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大寒も過ぎ、
今は一年のうちで最も寒く、虫が少ない時期。
昆虫料理も基本的に保存したものか、
越冬昆虫を取りに行くぐらいです。

以前にコクワガタと ユミアシゴミムシダマシを味見しましたが

越冬昆虫を探しているうちにこいつらも。

オオスズメバチ女王

クロスズメバチ女王


カワイイですね。

越冬中なので、動きが鈍く
そっと触るぐらいでは大丈夫です。

女王は「巣の長」ですから、
自分の身を守ることが大事ですので
攻撃性は低いとのこと。

一方で、春から秋に見られる
に繁殖した巣の働き蜂は
攻撃性が高く、自身の死も厭わず威嚇し、
襲ってきます。
働き蜂は生殖能力が無いので、巣に残る
女王や幼虫を守らないと、次世代に自分の遺伝子が残りませんので
「攻撃」「労働」のみが子孫繁栄のための行動といえるでしょう。

そのため、
ヒトから働き蜂をみると常軌を逸した攻撃性に見えるのですが
女王と対峙すると、彼らの「ニュートラル」な自己防衛の状態を
垣間見ることができます。

さて、
クロスズメバチは
乱獲により絶滅の危機に貧しており
オオスズメバチも決して増えているとはいえません
(ニュースで取り上げられることは増えたが事故件数も
数も増えているとはいえない、と某ハチ駆除の方、談)

女王は巨大な巣のいわば「要石」になる存在ですので、
食べると生態系へのダメージは巣一個分と言ってもいいでしょう。

ハチ駆除としては
ヒトの生活圏と競合した場合は退いてもらって、
食べさせてもらっているのですが、
今の段階で食べるのは気が引けます。

成虫は概して硬いので
ハチノコよりも美味しい気もしませんし。

ということでそっと戻します。
でも食べたくなってしまったの事実。
こんな時は、
採集に半養殖されている市販品を食べましょう。


松浦誠 著「スズメバチを食べる」によると


「飼い巣」
と呼ばれる愛好家の団体が始めたとのことで、

春先から夏にかけての小さい巣を、
女王と働き蜂ごと弱らせないよう持ち帰り、

自家製の「巣箱」に入れて、マグロの頭やニワトリのキモなど、
動物質のエサを補助してやることで3〜4キロの巨大な巣を得る、とのことです。

また、「昆虫食文化事典」によると


温室内で交尾させ、交尾済みの新女王を得る技術も開発されました。(西尾1999)

今、達成されていない技術的課題は
「越冬後の女王のエサと管理」
だそうです。

越冬後、女王は樹液などの天然物を食べて、
初期の営巣のための
エネルギーを賄いますが

越冬の場所や条件、そして目覚めた後のエサの
供給が難しく、
完全養殖(養殖して得られた個体から次世代を養殖できること)には、
この段階の達成が必要だそうです。

越冬場所から移動させると、うまくいかないことから、
どうやら越冬時にも、
環境に合わせて女王が何らかの応答をしており
越冬といえども、「寝ている」わけではなく
環境に応じた変化をすることで
厳しく乱高下する冬を耐えているのだと思われます。
挑戦したいところです。

さて
このような知識を入れることで「食欲を抑え」
虫食い仲間のムシモアゼルギリコさんから写真提供のお礼に、と頂いた
市販品のクロスズメバチの佃煮を頂きましょう。


(虫食い仲間の間では報酬のやりとりは必ず虫の物々交換で行い、そのレートは株価のように変動しています)
ウソです。


ちなみにムシモアゼルギリコさんの手がけた
「一般向け」とは名ばかりの濃い内容の本
「むしくいノート」は



世界昆虫食大全、昆虫食文化事典という
三橋淳博士の 日本昆虫食界におけるバイブルを
ぎゅっと濃縮し、

「昆虫に詳しくないヒトでも手軽に食べられる」
実践的な内容をたっぷり詰め込んだ本です。

表紙もポップなので、書店の料理コーナーに平置きされることも。
私も校正や写真提供に参加させていただきました。


話を戻しましょう。

女王1頭を諦め、
市販の蜂の子に切り替える、
という我慢の方法を学びました。

せっかくですので昆虫料理を開発したいところです。
他の
「食べてもOK」な越冬昆虫食材は無いのでしょうか。

次回に続きます。
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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