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今日は「味の表現」について考えます。
テレビやラジオなどのグルメ番組では

「外はサクッと」
「中はジューシー」
「香ばしい香り」
「甘くとろける」

こういった表現ばかりが目につきます。

画一的でツマランと批判する論調がありますが、
「マスメディア」という一対多のメディアが疲弊しつつある今、
「ハズレがないこと」が優先されている結果だと思います。

「美味しい=まずくない」と言った感じでしょうか
雑味のない味、クセのない味、甘い。離乳食のような味。
ハズレのない味が、多くの人にとっての正解なのでしょう。

冒頭の表現を聞いた時に
不味いと感じる方はほぼいないでしょう。

例えばシュークリームとか


焼きそばとか。(これはカップ焼きそばですが)


巷にありふれていますね。

この味や食感は、多くの人に受け入れられるので、
原料は世界中の大規模農場・畜産場で莫大な量が生産され
コストが下がった結果
最も安い食品=ジャンクフードとして大量に消費されています。
この「安く、まずくない食品」たちは
アメリカでは逆に肥満原因として問題になるほど、

多くのヒトが
生理的に好む味に仕上がっているのです

言い換えると
ヒトはジャンクフードが
美味しく感じるように進化した、
とも言えると思います。

ただ、これらの食品は奇妙です。

なぜなら
由来の異なる様々な生物
(小麦の実を脱穀精白後・粉砕したもの+鶏卵の黄身+牛乳の分離脂肪or植物油脂)を
複雑に加工(発酵・乳化・焼成・揚げ)し、
もはや
元の生物とはかけ離れたものになっているからです。

ヒトの味覚の進化はおそらく
文明が出来るはるか前に起こったでしょうから
これらの食品への「欲求」のとなる、
希少で美味しい食品があったものと類推されます。

では何でしょうか。

もう一度言います。

「外はサクッと」
「中はジューシー」
「香ばしい香り」
「甘くとろける味」

もうお分かりですね。






そうですね。昆虫です。

多くの昆虫は茹でただけで香ばしい香りや、植物由来の香りがします。
内部は乳化しており、タンパク質と脂質が分離すること無く混ざり合っています
表皮はサクッとしていて、中はジューシーです。

かつて
昆虫は希少で栄養たっぷりの食料でしたが
人類に技術がなく、安定的な大量養殖が
できなかったことから、

仕方なく
小麦を育て、牛を飼い、鶏卵を生ませ、
それらを分離混合し、更に酵母を作用させ、
バニラエッセンスや火で焼き付け
香ばしい香りや食感を再現することで、

ようやく
「昆虫の代替食」をつくることに成功しました。

しかし現在、
科学と文明の発展とともに、研究用にも、
産業用にも、ペットとしても、飼育されている昆虫が多くいます。
それら養殖昆虫が
食用に利用可能であることに世界の人々が気づいてしまうと、
牛乳も、鶏卵も、穀物も、イモも もはや売れません。

人々の大きな食習慣のシフト(=目覚め)は
世界恐慌を優に超える経済的なダメージをもたらすことでしょう。

そこで、既存の食料生産と既得権益を守ろうとする人々は
世界から昆虫食を駆逐するネガティブ・キャンペーンを開始しました。

「虫は貧困者の食べ物」
「牛肉こそが合理的で豊かな食べ物」
「小麦を焼いてウシを挟んだものとジャガイモを大豆油で揚げたものを
 とうもろこし澱粉由来の糖液に色と香りをつけたもので流し込むのがかっこいい」
「虫なんて絶滅してしまえばいいのに」


公言しているヒトを見かけないでしょうか。
あるいは、
ダレが言っているか聞いたこともないのに、
いつの間にか自分に刷り込まれていないでしょうか

実際に
虫が絶滅したらどうなるか知っていながら、
そのような態度をとる彼らは、
世界の食料生産を牛耳る人々の手先なのです。

このブログをみて「食べたくない」
と思っているあなたは

もう
…彼らに洗脳されているのです。ーーーーーーーー



ーーーーという陰謀論を書くのは楽しいですね。
「この陰謀が証明できないのはこれが陰謀だという証拠だ」
という循環論法を元にする陰謀論は

「証明できない枠組みの中でしか遊ばない」
オカルトの紳士的な嗜み方といえるでしょう。

近頃の陰謀論にはユーモアが足りません。
陰謀論なのだから証明の仕様がないのに、
他人に信じてもらえないとギスギスして
自分の負のスパイラルに
どっぷりハマり込んでしまうヒトがいます。

ユーモアあふれる陰謀論である

「納豆陰謀論」をぶちあげたクマムシ博士のように
みなさんも様々な陰謀論をつくって
楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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無題
妙に説得力のある文章ですね。面白いです。
しかし、洗脳やら刷り込みやら思い込みやらというのは、厄介な代物ですね。
どうしたらそのようなものから自分を解き放つことが出来るのか知りたいです。
私も虫を味わって食べてみたいです。
今更な質問なのですが蟲喰ワトロさんはどういった経緯から虫を食べられるようになったのでしょうか?
soy 2013/10/07(Mon)14:33:53 編集
Re:無題
ありがとうございます!
証拠はありませんが、個人的にこの説は信じています 笑
「自分がどう刷り込まれているか他人に説明できる状態にすること」
がお勧めです。刷り込みや文化を捨て去ることはできませんし
逆にそれらが役に立つこともあります。
「目をつぶって歩くと自分がどっち方向に曲がりやすい歩き方かわかる」
というイメージでしょうか。
無理して矯正するのではなく、意識的に逆バイアスをかける
無意識的に逆バイアスをかけていることを意識する、という感じです。

食べ始めた経緯についてはまた記事にします!
【2013/10/08 12:36】
無題
太古の時代のことを考えるとあながち、そうではない、とは言い切れませんね・・・
タンパク源かつ、旨み成分の強い(らしい)昆虫が貴重だったことを思えば模造品を作ろう、と思うのはおかしくないのかも
NONAME 2013/10/07(Mon)15:33:49 編集
Re:無題
そうですね。 証拠はないのですが
ナッツや虫などの高カロリー食の再現、という意味では
ありうる話ではないかと思っています。
【2013/10/08 12:37】
無題
幼い頃食べた鉄砲虫の味が忘れられない
ファーブル先生ありがとう、貴方のお陰で虫食いに目覚めました
NONAME 2013/10/07(Mon)21:32:36 編集
Re:無題
ファーブル先生は「蝉が不味い」といっていたので
昆虫食に関してはアリストテレスに及ばないかな、と思っていますが
テッポウムシの味は抜群ですね! 鱗翅目幼虫にもテッポウムシに匹敵する味のものが
いますのでぜひチャレンジしてみて下さい!
【2013/10/08 12:39】
無題
文章が読みやすく、私自身は虫を食しませんが、このブログは楽しく拝見させて頂いてます。
陰謀論を考えるのは楽しいですよね。

それはそれとして、このブログでは大半の写真が虫の画像なので、焼きそばの写真まで虫の画像に見えてくるんで不思議ですね。
NONAME 2013/10/10(Thu)07:13:33 編集
Re:無題
ご覧頂きありがとうございます
焼きそばの麺は幼虫の食感を再現するために…!
まで陰謀論をかけばよかったかもしれません 笑



【2013/10/11 20:24】
無題
そういえば、日本でも昔は虫を食べていたんでしょうかね?
こちらのブログを拝見してからちょくちょく気になっていたのですが、今回ちょうどブログを開いている時に思い出したので書き込んでみました(笑)
NONAME 2013/10/12(Sat)21:50:20 編集
Re:無題
そうですね。
1919年の三宅の調査では55種、この時は薬用を含め様々な虫が食べられていますが
1985年の野中の調査では7種が主に食べられています。この時期は養蚕(カイコ)や薪割り(カミキリムシ)など、生業とリンクして多く集まるものが主に食べられるようになったようです。
今でも文化として、食習慣として食べている地域も多くありますよ。
【2013/10/14 16:17】
無題
昆虫は不思議。栄養、コスト、機能、歴史。
気持ち悪い外観→洗脳と断定不可。
NONAME 2016/06/19(Sun)14:36:44 編集
Re:無題
幼少期から虫が苦手なヒトもいるそうなので、全ての人が本来虫好き、というわけではないでしょう。バラつきの問題で、今の文化では社会的なバイアスがかかっていると思います。
【2016/06/25 16:38】
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Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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