粉末化された昆虫とは何でしょうか。

それは市民権の与えられていない、かつ物語に登場した唯一の昆虫、ハエでしょう。

ハエは糞便からも養殖できますし、フスマや脱脂大豆などの食品残渣からでも養殖可能です。
動物は塩分摂取量が少ないでしょうから、塩分に強いアメリカミズアブを使う必要はないでしょう。

すると、ズートピアの周囲に農場があることも説明できます。
刑務所でハエによって作られた肥料を農地に販売しているのでしょう。

つまり
「ズートピアはハエを囚人が養殖して提供する夜警国家」だったのです。

続編は囚人の暴動に乗じてハエが脱走し、別のインセクトピアまで逃げ帰って
人語を解するハエが市民権を主張しながら移住を求める
「ザ・インセクトピア」あたりでしょうか。

ディズニーに期待しましょう。
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悔しい…でも美味しそう
Twitterで見かけたカマドウマ実食のリンクから来ましたが、なんとも悔しいことにお腹がすいてきてしまいました…。虫は一度も食べたことが無いのに、です。
おそらく昔海老の尻尾とゴキブリの羽の成分が同じだと聞いて、海老を食べつつ虫と変わらないな〜と思うようになっていたのが原因かと思うのですが。
いい衝撃でした!

真面目に研究と実食をなさっていて、読んでいてとても面白いです。
また、苦手意識の強かった虫たちが意外と可愛い顔をしていたり、写真の良さにも驚きました。
虫食の勇気が出るまで、定期的に見に来たいと思います。

ズートピアの生き物、特に肉食動物が当然のようにドーナツやサンドイッチを食べていることに違和感があったので、的を得た考察と思います。真相はいかに…
NONAME 2016/05/22(Sun)02:54:27 編集
Re:悔しい…でも美味しそう
コメントありがとうございます。
このブログを通じて、昆虫食の再導入を目指しているのですが
「昆虫を食べたことのない人の最初の一口をどうプロデュースするか」が
一番のポイントだと考えています。
もちろん、「昆虫を食べない」と決める方への情報提供も同時に行うべきですね。

そのため、食べたことのない方のコメントが大変ありがたいです。
ズートピアはディズニーが最初に昆虫食に乗り出した記念すべき作品になるかもしれません。
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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