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「始まってもいないのに何を」とおもわれるかもしれませんが。

2013年 5月13日 FAOが報告書を公開し、
一斉にニュースで取り上げられました。
201ページに亘る報告書なのでこれからしっかり読まなくてはいけません

題名を読む限り、
「Edible insects:Future prospects for food and feed security」

未来の食と飼料の安全保障に有望だ、との論調です。

実は2010年にも報告書が出ており
「Edible forest insects Human bites back」
http://www.fao.org/docrep/012/i1380e/i1380e00.pdf
森林資源としての伝統昆虫食を見なおせ、という内容でした。

このことから、
2013年の報告書は2010年よりも
もう一歩「未来」に踏み込んだ内容になっていると思われます。

これに並行して
昆虫食がブームになりそうな兆し

があります。
食に関して意識の高い
欧米のセレブを「Foody」というそうですが
大豆食・魚食(寿司食)ブームも彼らによって引き起こされました。

アメリカでは複数の食用昆虫の会社が企業しており、
この流れによって 他の健康食と同様に
昆虫食がブームとなる可能性が浮上してきました。

ですが
ヒトという巨大な胃袋が食性をかえる

ということは
自然界にとって大きなリスクとなります。

もし
採集でしかとれないタケムシやモパニワームが人気になったら。
もし
養殖が追いつかないほどの需要がコオロギやタガメで起こったら

ビジネスチャンスを求めた投資が起こるでしょう。
更にそのブームが一気に収束したら。

継続的な生業として成立しない
荒れ果てた食用昆虫市場が残されることになるでしょう。

昆虫は種の多様性が高いことから、
種内・種間の相互作用が複雑に絡み合っています・

ここにヒトという巨大な消費者が
「嗜好や流行」で
介入すれば影響は計り知れません。

ということで、

「昆虫食をブームで終わらせないために」

何ができるか考えてみましょう。

1,採集昆虫食は伝統的生産者に採集権を限定し、価格と流通量を決める

昆虫食のメリットは「誰でも・どこでも取れること」です。
つまり誰でも生産者になれる可能性があります。
逆に言うと誰もが参入することで、資源量と流通量を把握しきれない危険性があります。
漁業権のような組合の設立と生産者を限定する仕組みが必要と思われます

2,各昆虫資源について顧問研究者を任命する

昆虫の研究は昆虫種と同じで多様性が高く、
一人の研究者が全ての昆虫を網羅することは到底出来ません。
昆虫種に応じた経済に左右されない基礎的な研究者を顧問としたいものです。

3,ミーハーなヒトは養殖昆虫を食べる
採集昆虫はとてもデリケートです。アマチュア昆虫研究者間でも
希少な昆虫のスポットは互いにナイショにしていたりするそうです。
口コミが伝わると業者にバレ、根こそぎ採集される危険があるためと効いたことがあります。

一方で、昆虫は多産・高死亡率の生存戦略をとる生物なので、
捕食者から隔離するだけでどんどん増えます。
更に、短いものでは一世代が二ヶ月ほどなので、
養殖昆虫はニーズに応じた生産調整がしやすい家畜と
いえるでしょう。
ブームに乗っかっていると自覚した方は養殖昆虫を食べると良いでしょう。

4,養殖昆虫を生産する際の農業生態系にも目を向ける

既存の家畜は単純に食肉を生産するためのものではありません。
マズいけどよく育つ飼料作物や農業残渣である麦わら・稲わら、生ゴミを処理し、
食肉生産と同時に堆肥化してくれる重要な農業生態系の一部です。

一部の研究者が主張するように
『ウシをコオロギに変更したするとより効率的なタンパク質の生産と二酸化炭素の削減ができる』
かもしれませんが、コオロギのフンや病気の管理、生産調整等
様々な農業生態の変化が予想出来ます。
その影響をきちんとコントロールできないと
「ウシのほうがまだよかった」となりかねません。

食べる昆虫がどのような経緯で生まれ、どのように環境負荷を抑える目的で生産されているのか、
きちんと考えてからでないと、安易な昆虫食ブームは
既存の家畜産業を破壊しかねません。

とまぁ

杞憂であれば嬉しい(同時にブームが来ないと悲しい)のですが。。。。。

ここから妄想が入ってきます。

「もしバッタを養殖するムラがあったとしたら」

養殖昆虫は近年ようやく出現した昆虫食の形で、既存の食用昆虫のほとんどは
採集食か、機能利用(はちみつや絹)の副産物として食べられてきました。

そこで 未来の
養殖昆虫食のカタチとして、
資源の有効活用を目指した
自給自足型のバッタ養殖のムラを想定します。

トノサマバッタはイネ科の草本を、一日に体重の1.5倍食べます。

そして 
トノサマバッタ類は時に大発生することが知られています。
時にはその総数は500億匹・11万トンとも推定されています。

日本の牛肉の生産量が10万トンですので、
ヒトの手がかかっていない単一種の陸上バイオマスとしては
途方も無い量といえるでしょう。

各家庭に、誰かがタダで国産牛肉が配ったとしたら
牛肉生産者は食いっぱぐれてしまいます。

バッタ養殖ではこのような危険があるのです。
養殖昆虫業が生き残るには「自然界という競合相手」と
渡り合っていくことが必要でしょう。

養殖にあって
採集(狩猟)にないものとは
「副産物の利用」が考えられます。

具体的にはウンコです。
バッタは一日に体重の1.5倍という膨大な量をたべます。
想像してみて下さい。 60kgの成人男性ならば90kgです。
当然フンも大量に出ます。

つまり、
ウンコの利用が 
バッタ養殖業の継続のカギといえるでしょう。

ウンコの利用・ウンコの利用・・・・と考えて
ここ一年
色々な妄想特産品を開発しました。

お茶 お茶プリン

紙や染めモノ 

…工芸?
…祭り?
…収穫祭?

妄想は続きます。
「バッタ養殖のムラには、バッタのフンを利用した工芸が起り、その工芸で着飾った住人たちによる収穫祭が開かれるだろう」

との大胆な仮説(妄想)から
こんなのが生まれました



解説

このお面はバッタのフンを50%含む紙粘土でできています。
バッタのフンは繊維質が多く、紙粘土との相性がよく、風合いのよいお面ができます。

また、触角はカイコの繭をバッタのフンで染めたものです。
フンにはバッタが利用しなかった色素や老廃物があり、煮出すことで落ち着いた茶色となって
定着するのです。

装着してみましょう。 思いの外デカイ。

祭り感。。。。。?

なんということでしょう。
お祭り感が感じられません。

一人でセルフタイマーで行なっているせいでしょうか

祭りというより 奇人変人の類であります。

むしろ B級SFの世界。 ウルトラQでしょうか。
セミ人間なんていうのもありましたね。。。
「ガラモンの逆襲」に出演したそうですが。。。。


ということで作ってみました。
「バッタモンの逆襲」













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無題
ええっそういう素材でできたものだったんですね。重さはどうですか?
smallcreature 2013/10/16(Wed)13:25:12 編集
Re:無題
「かる~い紙粘土」と同重量の水に戻したフンを使っています。
かなり軽いです。前が見えないので要改良ですね。
【2013/10/19 23:22】
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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