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アントマン。
アントルームの島田さんが絶賛してらしたので

餅は餅屋。アリはアリ屋。


専門家の言うことをまずは信じるべきだと、見てきました。

座席はアイレベルが低めの前から三列目C席。前がいいですね。
アリの目線で人間の世界を見られる良い映画です。

以下ネタバレも含みますが内容自体が王道娯楽映画で
アントマンの設定は昔からアメコミでなされていたので、許してください。
もうダウンロード発売しているので、むしろぜひ見ていただければと。



そもそも
アントマンの中核技術はアリとはなんら関係がありません

冷戦下アメリカで開発された
「物体縮小化技術」で完全に物理屋さんの仕事。
開発した博士も物理学系のようです。

なんとも解釈の難しい技術で
物体の原子間のサイズを任意に変更できるとのこと。うーん。吸う空気とか
腸内細菌とか、体の周りのゴミとかダニとかどう「縮小化範囲の判定」しているんだろう。
代謝に従って出入りする物質はその都度拡大縮小しているんだろうか、とか。
縮小化した分子と通常サイズの分子との化学反応はどうなるんだろうとか。

物語の後半で巨大化にも利用可能だとわかったので
ウルトラセブンのように自在に縮小拡大が可能なようですが。どうしたものか。体重はどうなるの?とか。
私は物理屋でないので、どこまで科学的に突っ込めるかわからんものです。


なんともすごそうな技術ですが、
その有用性と軍事利用への危険性を予見した博士はその理論と技術を完全にクローズドにしてしまいます。
雇った助手にすら「そんなものは空想だ」と突っぱねる始末。
困ったボスです。はじめから助手雇わなければいいのに。

こういう人間関係がこじれたことが原因の研究キャリアパスの困難に対して、
どうしても若手側に肩入れしてしまいがちなのは私だけでしょうか。

さて、
幸か不幸か、この助手はかなり有能だったようで、隠されたことを恨みつつも、
それに極めて近い技術を30年かけて再発明してしまいます。

イエロージャケットと呼ばれるもの。飛行可能で、レーザーまで出るスーツ。

すばらしいですね。
イエロージャケットには
縮小の恩恵をあまり受けないレーザーや飛行などの技術
(レーザーの低出力化、流体の粘性がネックになることでの飛行の不安定化)を追加するあたりに
若手の焦りとコンプレックスが出ていてとてもいいデザインだと思います。

一方の
アントマンはそのような余計な装飾がなく、スーツも冷戦時代の技術のままで
若干見劣りします。人間大になった時ですら警察のスタンガンも容易に通すほどの弱めのスーツ。
小さくなっていろいろ活躍するのですから、もうちょっと丈夫にしてあげてもいいのでは。




スーツの話が長くなりましたが、
むしろ「物語の中核」となった技術は、縮小化技術よりもむしろアリの操作技術。
スーツ技術のクローズド感に比べてかなりのオープン。
ジジイ博士が、部外者の前科者である主人公に聞かれて、さらりと言ってのけ
「電磁波を嗅覚中枢に照射して操作する」とのこと。

縮小化技術に対しては「調整器は絶対に触るな」と激昂していたジジイ博士が
手のひらを返したように、かなりオープンなサイエンスを展開しています。

元助手もこっそり博士の動向を調査しており、博士には尾行がバレていなかったので、
ジジイ博士がアリの操作技術を持っていることも元助手は調べていたことでしょう。

しかも
ジジイ博士がイエロージャケットを破壊しかねない言動をしたのに対し
警備を三倍にする予算の潤沢さをみせながら、
アリ対策には「空調の金網の目を細かくする」という大変にローテクな対策。

「アリを防ぐならバルサンを炊けばいいじゃない」




かくして、
アリの高度な行動操作によりアントマンは文字通りのザル警備を突破し
丸腰で施設に侵入し、施設とデータとジャケットの破壊という目的を達成してしまうわけです。

イエロージャケットの技術とアントマンの技術自体にあまり優劣は感じられなかったので
アリが勝敗を分けたといってもよいでしょう。

アリの行動操作、この技術はアントマンの縮小技術よりも軽く扱われていましたが

結末を見るとこの技術、むしろ縮小技術より秘匿にすべき重大な技術のように思えてなりません。

物語のラストでジジイ博士は改心し「技術を秘匿にするのは難しい。むしろ正しい者に担ってもらう」
と、30年前にに改心していれば助手とも娘ともあんだけこじれなかったのではないかと心配になる手のひら返しぶりを披露します。

ここで
物体縮小技術と抱き合わせで、なんとなく正しい者に担われることになった
「アリの行動操作技術」について、
次回作でどう利用されるか、昆虫学をひもときながら考えてみましょう。


参考文献は
アリの巣の生き物図鑑という
図鑑の形をしたなんだかすごい本です。



もう一度言います。
「図鑑の形をしたなんだかすごい本です」
専門家の専門分野のための図鑑であることに間違いないのですが、

これが他の図鑑と同様に図書館におかれることで、
どこかの子供が何かに目覚めかねない危険物です。
それほど漏れ出てくる熱量がすごい。特にコラムが読み応えがあります。
おすすめです。

アリは遺伝子組み換えも成功しておらず、というか継代飼育ができていないし
薬理学的な注射も効かない(すぐ死んでしまう)ことから、なかなか行動操作的な
研究が難しいのですが、タッチングフェロモンなどの化学物質を利用して
コミュニケーションをしていると考えられます。

また、様々な好蟻性生物が、主に嗅覚をハッキングすることで
攻撃的な蟻の群れにまんまと潜り込み、やりたい放題やっているのをみると
アリの嗅覚系が、ハッキングしやすい脆弱性をもつと考えられます。

そのため電磁波で嗅覚中枢をハッキングする、という発想自体は
かなり現実的でしょう。しかし、電磁波感受性の神経基盤を
きちんと捉える必要があるでしょうし、どの個体のどの神経細胞を
狙うかを三次元の座標として決めないと情報の混線も起こるでしょうし
なかなか難しいように感じます。


このような複雑な行動操作を電磁波で行う技術はまだ確立していません。
ただ、光感受性のタンパクを脳の特定部位に発現させて、光を照射して神経活動を引き起こし、
その機能を測定する研究があるので、ゆくゆくは実用可能な技術だとは思います。


また、
目的に応じて可塑的な行動をとらせるにしても、
アリの様子を常にモニターせねばならず、
老眼が進む博士には酷でしょう。

アントマンもアリを見るばかりでは
仕事になりませんので、

もうちょっと、
注射一発で長期間、自律的で複雑な仕事をさせられるような
行動操作があればいいのに、と思いました。




アリでは観察されていないようですが、注射により
ハチが高度な行動操作をすることが報告されています。

丸山宗則先生の「昆虫はすごい」でも、
エメラルドゴキブリバチが
ゴキブリを仮死状態にすることは知られていますが


クモとヒメバチの関係はもっと複雑で、
よりアントマンの理想に近いものと思われます。

最近センセーショナルに報道されたのが
クモの造網行動を操作するクモヒメバチの研究。



すごくおもしろいです。
本としてのおもしろさも抜群ですのでオススメします。
学生が読むと身につまされる苦労が赤裸々に披露されているので、
モチベーションが下がった時のエナジードリンク的に読むと勇気づけられます。


著者に先駆けて2000年に報告された造網行動の操作は
クモに寄生したハチがクモを殺し、10日間の蛹期間を経て羽化するのですが
クモを殺す前に、10日の蛹期間に耐える強固な網を作らせる「行動操作」を行います。

この行動操作は
「寄生者は宿主の本来の生態を利用する」と議論されています。
造網行動の一部の行動ルーティンを繰り返させることで、
強固な蛹を支える網を作らせているだろうと。

なので、「注射一発で、長期にわたって、複雑な行動操作をする」という点で

もう一つのアプローチとして、注射式の行動操作も
次作に向けて開発検討してみてはいかがかとおもいました。 



そんな私の願いを
ジジイ博士が聴きとったのか

映画の最後に「ワスプ」の新スーツがお披露目されて
アントマンは終わります。

実は、先の「行動操作」のために次世代のスーツ「ワスプ」が誕生したと、睨んでいます。



ワスプ Waspは日本語訳がまちまちで
スズメバチとも訳されることがあるのですが、狩りバチ一般を示すことが多いようです。

ミツバチはBeeで、大型のスズメバチはHornetなので

このワスプ、寄生蜂だとすると

そして、
マーベルのオールスター映画、「アベンジャーズ」に

アントマンとワスプが参戦することが示唆されました。

更に、
スパイダーマンが、出版社の枠を越えて参戦するそうです。

もうおわかりですね。

次作
「アベンジャーズ」はワスプによるスパイダーマンの行動操作がキモです。

ワスプが一刺しすることで
スパイダーマンの動きが操作され、
意識せぬままにアントマンとワスプの意のままの網を張りまくるスパイダーマン

映画後半にスパイダーマンのスーツを食い破って次世代のワスプが出てくる

かなりアレな展開が見られるかもしれません。
期待しましょう。


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とてもいい漫画に出会いました。
「ダンジョン飯」

ベタなRPGのフォーマットを使いながら、
そこに生じる生態系についても真摯に論じて、その持続可能性まで
長期的に見据えて実践していく、すばらしいダンジョン生活が語られます。



現在二巻まで発売されています。



二巻はよりディープな
昆虫食の世界が繰り広げられます。当ブログをご覧の皆様必見です。

まめだぬき先生の著書「きらめく昆虫」が食材写真集に見えてきます。


書籍版も印刷が精細で美しいのですが、電子書籍のバックライトのある画面で見ると
いっそう「きらめいて」見えました。おいしそうです。

以前にTwitterでまとめていただいた、ダンジョン飯の再現レシピについて、
ブログにまとめ忘れていたので、まとめておきます。


きっかけは昆虫食仲間の
ムシモアゼルギリコさんの出産準備でした。
赤子の管理に専念するため、他の食用昆虫が私に託されることになったのです。
昆虫はモバイルなため、宅急便で運搬可能であることが大変に便利です。

犬猫ではこうはいきません。
また、あらいぐまラスカルのように一度飼育した野生動物を、
人間の都合で野外に放つなど言語道断です。

と、
分散型昆虫ファーミングの将来性を感じつつ
受け取ったのですが、いかんせん冬、保温に気を使ったものの
熱帯出身のサソリが死にそうになってしまいました・

(同梱のゴキブリ達は元気でした。すばらしい。)

死んでしまう前に、ギリコさんの了解をとって急遽
サソリ料理をつくることに。揚げればおいしいことはわかっていたのですが、
何か別の調理法がないかと。考えを巡らせていたところ

ダンジョン飯があるじゃないかと。

漫画内で使われていた大サソリは全長1mほどのサイズだったので
このサソリだと1/10スケールぐらいでしょうか。

ミニチュアに見えるよう、100均で小さい土鍋を買っておきます。

乾燥スライムは塩蔵クラゲのパッケージをフォトショして歩き茸はエリンギとしいたけで作成しました。材料が揃った!シンプルに水炊きおいしい。ごちそうさまでした。

ダンジョン飯では食べて終わりでしたが
ココで終わらず、標本作りまでチャレンジしましょう。ということは、水炊き中でもUVで光ったということです。
「ブラックライトで照らされるサソリ闇鍋」とか美しいかもしれませんね。


さて

「最近はハードSFが無くなった」と言われることがあります。

ハードSFは1950年代に生まれ
いわゆる宇宙系、ロボット系のガチガチに理論を詰めて、
エネルギー源であったり未開発の技術を1点だけフィクションにし

その他の現象をきわめてリアルに構築するSFのジャンルです。

私が思うのは

「ハードSFが無くなったのではなく、リアルさを感じるSFの分野がシフトした」
のではないかと考えています。

「食」はリアルに変革を迫られていることを実感する分野です。
逆に「宇宙」はあってもなくてもいい、ファンタジーに近いものになっています。
また、映像技術の発達により、誰でも宇宙に行ったような景色が見えてしまいますし
無人機が活躍して有人探査が減る中、そのリアルさは薄れていくのでしょう。
情報技術だけではリアルな食を生み出すことはできませんから、
実感のある科学技術として、食品科学がより身近になったと考えられます。

ということで、「食」は21世紀のハードSFのメインになってくるのでしょう。

前にマッドマックス 怒りのデスロードについても考察しましたが
前後してインターステラーも見ました。

これらもメインの課題、登場人物の行動の動機は食料でしたし、
それについてきちんと設定を練っているところが
物語のリアルさを高めていました。

そこで宣言しておきます。

「昆虫食の開発と実践はハードSFである」と。

唯一「昆虫食が普及していない」という一点のみをフィクションにして

既存の食品科学を駆使して最高の昆虫料理を開発する。

そして
昆虫を生産し自給する集落を見越してその文化を構築する。

お遊びでずさんな昆虫食をすると、おもしろさが減る気がするのは
私がハードSFとしての完成度を高めようとしているためだと気づきました。

そこから見えてくる未来はユートピアか、ディストピアか。
あなたは何が見えてきましたか。

ということで、
昆虫食を題材にした創作物のアイデアがありましたら、
相談に乗ります。

昆虫食の兄を持つ妹botなどの日常系でも
テラフォーマーズのような宇宙と絡めてもいいかもしれません。

もちろんダンジョン飯もハードSFだ、と言えるでしょう。

また、ハードSFはフィクションの
但し書きを一点しか書かなくてすむ、という点で誤解を招きにくく、
実際のサイエンスとの相性も抜群です。

鉄腕アトムという創作が二足歩行ロボットの研究者を育んだように
メーヴェが実際に一人乗りジェットを生んだように

様々な創作物は相互に影響しあい、「文化」を形成します。
もちろん研究も、そこから逃れることはできません。
むしろ積極的に文化社会の形成に関与していくことが
これからの市民化したサイエンスに求められる役割でしょう。

研究者や漫画家、アーティストが考えた
おいしい未来を作り出す「実践」の
多様な形を見たいものです。

あなたが考える昆虫食の未来、パラレルワールド
なんでもお待ちしております。
Twitterで反響があったのと、映画を見た後に書いてみた原稿があったので。
休眠中ですがUPします。なかなか本業のほうは前途多難です。またご報告します。


マッド・マックス 怒りのデスロード

映画館で一回見て、先日iTunesで配信が開始されたので、見ました。「イモータンジョーの食糧生産ヤバくね?」は
コチラのブログで紹介されていましたが、私も同感です。
(トマトの苗だけは確認できませんでした。)

そして
「エンディングの後の食糧生産、ヤバくね?」

というのが一番の感想。
彼らの物語を少なくともバッドエンドにしないためにも
食糧生産についてきちんとアドバイスを送る必要があるでしょう。

予め「昆虫食がフュリオサを救う」と言っておきます。

それでは参りましょう


※以下めっちゃネタバレをします。

未見の方はご注意ください。
上映劇場も減ってきましたし、そろそろディスクも出るのでご勘弁ください。


1,あの世界に昆虫食が存在するか

そもそも昆虫食文化が絶えてしまっていたのでは、
新たに食用昆虫を生産しても彼らは食べてくれないでしょう。

この映画には食事のシーンが少ない中、
幸いにも昆虫を食べるシーンがあります。

食べたのはウォーボーイのニュークス。
懇意になった赤毛の女の子、ケイパブルが寝ている間に肩に登ったコガネムシ科の昆虫を
器用に自分の手に移し、よく観察したあとパクっと食べます。

日常から昆虫を食べていたことが伺える貴重なシーンです。
今回は生食の危険性について、彼らの事情も考慮して不問とします

少なくとも昆虫を食べることはありそうです。
また、このコガネムシの同定は残念ながらできなかったので、
どのような生態をもつのか、後述して推測します。

2,どの程度昆虫が分布しているか

これも難しい問題ですが、幸いにも描写がありました。

冒頭、マックスは双頭のトカゲを踏みつけ、食べます。
歩くのが速く、口が大きいので恐らく昆虫食性でしょう。

双頭という重篤な変異を持つにもかかわらず、大きく育っているので
近くに豊富な昆虫資源があると思われます。

3,イモータンジョーの食糧生産本作の重要な問い「生きるために他人を搾取してよいか」を際だたせるため、
イモータンジョーは徹底的にヒトを搾取するシステムを持っています。

彼の愛車がギガホース、彼のマスクの歯が馬の歯という設定から
以前は草食の家畜を生産していたと思われます。

ところが、核戦争の後、
先天的な障害を持つヒトの割合が増えてしまったことで
ヒトの利用を多様化し、家畜として利用することで
徹底的に搾取する構造を備えたと思われます。

ジョーは血縁の後継者を必要としていますので、
多くの女性を妊娠させる必要があります。

そして、フュリオサのように、
子産みという利用価値のない女性を殺すことはしないようです。

また、ドゥーフのような先天的に目の見えない男性に対しても
ギターを持たせるという適材適所な人員配置も魅力です。

これは役立たずでも殺さない慈悲があり、
能力次第で上に登れるという救世主アピールと同時に

ヒトを育てる時に生じたコストを出来る限り回収する目的があったのでしょう。
フュリオサとジョーに恋愛関係がーという考察もありましたが
私はそうは思えません。

恋愛や妊娠に価値がある世界には見えませんし
汚染されていない緑の大地出身のフュリオサは健康体で恐らく長寿命です。
また、
フュリオサがありあわせでつくった義手の精度が異常に高く、パワーもあり
ロストテクノロジーかと思われるレベルです。
ジョーやリクタスの生命維持装置もフュリオサが作っていたと考えられます。
まさに「能力主義」で上り詰めたのでしょう。

逆に
短命こそが高コストであるがゆえに、ウォーボーイズの仕事は収奪と攻撃、
そして望まれるのは敵を殺しての派手な死です。

マックスが核戦争前に警察だったことから、
おそらくジョーとマックスは設定上同年代で

マックスやフュリオサは汚染環境でも老化速度があまりに遅く、病気にもならず
健康体を保てるイレギュラーなパフォーマンスをもつ人達と思われます。

一方「凡人」だったジョーが老化とや病気と闘いながら
組織的に長寿命を獲得しようとした苦労も伺えます。

ワイヴズも、
年長者はそれぞれ別の文化背景を持つような(お祈りとか)描写もあります。
ハイポテンシャルな彼女らは子産みの仕事の後、
母乳女として家畜として徹底的に搾取されるようです。

映画に出てきた母乳女達は自らが産んだ子供を取り上げられ、代わりの人形抱きながら
母乳生産を仕事とされます。そして一様に太っています。なぜでしょうか。

ここで、ジョーがもぬけの殻だったワイヴズの住処に行く途中、
水耕栽培のシーンを見てみましょう。
そこにあるのはアブラナ科の作物。おそらく甜菜かと思われます。

穀物もおそらくあるでしょう。
砦の屋上にはヤシ科かイネ科と思われる草で覆われ、
灌漑用の風車が見えます。

これらの作物は、エネルギーがあるものの
アミノ酸スコアの低いことが問題点です。
カロリーだけ高い食物を食べさせられ、運動を禁止されると、
栄養不足と肥満になります。
そして母乳という完全栄養食品を搾取されているのでしょう。
大変に合理的で、非情な搾取といえます。
「農産物由来の母乳」がジョーの砦の貴重な栄養源といえます。

4,イモータンジョーの物質収支
イモータンジョーは界隈で最大勢力を誇り
近所のバレットファーム(弾薬畑)と
ガスタウンと同盟関係にあります。

余談ですが
ガスタウンの主は人喰い男爵(people eater)と呼ばれていることから
人肉食はあまり一般的でなかったと思われます。
(私も映画を見た後、Twitterの名前を「蟲喰い男爵」にしようかと思いましたが、あの世界では普通すぎるので断念です。)

ガスタウンには石油があり
弾薬畑ではヒトの糞便から硝酸アンモニウムが作られ
ジョーの砦には水と食糧があります。

ガスタウンと弾薬畑については、映画中に描写がないので、
こちらの資料を参考にしました。




同盟とはいえ、彼らには上下関係があるようです。

やはり
食糧を握っていて人口も抱えているジョーが最も偉いようです。
ガスや弾薬は安いレートで食糧や糞便(そして髪の毛)と
交換させられていたのでしょう。

5,イモータンジョーの工芸と祭り

ウォーボーイズはジョーを尊敬し、短命にも関わらずQOLは高いようです。
ジョーのためにタトゥーを彫り、化粧し、工芸品を作り、音楽やコールまで多彩な文化があります。このような一見資源の無駄のように見える「祭りの構造」が多くのヒトの心の支えになり、
トータルとして人心掌握につながり、無駄にならないという高度な意思決定があると思われます。

食糧生産が自動化されているので、誰かが通りかかるまでは工芸ぐらいしか仕事がない、
ともいえます。工芸や祭りは農閑期の公共事業だったのでしょう。

ここまでは、この世界の考察です


さて、
エンディングで、ジョーは死に、
多くのウォーボーイたちと自動車がダメになりました。

そして、母乳女達が開放されます。

大きな問題です。「母乳というタンパク源が無くなった」のです。

そこで効いてくるのが「種」です。弾丸が「死の種」と呼ばれていましたから
種は生の象徴でしょう。

彼らは種ババアことメリッサから、汚染されていない『種』を持ち帰っています。
メリッサが見せたシーンでは
「木に花にフルーツ」そしてマメ科と思われる苗と、インゲン豆っぽい種も見えます。

そこで気になる一言が。「何一つ実らなかった」
メリッサは土壌の汚染と説明していますが、
大きな勘違いをしている可能性があります。

ここで、
フュリオサが砦に種を植える前に、確認しておくべきことがあります。

A,土壌細菌の有無
マメ科が実るためには、根粒菌などの土壌細菌が必須です。
水耕栽培で土が汚染されている可能性を考えると、マメ科が「実らなかった」のは
土壌細菌が不在だった可能性があります。

ヨーロッパでは土壌と根粒菌の相性が悪く、大豆の栽培が定着できなかった、
という経緯がありますので、これは重大な確認事項です。

B,訪花昆虫の有無

ここで、ニュークスが食べていた昆虫の出番です。
期待したのはハナムグリなどの訪花昆虫ですが、
高画質で、コマ送りしながらじっくり見たところ、
鞘翅の形がハナムグリっぽくない。

そして、その直前に
「カラスのいる汚染された土地(緑の土地の成れの果て)」を通過した後であることから
糞食性、腐肉食性のセンチコガネである可能性も捨て切れません。

体型はゴミムシダマシっぽい?ということでまめだぬき先生がコメントをくださいました。
幸いなことに、ジョーの砦で育っていたのは、
虫媒花のアブラナ科、てんさいで、自家不和合性(自家受粉では実らない
が特徴です。つまり冒頭ですでに、訪花昆虫の存在を示しているのです。

つまり、
種ババアの持っていた虫媒花の花、マメ、フルーツが復活できることを暗示しています。

ですが、懸念もあります。
アブラナ科の自家不和合性は、二酸化炭素濃度を3〜5%に上げることで打破できます。
人が多く、燃料もあり、密閉されたガラス室で水を逃さないよう栽培しているてんさいですから、もしかしたら自家不和合性の打破によって自家受粉していたのかもしれません。
これも大きな疑念が残ってしまいました。



ここでは
最悪のパターンに備えましょう。
訪花昆虫もおらず、土壌とマメ科の相性も悪かった場合。

相性がよかったとしても、
持ち帰った種は少量なので、数回の収穫はすべて次世代に回すべきだと思われます。
そして、母乳女はもはや搾取されません。

今すぐ、今ある農作物からの、速急なタンパク質の生産が必要です。

昆虫の残存量がどのくらいか不明なのが残念ですが
3つの昆虫養殖を提案します


A,糞便を利用したセンチコガネ養殖
B,イネ科作物を利用したバッタ養殖
C,アブラナ科作物を利用したカブラハバチ養殖

この3種が(いたとしたら)フュリオサに、亡霊となってでもぜひ伝えたいのです

「ハイ、フュリオサ! 虫だ。虫を養殖して食うのだ」

ニュークスには早急に亡霊となって、
ケイパブルに、あの時食べた昆虫が何であったか、
今まで食べたことのある虫は何かを
伝えるべき
だとおもいます。ヴァルハラに行っている場合ではないのです。

虫はアミノ酸スコアが高く、穀物より炭水化物が少ないので、
今までの糖、穀物食にプラスするだけで肥満も抑えられ、栄養状態も良くなります。

また、虫のフンは肥料として利用すれば、
微量元素の散逸も抑えられます。

そしてワイヴスの生活していた温室
が他の作物を食害させず、温度を高めに保ちながら
昆虫を養殖できるスペースになります。


We are not things!と、ヒトとして声を上げた場所で
昆虫はThingsとして、ワイヴズの代わりにガラス室に住むことになるでしょう。





After Mad, Max-buggy road!

狂気の後に、最大限に虫だらけの道へ

はたして、
フュリオサは昆虫養殖、もしくはマメ科作物の栽培に成功し
 贖罪「Redonpsion」を達成するのでしょうか。

Buggy とは乳母車の意味もあるそうです。
虫だらけになった砦で、
望まれて生まれてくる子供が
フュリオサの作ったBuggyに乗る未来もあるかもしれません。
お久しぶりです。
ちょっと本業の発表があり、てんてこ舞いになっておりました。
更新を再開いたしましょう。

今回は全く昆虫食とは別の話。ゾンビに関する仮説です。


「ゾンビは野生動物や分解者に勝てない」
というネット記事がありました。

ヒトが死んで、それが動きまわるゾンビ

起源は違うらしいのですが

今回はこの記事にならって
「ゾンビ映画」のゾンビについて考えてみましょう。

1,生きたヒトがゾンビに噛まれることで感染する。
2,感染すると数時間で死ぬ
3,感染を死因とする死体のみが再び動き出す。(ゾンビ化)
4,血や内臓が失われてもそのまま動く
6,頭を破壊されると動かなくなる

こんなかんじでしょうか。

こうやって並べると、
病原体の目的が不可解です。

行動を操る寄生体は幾つか知られており、

水場に誘導するハリガネムシや
木の上にアリを誘導する菌類、
カタツムリに寄生してグルングルン動きながら行動を制御する
ロイコクロディリウムなどが有名です。

しかし、いずれも「寄主を生きたまま」動かしています。
寄生者は、寄主の生態に「タダ乗り」して
利益を得る生態をもつ生物です。
そのため、
寄主の行動を制御して利用するならば、
できるだけその寄主は「完品=生きたまま」
のほうが
好ましいはずです。

なぜ一度死んだものを利用するのでしょうか。

「死体でないと動きを乗っ取れない」
とすると

そもそも死体に感染すればいいのであり、
多大なコストと運動能力の差を乗り越えてまで、
新鮮な死体を作る必要性が感じられません。

「生きたヒトでないと感染できない」
ことがわかります。

整理しましょう。

1,新鮮なヒトにしか感染できない 寄生体と
2,死体しか動かせない 寄生体

以上二種類の寄生体が
共同していると考えてみましょう。


仮説を立てました。
「ハキリアリ-アリタケ式ゾンビ仮説」

ハキリアリは、ある種の葉を切り取り、
その葉にアリタケと呼ばれる菌類を栽培し、
アリタケのみを食べる、という恐るべき生態を持つ
社会性のアリです。

この利用方法は
ゾンビに適用出来るのではないでしょうか。

生きた人間(葉)にしか感染できないヒトタケ(アリタケ)と
ヒトタケが繁殖した死体にのみ巣を作り
それを動かすゾンビアリ(ハキリアリ)の関係です。

1,ゾンビが生きたヒトを咬むことでヒトタケが感染する。
  同時にゾンビアリの新女王が移動する。
2,ヒトタケの繁殖により、ヒトが死亡する。この時体内は繁殖した菌糸によって固定される
3,ゾンビアリ新女王がヒトタケをエサに繁殖を開始する
4,ゾンビアリの群れは死体の体内を掘り進み、「可動する蟻塚」へと改築する。
  本来の筋肉の代わりにアリ達が網のように構造を組み、筋肉様の働きを代替し動かす
 (ゾンビ蟻塚化)
5,ゾンビアリによって操られたゾンビ蟻塚は、ヒトタケのための新鮮な宿主=生きたヒト
  を求めて徘徊する。このゾンビ蟻塚は生きたヒトに接触する
  効率を上げる擬態効果がある。
6,次世代の女王はヒトの頭部で繁殖しているため、
  ゾンビ蟻塚の頭部を破壊した場合、ゾンビ化は広がらない。

いかがでしょうか。

ゾンビアリ→生きたヒトへのアクセス(擬態)の提供→ヒトタケ
ヒトタケ→菌糸を食糧として提供→ゾンビアリ

というヒトを介した共生といえるのではないでしょうか。

「筋肉様の動き」はグンタイアリが川を渡る際にアリ同士が組み合って 橋状の構造を作ることから、無理ではなさそうです。

また、ゾンビをヒトと見間違えるシーンは、
ゾンビ映画でよく見られるので、
一定の効果はある模様です。

ヒトタケの菌糸で鞣され、裏打ちされた強固な皮膚の内側は空洞となり、
筋肉役のアリ達がせっせと働いているのでしょう。
つまりゾンビは外骨格生物(?)なのです。

当然重くて役に立たない内臓や血液は放出したほうが良いでしょう。
ゾンビが内臓を垂れ流しているのは、
ゾンビアリ達が軽くて丈夫なゾンビ蟻塚を作った仕事の跡なのです。
おそらくゾンビの体重は驚くほど軽いと考えられます。

こう考えると、
新たな恐怖が見えてきます。

頭部を壊すとゾンビアリの次世代が死ぬので
ゾンビ蟻塚化は回避できるのですが、

ゾンビが動くことはゾンビアリの仕事。
感染はヒトタケの仕事なので
動かないゾンビからは感染しない、
とは言い切れないのです。

ヒトタケの性質を考えると、血液感染して数時間後に死に至る恐るべき病原体です。
そのため、頭部を破壊して動かなくなった(ゾンビアリの群れが崩壊した)ゾンビでも
そこに含まれるヒトタケの一部が傷口に侵入すると、

「急に死亡」することがあるのです。(ゾンビアリがいないため動くことはありません)

人体に侵入すると、
数時間で一気に感染が拡大する病原体。

恐ろしいですが、
潜伏期間が異常に短いので、
感染拡大は小規模で済みそうです。

するとやはり、
ヒトタケはゾンビアリとの共生関係を選ぶでしょう。

なるほど、
ヒトタケの潜伏期間が異常に短いことから、
せっかちにゾンビを動かし、新たな宿主を開拓する
ゾンビアリの存在が無くてはならないのでしょう。

すると新たな対処法がわかります。

「ゾンビの動きに殺虫剤が効く」


ぜひ
ゾンビに襲われた際には
お手持ちの殺虫剤をかけてみましょう。









とうとう200記事を突破しました。

長らくのご愛顧ありがとうございます。

突然ですが
パシフィック・リム見てきました。


初っ端のKAIJUが、
昭和ガメラの怪獣ギロンをオマージュした「ナイフヘッド」
灯台を尻尾で壊すという定番のゴジラ節炸裂。
余分な肉がブルルンと揺れる重量感、
煽りのアングル、周囲の構造物を利用したプロレス等、

特撮好きなら5分に一回の頻度で繰り出されるオマージュに
ニヤニヤしっぱなしだと思います。

CGを使いながら
特撮への愛があふれていて、これらのオマージュを
「パクリ」と非難するヒトはいないでしょう。
むしろ日本がこの映像を作るべきだった。と思います。

メキシコ生まれの特撮マニア、ギルレモ デル・トロ監督が
200億ドルの制作費をぶっこんでつくった壮大な二次創作、
ともいえるかもしれません。


さて。

昨年に
「特撮博物館」という催しが行われていたのをご存知でしょうか。

円谷英二監督らが一時代を築いた「特殊撮影」=特撮は

ミニチュアや逆回しなどの
人物描写では使わない特殊な撮影技術を駆使し
実物ではありえない情景を映し出す撮影のことです。


特に爆発やミニチュア撮影を駆使したSF作品は
大画面の映画との相性もよく、瞬く間にテレビにも進出
昭和の特撮技術は愛され、磨かれてきました。

ところが、CG技術が導入され
今回のパシフィック・リムのように
「予算さえあれば」特撮以上の特撮らしい映像が撮れる

となると、
残念ながら特殊撮影は
一線を退かなくてはなりません。

数多くの一線を退いた技術は
その経済的価値は減じたものの
洗練度は眼を見張るものがあります。

特撮、その技術を使って
何か面白いことが出来ないか。
CGでなく、小さい実物を
巨大に見せることでしか見せられない映像とは何か

一特撮ファンとして常々思ってきました。


と考えている時に、
こんなワークショップに当選してしまいました。




この度は、株式会社マーブリング・ファインアーツで募集した
特撮博物館特別イベント
「ミニチュア特撮課外講座 -ミニチュア特撮からミニチュアエフェクトへ-」へ
ご応募いただきありがとうございます。

厳正なる抽選の結果、ご当選されました。当日のご案内をお送りします。



この中で「ミニチュア撮影」の
カメラ側に必要な要素は

「広角・パンフォーカス」視野を広く、近くから遠くまでピントが合っていること。
            カメラの受光量を絞るので、ライトがめちゃめちゃ必要。
「高速撮影・低速再生」 視野内の自然落下は角速度でいうと
            小さいものは速く、大きい物は遅く見える。            

「アオリ」       目線が1.5mとすると、1/10ミニチュアでは15cm,1/100ミニチュアで
            は1.5cmの位置にカメラを置かなくてはいけない。そのため
            「アオリ」という低いカメラ位置から全体を見上げる構図をとる
             小さいレンズを使うか、地面より低い位置にカメラ本体を置く必要
             がある。

とのこと。
見てみましょう。




ここで使われたのは

虫の目レンズ、という
写真家・栗林慧さんが内視鏡を元に開発した
広角パン・フォーカスアオリ・マイクロレンズです。

これをつかうとミニチュア撮影が
アマチュアの技術で十分にできるとのこと。

更に、
フィルムでパン・フォーカスを得るためには
はセットが溶けるほどの光量に
絞りをかけまくることが必要だったのですが

カメラがデジタル化して
iso感度が向上したことから
自然光程度の光でも
パン・フォーカスでの撮影ができるようになったとのこと。

「いつ特撮やるの。今でしょ」
ということでした。

では、
「ミニチュア撮影に虫の目レンズを使うことが出来る」
のであれば逆に、

虫の眼レンズで撮影した虫の映像は特撮である
ともいえそうです。
いかがでしょう。
「蟲特撮」

こんな感じ




この「特撮」には
円谷式のあるテクニックを使ってみています。

「カメラと被写体を90度曲げる」
というものです。

本来は
模型飛行機を吊るす透明の糸、テグスが見えにくくなるよう
飛行機の「鼻」をつるすことで
画面上では飛行機の上部にテグスが見えない、
という裏ワザでしたが

今回は昆虫が正の走光性、負の走地性をもつことを利用して
カメラに平行に留まってもらう目的で傾けました。


実は
これを地面でやると、虫はあらぬ方向に向いてしまい。
ピントボケボケの映像しかとれず、
麻酔をかけると、ダラっとした生気のない印象になってしまいます。

ということで

昆虫の生態利用し、更に特撮技術をつかった

「蟲特撮」ってやってみたいですね。

簡単なものですと虫パニック映画とかで
使われていたのですが、

もっと虫を巨大に演出するような。。。。。
何か考えたいですね。


プロジェクションマッピングで
巨大な虫を出現させるとか。。。。

やれることは多そうです。

もちろんエンディングは
「撮影に使用した食材は全てスタッフが美味しくいただきました」

と書きたいですね。








今回使ったのは
そんな特撮を気軽に楽しめる

学研 大人の科学

「特撮USBカメラ」

パソコンと繋ぐ必要はありますが
けっこう楽しい映像がとれます。



メレ山メレ子さんも
つかってるあの!特撮カメラです。





























Mushi_Kurotowa
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男性
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昆虫料理開発
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人生迷走中 顔はクロトワ似「なぜ昆虫に食欲が湧かないのか」をテーマに研究開始。食べたら美味くて研究頓挫「昆虫を美味しく食べる調理法とは」に変更/食用昆虫科学研究会 Edible insect science meeting 昆虫料理研究会 趣味自転車;鯨食文化研究;法螺貝;トランペット;リコーダー;鯨歯彫刻
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