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「子沢山を願って」
ニシンの子に味付けをし、数の子とするそうですが
子の数だと昆虫も負けてはいません。

ニシンの性成熟は4年、産卵数は年齢とともに増加し
ざっと「年齢×万粒」ぐらいだそうです。

成熟4年、4万粒だとすると

養殖トノサマバッタは一ヶ月半で性成熟し、
その後およそ1卵塊100個の卵を5卵塊・二週間で生むと単純化すると
4年で1万2千粒。いい勝負です。

ここで生態学の基本的な教科書
「生態学キーノート」を見てみましょう


動物の生活史のおおまかな分類
「r-K選択説」によると

動物は
「個体群成長速度を重視するr選択者」と
「競争力を重視するK選択者」に
分けることが出来ます。

昆虫は典型的なr選択者で
早熟、小さな成体サイズ、繁殖への大きなエネルギー配分、短い世代時間をもつことで
適した環境になると一気に増えて、優占します。

逆に哺乳類やヒト(霊長類)は典型的なK選択者といえます。
競争力を最大化(個体の能力を強化)するために晩熟、
大きな成体サイズ、少数の大きな子供、繁殖への少ないエネルギー配分、
長い世代期間をもつことで
様々な環境に対応できる個体を長期間かけて養います。

このように比較すると、
ヒトが一定量の動物を食べる際に
K選択者を食べると、減った個体数が回復するまでに時間がかかり、その間に大きく生態系が変化してしまうことが想像できます。(例としてニホンオオカミの絶滅が挙げられます。)

逆に、
r選択者を食べて減った個体数は
その個体群の成長速度が速いので、すぐに元のサイズまで回復するでしょう。

なので、
「r選択者」が殺され、食べられることは彼らの戦略の想定の範囲内であり、
環境さえ破壊しなければすぐ回復するものだ、といえそうです。
(あくまでモデルなので、実際には生態系の変化に応じた多様な食を見出すことが必要でしょう。)

なので
「r戦略者の繁殖する生態系を守る」ためには
昆虫採集を奨励し、社会の意識を環境の保全に
向けることのほうが効果的だと思います。

「残酷だ」と少年の昆虫採集を非難し、昆虫や生物に無関心なまま
どこにでもあるような大型商業施設の開発に喜び勇んで
遊びに行き、シネコンでカワイイ動物愛護映画に涙するようでは、
先が思いやられます。

「非商業的な昆虫採集による個体数減少は大抵、昆虫の生活史の想定の範囲内です。
採って、死ぬまで飼うもよし、殺して標本にするもよし、食べるも良し。
自然の恵みとして十分に利用し、見識を深めてください。」

と子どもたちに伝えたいものですね。


話がそれました。
「子沢山」だったら昆虫も負けないので
数の子は昆虫の卵にしてしまおう」という話でした。

ニシンは19世紀には年間100万トン水揚げしていた巨大な水産資源だったものが
近年は年3000トンぐらい。枯渇が心配されます。
(http://www.fishexp.hro.or.jp/exp/central/report/hokoku/62/P41~78.pdf)

また、
漁業者は生活がかかっているため
「枯渇の心配」程度では操業を止めません。「残り何匹」という確実な計測で
初めて止めることができますし、ニシンのように回遊し、定住しない魚は
その資源量の予測が一層困難になります。

今回のブログに合わせて数の子も買って味を比較しようとしたのですが
あまりに高いので見合わせました。

「採れない」→「値段が上がる」→「高級だ」→「富裕層が買う」→「採れば儲かる!」→「減る」
という資源量が末期のウナギ稚魚のような
悪循環が発生していると思われます。

そこで、
農作物と同様の資源管理ができる養殖昆虫で、その代替としてしましょう。

トノサマバッタの卵とカマキリ卵の醤油漬け
カマキリは野外で捕獲し、
バッタを与えて育てたメスのオオカマキリの
卵を使いました。

「パフ状の卵鞘をむいて食べる」との噂を聞いたことがあるのですが
泡状の卵鞘は強度が高く、卵がプチプチと潰れてしまうので、
ある程度ほぐしたらそのまま昆布醤油に漬け込みました。

次にトノサマバッタは
泡状の物質につつまれた卵塊を地中に産みます。
卵塊の周りは土が付いているので
ほぐして取る必要があるのですが、コレが大変。

産卵直後は強固につながっており、ほぐれません
産卵後1週間程度で吸水し、卵が一回り大きくなります。
このとき、ようやっとひと粒ずつほぐすことができるようになります。

これもほぐして醤油につけました。

完成


…見栄えは…あまり気にしないでください。

「揃ってない」というのは卵の集団の見栄えを悪くするようです。
マダガスカルGの卵はおいしいので、それを筋子状態で醤油漬けにしても良かったですね。

味見

トノサマバッタ卵
けっこう草の臭みがあり、生臭みが強くあまりおいしくない。プチッとした食感の他に、芋っぽい粒感もあり。

カマキリ卵
卵鞘の部分はかたく、かみ切れない。すぐに卵が破裂してしまったが、
まったく臭みのない味。美味しいが取り出すのが困難。難しい

ニシンの数の子に代わる卵は
マダガスカルGのほかはなかなか見つかりませんね。
そういえば蚕の卵も美味しかったですね。
引き続きおいしい卵を探索することに致します。














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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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