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近くのブドウの葉についていた
コスズメ Theretra japonica の終齢幼虫を見つけました。


昨年は同じ場所でブドウスズメを見つけたので、同じように美味しいことが期待されます。

コスズメ緑型は尾角が赤で、脚は赤と白のストライプ。
眼状紋は瞳がグリーン、という可愛らしいデザインをしています。

イモムシハンドブックの表紙にも採用されたぐらいで、
以前に新宿のブックファーストで特設コーナーが設置された際には
巨大フィギュアにもなりました。


改めて見るととても可愛いですね。

味見
美味しい。
スズメガ系の甘みのある爽やかな味。外皮も食べやすい硬さで適度な噛みごたえ。
ブドウスズメと甲乙つけがたいが、コスズメの方がかわいいのでコチラを推します。





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オニヤンマ。Anotogaster sieboldii

幼少の頃、溜池の多い地域だったことから、
高い土手の上を悠々と回遊している姿をよく見ました。
私の差し出した虫取り網を直角に避け、飛び去る姿は力強く、
憧れの存在でした。

このブログを始めた当初、ギンヤンマが美味しいことを知った時、どうしてもオニヤンマが食べたい!

と思いましたが、昨年は会えずじまいでした。

そして今年、階段に迷い込んでいるオニヤンマを発見。
かっこよいです。


トンボに比べ、力強くグングン飛ぶ「ヤンマ」ですが、
オニヤンマは「オニヤンマ科」で、
ギンヤンマ等の「ヤンマ科」とは異なる科に属します。
そのため、ギンヤンマが美味しいからといってオニヤンマが美味しいとは限りません。
確かめてみましょう。

味見
ウマイ。外皮が体重に比べ柔らかいので茹でて食べやすい昆虫の一つ。脚が口に残るが胸部は柔らかく甘い筋肉が。ギンヤンマとよく似た味がして、香ばしい風味も良い。腹部は空洞で味が薄い。少し金属臭があった。胸部がオススメ。

食べてよかった。大変美味しい昆虫です。ヤゴも食べたいですね。

余談ですが、昆虫の目は複眼構造をしているので、
角度によって異なる像が見えます。

ヒトは両眼視をする生き物なので、虫の目を覗きこむと
そのズレが3Dで迫ってきて、刺激的です。

そんな「虫の目」は、写真では伝わらない特徴です。
伝えたいのでこんな擬似3D画像(GIFアニメ)を作りました。

角度によって目の表情が変わる様子が見えるでしょうか。
やっぱりかっこいいですね。左目がウインクしているようにも見えます。
ブドウスカシクロバ Illiberis tenuisの幼虫が
昨年ブドウスズメがいた所に発生していたので採ってきました。
逆に今年はブドウスズメが見られません。

昆虫は地球上の半数の種を占めることから、
その種の多さが注目されていますが、
「種」の概念自体が我々哺乳類と単純比較できないような気がします。
昨年他の昆虫がいたところに、今年は別の昆虫がいる。
種は異なりますが、「昆虫群としての戦略」が成功していると言えそうです。

この時、このブドウにありつく可能性を高める進化は
どの生物も繰り返してきたことですが、それでも様々な偶然に左右されます。
どうがんばっても「毎年単一の種が同じ場所に生息し、同じ物を食べる」
ことはものすごいエネルギーが必要です。
毎年少しだけ違う条件の中で、確実に「ここのブドウを食べて成長する昆虫がいる」
というのは昆虫の多様性とゆる〜い(競争を含む)連帯のお陰ではないかと思います。

さて
採集したときはこんな黄色なのですが、


前蛹になるとこんな色に。



ラズベリーですね。

とても美味しそうです。

味見
予想を大きく裏切り、
苦味があり味が悪い。
ブドウスズメの方がだいぶおいしい。
前蛹になっても苦味がのこっており、あじわいも薄く微妙

見ためだけジューシーで酸っぱそうでも、味は簡単には似てくれないようです。
残念。ブドウスズメ戻ってきてほしい。

オナガミズアオを飼育しておよそ一ヶ月、

オナガミズアオとよく似た種、オオミズアオとを食べ比べてみたい、
と思うようになりました。

両者の成虫はよく似ており、いくつかの同定ポイントを比べても
個体差が大きく、確定的なことはいいにくいとのことです。

一方幼虫はトゲの基部に黒い部分があるのがオナガミズアオ、

黄色しかないのがオオミズアオと、比較的見分けは簡単です。

そんな中、栗の木についたオオミズアオ幼虫を見つけました。
「コレでオナガミズアオとオオミズアオを食べ比べることが出来る!」

喜んだ私は栗の枝とともにオオミズアオを持ち帰りました。
ところが、
栗の葉が気に入らないのか、
殆ど食べません。

すると数日後
何やら白いモヤモヤが出てきたのです。
コマユバチでした。

コマユバチは寄生蜂の一種で、鱗翅目の幼虫に卵を産み付け
産み付けられた幼虫は生きたまま無数のハチノコに食べられ、ハチノコが十分に育つまで絶命しない

というなんともホラーなハチなのです。

プツプツとハチが脱出した跡が残り、
大変痛々しい姿のオオミズアオ。

モサモサとこれでもか!という勢いで脱出して繭をつくるコマユバチ。

虫嫌いの方にはショッキングすぎる光景です。
虫好きの方にもかわいい幼虫の痛々しい姿は胸が痛みます。

養殖しているオナガミズアオへの寄生するのを防ぐため、
速やかに全てのコマユバチを駆除する必要がありました。

さて
私はどうするべきか

そうですね。
茹でて味見ですね。

オオミズアオ幼虫
しっかりとした木の香りがする。オナガミズアオと異なる香り。やはり食草によって昆虫の香りは影響され、木本の方がその影響が大きそう。何も食べていなかったので消化管内にはほとんど食草はなく、肉薄な印象。内部にもまだまだコマユバチが残っており、とてもかわいそう。

コマユバチ幼虫
茹でるとカタめ。味はほとんどわからず、固めのインディカ米のような印象。
鱗翅目の終齢幼虫はとても強度の高い外皮を持ち、髪切るのが困難なほど。
その中から脱出するので、けっこう固いのでは。固いことで寄主の体液を漏らさずに
脱出することができるのでは。。。養殖昆虫の敵ながらあっぱれ。

コマユバチ繭
繭になってしまったものは口に入れても繭の強度が高すぎて
全く噛みきれず、あじわうことができなかった。



大変ショッキングですが、この後にオオミズアオの写真を掲載します。
見たい方のみ「驚愕のオオミズアオ」をクリックして下さい。

前回食べたヒメヤママユ幼虫を 別の方からもう1頭頂いたので、前蛹にしてからたべてみることに。


荒い目の繭は「スカシダワラ」と呼ばれ、ヤママユガやクスサンにも見られる
美しい繭です。
内部に縮まった前蛹がはっきりと透けて見えます。



取り出してみると繭も前蛹も美しいですね。

味見
幼虫に比べ香ばしさが増している。毛が密になった分食感は好みが分かれるが、口に残るような硬さはなく美味しく食べられる。表面がツルツルの昆虫に比べ味の絡みが良いと考えられるので、天ぷらやあんかけとして食べたい。

ヒメヤママユは
密でありながら柔らかく独特の触感をもつので、他の食材での代替が効きません。
食用として人気になれば価格の高騰もありうる美味しい昆虫といえるでしょう。

Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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