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ふつうの料理にありがちな、よろしくないことが「異物混入」です。

多くの場合、昆虫料理が入っている器のデザインは、
昆虫料理でない料理に使われているものと
共通の器ですので、あからさまに昆虫が見えると
昆虫を食べたことのない人にとっては
「異物混入」の方を強く連想してしまうのではないでしょうか。


昆虫は味に問題はありません。
むしろおいしいぐらいです。
そのため、
「最初の一口」「First bite」「お食い初め」が大事です。

とある友人が
出産祝いを送るというので「お食い初めセット」というものがあることを知りました。
うん。これだ。



「昆虫お食い初めセット」だ

そこに必要なのは
「昆虫料理が入っていて当然」な器、つまり
「昆虫食器」の開発が必要なのではないかと。考えました。

そう思ったものの、
私には食器をデザインする能力も、開発する時間も資本もありません。

とりあえず作れる範囲で手工芸でこんなものを作っていました。

「メスアカミドリシジミスプーン」某ファミレスに、試用しにいきました。

話は脱線しますが
ミドリシジミの仲間は「ゼフィルス」と呼ばれ、その愛らしさ、美しさから愛好家が多いそうです。
一方で彼らの生態はなかなか特殊で、高所を飛び回ることから網での捕獲が難しく、
標本にするにも成虫を捕獲したのでは翅が傷ついてしまうとのこと。

そこで、昆虫学の出番です。
彼らは卵を高い木の枝に産み付け、越冬します。
その卵を冬の内に採集し、孵化させて育て、羽化まで見守ることで、
採集網に傷つけられていない「完品」を得るのです。

また、その多くは希少種で、なかなか捕まえることもできませんし
安易に捕まえまくって生息地域にダメージを与えていいものでもありません。

そこで愛好家の蛾屋さんから申し出を受け、1頭だけ味見をさせていただけることになりました。

繰り返しますが、
昆虫食は昆虫全般を対象にするため、決して1人ではカバーしきれません。
必ず専門家を通すことで、そして彼らから信頼を得ることで、

全ての昆虫を研究対象に、
イシューに合わせた養殖昆虫を開発できる体制を整えたいと考えています。

さて、メスアカミドリシジミの幼虫を頂いたのは昨年の3月。


前蛹になるまで桜の新芽を与えながら待って。

おいしいことは予想されていたこと、小さいので味を殺したくないことから

塩もポン酢も付けずに茹でて、そのままをいただきます。おいしい。

話を戻します。

スプーンを作ったものの、他にも大物がほしいなと思っていました。
陶器の器がいい。

と考えていたら
こんなイベントが京都で開かれることに。

「いきもにあ」

生き者好きな人が創作をして即売するイベントです。

http://equimonia.jimdo.com

「生き物がすき」には多種多様があります。

私のように「食べることがすき」であったり「生物学を通じて好き」でも構いません。

ビジュアルが好き、手触りが好き、色合いが好き、質感が好き、死体が好き、骨格が好き、何でもありです。

そんな「ざっくりした場」を運営・維持することで見えてくる独特なものもあります。

私があったらいいなと思うもの、

そこに技術や時間がなくて、自分の中の優先順位が低くて

妄想レベルで留まっているもの。

それを上回る妄想力&実行力で、他の誰かがすでに形にしていたりします。

今回は工房うむきさんでした。

http://purple.ap.teacup.com/umuki/これにノックアウトされ、はるばる京都まで買いに行くことに。

通販もできると伺ったのですが、本物がみたいなと。

そして手に入れたのがこれ。あれ、スズメバチを買いに行ったはずなのに。
前の記事のイナゴソースの完成に前後して

「バッタの形の醤油差しをつくりたいな」という妄想も頭をよぎっていたのです。

予算をぶっちぎりましたが、2つとも購入。もちろんそれだけで済むわけもなく。Twitter上でお世話になってはじめてお会いする方々とか
以前からお世話になっている方に挨拶も満足にできぬまま

閉場となってしまいました。うーんなんとも。

出店者側になって、懇親会で挨拶する、
というのがもっとも親睦を深められる気がします。


ようやく念願の「昆虫食器」を手に入れ
クリスマスに作ったのがこれ。オオスズメバチは昆虫食の対象でもあるとともに
昆虫食の捕食者でもあることから、二重の意味でストーリー性をもたせることができます。

「昆虫食器」のアイデア、まだいろいろあるので、実装していきたいと思います。

いきもにあの開催後
「いきもの好きのためのイベント」は「生き物の保全につながるか」
というトピックがありました。このイベントは最先端の生物研究者を呼んでセミナーを行うなど、
生物に関わる専門家と、非専門家を一緒にしたお祭りみたいなことになっています。

それが
「役に立つから良いイベント」とか
「役に立たないから不完全なイベント」となるわけではありません。

もちろん、
生き物がいないことにはそれらをモチーフにすることはできなくなってしまうので
生き物の創作によって、生態系を破壊することがあってはなりません。

なので社会的な優先順位に差はあるけれども、
全ての人が優先する方にモチベーションをもたなければならない、
というのはちょっと違うと思うのです。

1つ言えることは
昆虫食を広めたい私にとって、このイベントから収穫があったように、
「生き物好きが集まるイベントは、生き物に関する他の取り組みをしたいヒトにとって収穫を得られる」ということです。

他人のイベントについて、自分の目的を達成していないからと低評価をつけていけば、
次第に自分の目的を達成してくれる他人が現れるなんて、そんな都合の良いことはありません。

目的を達成するには「主催になれ」ということですね。そして収穫物に対価を払えと。

私が昆虫食を広めるためには、今回の「昆虫食器」のように
創作の世界の技術は欠かせないと考えています。

そこではあくまでも私が「主」であり創作者は「従」ですので、
なんらかの対価を支払わなくてはならないと思っています。

逆に、昆虫食にアート要素を見出して
社会的な問題を提起するアートとして
表現してもらう時には私は技術者として「従」に徹することになるでしょう。

昆虫が社会から嫌悪されているインパクトを利用して
昆虫食が何らかのアート性を帯びるとしたら
私の目的を毀損しない範囲で技術協力をします。

その中で、
「昆虫食が社会においてどのようなアート要素を持っているか」を
言語ベースで論理的に説明してくれたら、
それは社会から感覚的に(笑)逸脱しつつある自分にとっても
大きな収穫になることでしょう。


話を戻します。

昆虫食普及には昆虫食器の開発を、という話でした。

食用昆虫にふさわしい「器」というのは何も食器だけではありません。
食べるシチュエーション、食べるヒトの経験、興味、周囲の環境などなど

様々な昆虫の周りの「器」を設計していく必要があるでしょう。

かつて、昆虫は食料でした。
そして今も、昆虫は食料としてのポテンシャルをそのまま残しています。
変わったのはヒトです。そして人を変えることができるのもヒトです。

昆虫を食べなくなったヒトが、再び昆虫を食べるようになる方法はまだわかりません。
昆虫を食べていた頃の環境や経験を完璧に再現することはできないからです。

だからといって、
経済的に困窮したヒトに強制的に食べさせることは豊かとはいえません。

個人の希望を叶える形で全く新しい「昆虫のお食い初め」が起こっていくことが理想です。

そのときの
「昆虫の器」の集積は、新しい昆虫食文化、
昆虫食ルネッサンスとして
面白いものになっていくことでしょう。
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何を言っているのだ、と感じるでしょう。
昆虫と普通の食材は区別がつくじゃないかと。

元ネタは
伝説的なSF作家、アーサー・C・クラークが言った
「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」
Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.

です。


常々言われることがあります。

「昆虫料理は見た目が悪いから食べたくない」と。
多くは食べたことのない方の言い分です。

先に「バッタハンバーグ」で実践しましたが、
「見た目が昆虫とわからない昆虫料理は普通の料理と区別がつかない」
ことがわかりました。

では
「昆虫が見た目にわからない昆虫料理」
とはどう定義できるのでしょうか。整理してみましょう。




気づいてしまいました。

「昆虫が入っている」かつ「昆虫が入っているとわからない食品」と
「昆虫が入っていない」かつ「昆虫が入っているかわからない食品」
いわゆる通常食品は、見た目に区別がつかないのです。



アメリカのFDAは農作物に混入する昆虫の上限値を設けています。
たとえば、ピーナッツバター100グラム当たり昆虫の断片50個まで。 カレー粉では25グラム当たり100個まで。缶詰トマトでは缶当たり果実を加害するミバエの卵5個とウジ1頭、ウジだけなら2頭まで、とのことです。

我々の食べる食品にアメリカの農産物は不可欠ですし、
それらは不分別で口に入っていますから
当然、多くの方は昆虫の断片を食べた経験があります。
そしてそれを認めることは大きな恐怖を伴うようです。

「昆虫を食べたくないヒトにとって、通常食品に昆虫が含まれていないと
証明することは悪魔の証明」といえるでしょう。これは怖い。

この事実を自覚させられることになるので、
見た目にかかわらず、昆虫料理に過敏に嫌悪感を表す人が多いのも納得です。

そして食品混入事件のような「見た目にわかる汚染」が目につくと
大騒ぎしてしまうことにもつながっていそうです。


更に、昆虫を食べたくないヒトにとって残念なことに、
既存の食品の多くは、組成も食感も見た目も昆虫によく似ています。


画像処理技術がお相撲さんとポルノが区別しにくい、という話も聞きました。
現在の画像処理技術では食品と昆虫食も区別できません。





これは公開されている画像処理技術を使って画像が
食品のものかどうか判断する自動処理システムです。

不意に(特に深夜)食欲をそそる画像をSNSに投稿することを
「飯テロ」と呼びますが、その飯テロを防いてモザイクをかける目的で
運用されているものですが、私は昆虫料理の出来栄えをチェックする目的で利用
させていただいています。




また、「昆虫の姿をすりつぶしてみえなくする」というアプローチは
昆虫の大事な美味しさの要素である「食感」を失わせてしまいます。
食感の楽しい昆虫を使う場合はできるだけ避けたいものです。

そこで
逆のアプローチを思いつきました。

「他の食材の姿を昆虫に似せる」のです。
「昆虫擬態料理」
と名づけてみましょう。


昆虫は自然環境や危険生物に擬態して捕食を逃れてきましたが
人類の加工技術によって、
昆虫の周囲の環境を改変し、「昆虫の姿を見えにくくする」ことができました。


おお昆虫が見えにくい。

材料は
パプリカ
アボカド
かいわれ
マカロニ
カキノキダケ(マカロニの頭部に)
カシューナッツ(揚げて茶色く)
塩コショウ
お好みのドレッシング

です。

マカロニの弾力、カシューナッツの香ばしさとナッツ感の中に
フェモラータオオモモブトハムシの柔らかい食感と、噛んだ時に広がる
卵黄のようなコクのあるスープが大変においしく、見た目にも

「昆虫の姿の見えにくい」料理に仕上がりました。

もう一度いいます。

高度な昆虫料理にみなさま、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

この
フェモラータオオモモブトハムシが食べられる
そして昆虫醸造調味料が味わえる試食会 1月23日 @神戸 


予約受け付け中です。お待ちしております。

前の記事で、昆虫発酵調味料、イナゴソースについてご紹介しましたが

それにあわせて、
どうしても食べてみたい、みなさんに食べて欲しい昆虫がありました。

「フェモラータオオモモブトハムシ」

噛んでしまいそうな名前です。フェモハムシ、とか略称がほしいですね。

原産は東南アジアの熱帯に生息する普通種だそうですが
生きた植物を食べるため、植物防疫法により輸入はできません。

ところが、
なぜか三重県松阪市の河川敷に広がってしまったのです。
理由ははっきりしていませんが、美しくて大きいことから
昆虫愛好家がこっそり飼っていて逃がしてしまったのではないか、との憶測もあるようです。

日本の冬もどうにか越しているとのことで、昆虫のポテンシャルの高さを
見せつけられます。

ちょっと遠いのですが、
そしてお伊勢参りのシーズンですがお伊勢も赤福にも目もくれず。

多く取れたら来年の発酵調味料の原料に使えるかもしれない、と考え

イナゴソースのいなか伝承社と関西虫フェスの主催者である「昆虫エネルギー研究所」にも
声をお掛けし、偶然忘年会に松阪市にお勤めの、大学の兄弟子にあたる方に
お会いできたことから、実施にこぎつけました。

フェモラータオオモモブトハムシを採る会。

採るのに夢中であまり写真がありませんが、ご了承ください。

彼らの幼虫は河川敷に繁茂しているクズに侵入します。
成虫はクズの葉を食べているそうなので、クズさえあれば生活史が回ります。
けっこう大きい昆虫なので、そのままクズの細いつるではスペースが確保できません。
なので、
虫こぶ(ゴール)を形成して、木質で覆われた強固な「シェルター」を作るのです。



このぐらいの太さが越冬にちょうど良いようです。
完全に枯れている虫こぶには住んでおらず、少し生きた木質が残っていて
湿度が供給されているものがよいようです。


より太くて立派な虫こぶもあるのですが、今の時期は脱出後でした。

大抵の虫こぶは手でもばらせるのですが、固いものは剪定バサミや
これが活躍しました。


いなか伝承社さんには申し訳なかったのですが
醤油の原料に使うにはちょっと少なく
捕獲数は135g、およそ200頭でした。




今回のキモは
「将来特定外来種になりそうな拡大中の昆虫を正しく扱うこと」です。


持ち帰って飼いたい衝動にもかられたのですが、外来種のコントロールに
昆虫食を役立てたい、と言っておきながら、
外来種の拡散に手を貸したのでは
本末転倒です。夏の成虫はまた再訪して、捕獲しようと思います。

今回は全ての虫を現地でゆでて、持ち帰ることにしました。


このコンロが活躍しました。夜の河川敷でもしっかり茹でてくれました。



やっぱ野外の虫捕りは興奮しますね。狩猟本能が帰ってくる気がします。

とても気分が良いです。




気になる味ですが、
抜群に美味しいです。カミキリムシに匹敵します。
ほのかに豆の香ばしさ、外皮もさくさくと食べやすく、中からは
上質なクリームが卵黄のような強いコクとともに広がります。


時期も繭を作った前蛹の状態で止まっており、若齢幼虫はみつかりませんでした。
おそらく休眠状態にある気がします。

(なぜ熱帯産の本種が冬眠できるのか、よくわからないので原産地での生態をご存知のかた、教えてください。)




さて、見ていると
マカロニに見えてきますね。





ここで、昆虫料理の新たなアプローチが見えてきましたので、実践しました。

キーワードは

「高度に発達した料理は昆虫と区別がつかない」

Any sufficiently advanced gastronomy is indistinguishable from insects.


次の記事に続きます


昨年10月
ついに昆虫醸造調味料の一般発売が始まりました。

この快挙を成し遂げたのは和歌山県 いなか伝承社さん。

地域活性化団体「いなか伝承社」というほっこり系の名前の会社から
なんとも
とんがったものを出すことになりました。

反響もあったようで、地元や大手の新聞にも取り上げられたものの
「昆虫食の人」と言われてしまうのが難点だとか。

昆虫食はそれだけでインパクトが強いので、
他の本意を撹乱してしまうことがあってなかなか扱いに困るものです。

別の例ですが
メレ山メレ子さんはエビ・カニを含め昆虫食もあまり好きでないとのことなのですが
ラジオ出演の際に妙にパーソナリティーが昆虫大学で出された昆虫食に食いついてしまい、
なかなか修正に時間と手間を要していました。

我々食用昆虫科学研究会がサイエンスアゴラに出展した際も、最初の年はとりあえず希望者に昆虫を配ることに手一杯で
フィードバックや我々が伝えたいことを十分に伝えられず、人だかりをさばくだけになってしまいました。

キャッチーであることはそれなりに危険物でもあります。

いなか伝承社は
地域活性化団体なので昆虫食だけでなく、
いろいろやっています。

私が見たものだけで、梅食べたり栗食べたり、地域の子供達と山の中散歩したり
もちろん虫も食べたり。

以前は田舎の「つきあい」を通じた祭りなどのイベントにより
結果として人同士のネットワークを作ったりしていたのですが

過疎化が進むことで人と人の物理的な距離も遠くなり
逆に大型ショッピングモールのような全国で画一化された娯楽も増えてくる中で
地域独特の文化は放っておけば衰退していってしまいがちです。

それに対抗して田舎なりに自活していく、
ありモノを見つけてアイデア勝負で
全国にもない新しい価値観やイベントを作っていく、そんな感じの団体です。

地域をつなぐ役割を買って出ることで、
そのうち地域が大きく変動するようなことにも
耐えられるネットワークへとなっていくのかもしれません。

とはいえ、
そこに昆虫醸造調味料を作ってもらうのも
なかなかの挑戦でした。

初年度(2013年度)はとある
無農薬農場で多発生したイナゴを譲ってもらい
半年醸造させて2014年3月に試食会を開催しました。
そして本格醸造の今年、
二年ごしの一般販売にこぎつけたのです。

クラウドファンディングにも挑戦しました。残念ながら達成しませんでしたが。
資金調達は無名であればあるほど、なかなか難しいものです。

クラウドファンディングで資金調達ができなかったこともあり、
残念ながらまだまだ高いです。仕込みの量も少ないですし、
大きさに関わらず1日一回かき混ぜなければならないので、
手間もかかるそうです。

それを分かった上で、
おもしろさに共感してくれる方
誰も食べたことのない、新しい味覚に挑戦する方にぜひ味わっていただきたい。

どう味わうか、ですが
醤油の味わいというのはなかなか奥が深いものだと実感しているところです。

ビンのフタを開けると酸化が始まるので、できるだけ冷凍庫で保存します。

バッタソースは先味が強めの「塩っ辛い味」で、後味がスっと消えます。

これはグルテンなどのタンパク質を塩酸で加水分解した
「アミノ酸醤油」に恐らく近いでしょう。
雑味のない、「素直でまっすぐな醤油」です。

また、少量ではありますが多種多様な昆虫も醸造調味料にしてもらいました。
 
(ここであえて醤油としないのは、醤油にはJAS法に定められた原材料の縛りがあるためです。
昆虫が含まれていると醤油とは今のところ名乗れません)

イナゴソースの味をどのようにしたらおいしく、
印象的に味わえるか、試行錯誤しながら考えていたのですが
ようやく見えてきました。



1,味が既存の醤油にあまりに近いので、調味料として使うと味が埋もれてしまう。
かなり普通の美味しい醤油としてあじわえます。それが利点でもあり欠点でもあります。
昆虫らしさを感じにくいのです。

2,先味が鋭く、後味がひかないので、長く味わおうとすると物足りない。

3,香りが豊かだけれど、他のアミノカルボニル反応を含む「香ばしさ」にうずもれてしまうので、できるだけ減らす方が良い
4,チーズのかすかな苦味と、乳製品のまろやかさがよい

5,果物系の香りとなら邪魔しあわない


ということで、完成したのが

「イナゴソースジュレ」と「レアチーズスイーツ」と「ドライトマト」の組み合わせです。
今回は
他の用途で購入していたメチルセスロースを使っていますが
寒天やゼラチンなどの他のゲル化剤でも使えそうです。
これにより、先味がまろやかになり、後味まできちんと味が持続します。

ドライトマトは多くのグルタミン酸を含んでいて、アミノ酸分解物の旨味と相性がよいですが
印象としては果物の甘さ、みずみずしさもあって塩分とも相性がよいので
野菜スイーツとの相性を試した見たのですがピッタリでした。


ということで、
昆虫醸造調味料「イナゴソース」の試食会を、
兵庫県神戸市、摂津本山駅近くのレストラン「パレルモ」で開催します。

1月23日 15時から17時のコンパクトな試食会です。参加費は2000円です。
会場のキャパの関係で、参加は10名様とさせてください。

ぜひご参加ください。
ご予約フォームはこちら

なぜこちらでできることになったのかは、また別でご紹介します。


そして、とある特殊な食材調達のため、
三重県のとあるところに行ってまいりました。
次の記事に続きます。
前編では現状では生食できる昆虫は存在しないこと
中編では、味覚センサーを使って生食が美味しい昆虫の探索は既に技術的に可能であることを
紹介しました。

最後に
後編では法的な概念である「家畜」を生態学的に再解釈して、

「生食できる昆虫」のための衛生管理や法整備を提案していきましょう。
更に「生食できる食品は生食すべきか」という食の倫理まで考察してみます。


先に、
危険性には、ハザードとリスクがあることを説明しておきます。

ハザードは予見可能な危険性を示します。
社会的影響力の強さで評価されます。

リスクはハザードに対し、危険な状態となる確率を掛けあわせたものです。

リスクから見ると、
ヒトには感染防御機構があるので、
食品を少し生食したからといって、重篤な感染症になる確率は低いのです。

ですが、ハザードから考えると、
危険性は社会的影響力の強さで評価されますので、
食品安全への予見可能な危険性を放置することは、たとえ確率が低くても、
つまりリスクが低くても
起きた時の社会的影響が強いので、厳しく管理されることが望ましいでしょう。


余談ですが、
ワクチンも同様に理解できます。
ある人がたった一人、ワクチンを打たなかったからといって、
その人がその感染症にかかる確率は低いので、
本人にとってさほどリスクの高いことではありません。
「ワクチン不要論」でよく使われる営業手法です。

ですが、
そのようなヒトが広がった時に、アウトブレイクと呼ばれる感染爆発が
起こりやすくなりますし、ワクチンを接種できない別の疾病を持つ人が
ハザードに晒されます。

それは予見可能で、ワクチン接種で劇的に抑えることが可能なので
多くの重要なワクチンは接種が義務付けられているのです。


話を戻します。

陸生動物の生食は、本来の宿主でない寄生虫がヒトに感染した時
重篤なハザードを引き起こします。これを迷虫といいます。
件数は少ないですが、命にかかわることです。

そして寄生虫だけでなく、感染性微生物についても
加熱をするだけで、劇的に危険性をゼロに近くできます。

現状のデータでは、
「生食できる昆虫はいません」し
「生食のほうが誰もがおいしいと言う昆虫は見つかっていません。」

そして、
「昆虫食における危険性をゼロに近づける方法」として、
加熱は劇的な効果があります。
(食物アレルギーは加熱では回避できないので、別途まとめます。)

なので、
生食できる昆虫は、これから未来に登場するかも
としか言えないのです。


そこで、
「未来の家畜昆虫の生食の可能性」について考えてみましょう。

採集品の生食が可能なのは、動物では海産物のみです。
淡水域や陸上の野生動物は、不特定の感染源に接触しているので
ヒトに感染可能な寄生虫や微生物を管理しきれません。

もちろん
海産物においても、胃液に強いアニサキスなどがありますので
全て安全というわけではありませんが、今回は割愛します。

養殖モノで、海産物以外で生で食べられるガイドラインがあるものは
馬肉、牛肉、鶏卵、などがあります。
これらはどのようにして、生食可能と判断されているのでしょうか。


ここで、
「家畜」を法的なものから拡張し、種や体サイズによらないものとして
再定義してみます。
「利用可能な有機物を転換する従属栄養生物」としてみましょうか。

なぜこうするかというと、
昆虫は養蜂と養蚕のみ家畜として法的に認められているのですが、
他の食用昆虫について、単純に
養蜂・養蚕の枠組みを拡張するだけでは多様な用途が想定されている
食用昆虫に対応できません。

食品衛生の法的な枠組みを理解し、
そこから昆虫食のあるべき衛生管理を考察しましょう。



参考になるHPとして「日本オーストリッチ協議会」のサイトがありました。
http://japan-ostrich.org/topics/view/4617080876
とてもいいです。

余談ですが

ダチョウといえば、
先日岐阜県から脱走して、その後首に木の枝が刺さった状態、つまり
「モズのはやにえ」のような状態で見つかったことで私の中で話題になりましたが。

実は法的には
「家畜である場合と家畜ではない(家畜と判断されない)場合」があるのです。


以下引用します。

家畜伝染病予防法
オーストリッチを10羽以上飼養している農場は、飼養する生体に死亡または異常が生じた場合、地元の防疫監視当局(家畜保健衛生所等)へ報告することが義務付けられている。

家畜排泄物処理法
家畜排せつ物」とは、牛、豚、鶏その他政令で定める家畜の排せつ物をいうとなっており、現在のところダチョウはその対象とされていない。

飼料安全法
この法律で定義されている家畜は、牛、豚、めん羊、山羊及びしか、鶏及びうずら等であり、他にもみつばち、ぶり、まだい、ぎんざけ、こい、うなぎ、にじます及びあゆ等が対象となっている。ダチョウは、この法律の家畜には対象となっていないため、牛用や鶏用に製造され販売されている飼料をダチョウに給与することは違法ではないが、ダチョウにとって適正な栄養価であるか否か、或いは安全性に支障はないか等については管理者責任によると解釈される。

食品衛生法
同法には、営業する業種別に営業施設基準が規定されており、所管の都道府県の条例で決められており、営業をしようとする者は都道府県知事の許可を必要とする。ダチョウをと畜解体処理する場合には「食肉処理業」となり、肉をハムやソーセージなどに加工する場合には「食肉製品製造業」、処理された肉をパッケージして販売する場合には「食肉販売業」となる。因みに「食肉処理業」とは、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(食鳥検査法といい、鶏、七面鳥、アヒル等が対象)に規定する食鳥以外の鳥若しくはと畜場法(と場法ともいい、牛、馬、豚、めん羊、山羊等が対象)に規定する獣畜以外の獣畜をと殺し、若しくは解体し、又は解体された鳥獣の肉、内臓等を分割し、若しくは細切する営業をいう。


さて、
昆虫については、関係各所に問い合わせましたが
「家畜かどうか判断する部署がない」そうです。

だからといって
「だれがどう提供しても自由であり、食べた人の自己責任」
とはなりません。

ダチョウと同様に
「管理者責任によると解釈される」のです。

ダチョウの飼養に関しては、管理者責任をもって、
対象外である排泄物や飼料に関しても家畜と同等の自主的な管理を行っています。

昆虫食でも、同様に
ふさわしい管理方法を考え、提案していくのが、自称専門家の務め
だと思います。

先に示した再定義

「利用可能な有機物を転換する従属栄養生物」の枠組みから、
食品衛生の考え方をざっくりとした部分から見てみます。


大きな枠としては、
微生物を利用した発酵、大動物を利用した家畜、キノコ栽培のような農産物まで
「食品加工の一種」とみなすことができます。

つまり食品衛生法で管理されることが王道です。
そして食品加工>家畜>農産物の順に、条件がつき、安全管理がゆるくてもよくなります。

逆に言うと、
家畜や農産物がきちんと育つことそのものが、安全管理の証明とみなされている、
といえるでしょう。

以下は行政の判断を待たなければなりませんが、
可能性のある3パターンに分けて考えてみましょう。


食品加工と同等と判断された場合

微生物発酵と同じように昆虫養殖も食品加工とみなされた場合
昆虫は種苗として単一のものが求められるでしょう

食べさせるものは食品原料のみが許され、フンと消化管内容物に有害な物質が検出されないことが
必須です。また、食品原料も加熱処理が必須となる可能性もあります。

生食の可能性を左右するのはフンの衛生度でしょう。
バッタなどは共生細菌の力を借りないイメージがあります(まだ報告されていないだけですが)
加熱処理した無菌の草を食べさせ、フンも無菌のバッタならば
もしかしたら生食ができるかもしれません。

もちろんバッタ醤油があるので、茹でたほうがおいしいでしょうが。

「家畜」と同等に判断された場合

家畜生産では、食品原料の安全基準よりゆるい飼料安全法によって管理された「飼料」を使うことが出来ます。これは、家畜が健康に育つことが、ひとつの飼料の安全性の担保となっているから、と解釈できます。

また、家畜の排泄物は食肉処理時に消化管を取り除き、完全に分離する必要がありますので、
人体にとって有害な物質は家畜の機能により、排泄物へと分離されていることが期待されている、と言えるでしょう。

昆虫が家畜と判断された場合、生食できる鶏卵とウシ、ウマの肉と同等の衛生管理が摘要されるでしょうからフンに食用に適さない物質が含まれていても、蛹化や脱皮時に消化管内容物を排出することで、汚染がないと判断される可能性もあります。
生で食べられるのは、消化管を取り除き、肉をトリミングしたものや、
それから無菌培養した細胞塊、そして卵だろうと思います。

先に述べたバッタや
わりと大型でさばくことのできるマダガスカルオオゴキブリ、その卵、昆虫の培養細胞あたりが生食の候補になりそうです。体サイズが小さいので、なかなか難儀です。

「農産物」と同列に判断された場合

キノコの場合、木質バイオマスや、堆肥など、そのままでは食べられない動植物性の有機物を転換することができます。
そして、子実体を収穫することで、それらとは完全に分離されることが期待されています。

今回は割愛しますが、
キノコの生食ができない主な理由は感染性の微生物ではなく、キノコが本来持っている防御機構が
人体に有害で、加熱によって回避できるからです。

この判断となれば、堆肥として利用される家畜排泄物を、ハエ養殖で転換し、食用や飼料として
再利用する方法まで、利用可能性が広がります。

ただ、
堆肥の場合は発酵による熱殺菌も期待されているので、熱に弱い昆虫による転換では、
検査結果次第では難しいかもしれません。

もしいい結果が出れば、
堆肥由来のハエの蛹や木質バイオマス由来のカミキリムシの蛹、クワガタの養殖モノが安全検査を合格して生食用として出回るかもしれません。


ということで、
三段階で考察してみました。

行政の判断がどうなるかは、まだ予見できませんが、
私としては
「飼料」や「食品残渣」の転換が、将来の昆虫食の1つの大きな役割を担うと考えているので、
一番厳しい「食品加工」扱いではなく、
一段階ゆるめの「家畜」あるいは
さらにゆるめの「農産物」と同等の扱いがほしいところです。

いずれの場合においても
それらの食品安全検査の手法は既に確立されており、
昆虫の場合は、その方法を当てはめるだけなのですが

そこには手法における新規性がなく
「研究としての新しさがない」と言われてしまうことが
目下の悩みです。お金が集まらない。

昆虫を食用に利用すべきである理論、というのを、
学術的にも、経済的にも

もっと説得力のあるものに仕上げないといけないでしょう。


最後に、
我々の卵かけごはんを支える、生食のできる鶏卵でも、サルモネラ菌ワクチンを接種することで
その安全性を保っているそうです。ワクチンはそのうち耐性菌の登場により
無効化される危険もあります。
また、「EM菌により殺菌剤を使わずとも生食できる」などと、疑似科学の温床にもなっているようです。

生食できるかどうか、だけでなく
生食すべきかどうかも、
食の安全と倫理、持続可能性において、考えてみると良いと思います。

昆虫食も、生食できるか、生食すべきか、普及の推進と同時に考えたいところです。
Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net

2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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