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一年間育てたバレンタインチョコ昆虫。
とうとう味見です。
一年間でどのくらい食べたのでしょうか。
当初が22gで、
食べられた結果の重さは16gです。
なので、一年間で6g食べたことになります。
体重、測っとけばよかったですね。
それでは味見しましょう。チョコフレーバーは
彼らに移行しているのでしょうか。
マダガスカルゴキブリ Princisia vanwerebeki
うまい!臭みはまったくなく、甘みが強いがチョコの味ではない。おどろくべきうまさ。ちょっと外皮が固いのが残念。
オレンジヘッドローチ Eublaberus prosticus
?オレンジ柑橘系の妙な香りがあってゴキブリ臭い?ようにも感じるが、
甘みがあって食べられそうな妙なかおり。なんだこれは。混乱。
通常飼料の味ではない。
アルゼンチンモリゴキブリ デュビア Blaptica dubia
さくさくして食べやすく、こちらもチョコの香りではないもののおいしい。なんだ。チョコに含まれないなんらかの成分がいいのか?
意外な結果となりました。
典型的な「ゴキブリ臭さ」がいずれからもせず、
妙な香りと旨味でした。また、チョコフレーバーはほとんどせず
香りを食用昆虫に移すことはなかなか難しいようです。
彼らは窒素代謝物の再利用系を持っているので
タンパク質などの何らかの経路に、「ゴキブリ臭さ」のフェロモンを作り分泌する
系があり、それがチョコ食により阻害されているのかもしれません。
なので、食餌制限によって「ゴキブリ臭くない」おいしいゴキブリを作ることは可能で
それらは一年間飼育しても致死的でない要因によって達成できることがわかりました。
これはこれでけっこう良い成果なのでは、と思ったり。
彼らは養殖昆虫としての可能性を大いに秘めています。
そして、ヒトの生息環境のまま繁殖し、
他の昆虫に比べて野外には大きな影響を与えていないように見えます。
(ヤマトゴキブリが駆逐されている、という話も聞きますが。)
南方系のペット用種は冬には加温しないと死んでしまうので
そのような種をヒトの生活圏内で残飯を使って飼育し、食べる行為は
高緯度地帯の先進国における一つの解なのでは、と思います。
ごちそうさまでした。
一年前の自分にお礼。意外なおもしろいけっかとなりました。
ご無沙汰しております。
休眠中の蟲喰ロトワです。
最初に悪いニュースから。もう半年、休眠を続けなくてはなりません。
ほとほと昆虫学者としての実力と、将来性のなさを痛感しておりますが、
自分が言い出したことですし、
とにかく形にするべく、在籍期間満了の最後の半期をやり遂げようと思います。
休眠中ですが一つだけ、
一年がかりのプロジェクトがありましたので、
軽く記事にしておきます。
始まりは昆虫食仲間のムシモアゼルギリコさんが
つぶやいた一言からでした。
内山さんや蟲喰トロワ先生は、本日どんな虫チョコをもらったのじゃろうか。
— ムシモアゼルギリコ@むしくい (@mushikui_net) 2014, 2月 14
そうです。バレンタインデーです。残念ながら私はギリコさんが期待するような
チョコをもらえませんでした。
生命保険の方が研究室にチラシと一緒に置いていったチョコを頂いただけです。
もちろん自分に保険などかけるはずもないので、
私は顧客・勧誘対象ですらありません。
そこで思いついたのです
「一年後の自分にチョコを贈ろう」
ギリコさんが納得するような、昆虫食研究者らしいチョコを。
友チョコ、ならぬ俺チョコといった感じでしょうか。
そこでこんな話を思い出しました。
昆虫食関係のどっかの本にあったと思うのですが。
「コオロギに食味の良い餌を食べさせて、フレーバーコオロギなどを作っても良いかもしれない」という話。(うろおぼえにつき出典ご存知のかた、おしえていただければ。)
これはすばらしい。
ということで、バレンタインデーらしくチョコフレーバー昆虫を作りましょう。
とはいえ、今までに揚げセミ幼虫のチョココーティングや
セミ成虫♂の鼓室へのチョコ注入、
クリムシチョコなど、チョコ昆虫はありふれた調理法です。
なので、もう一歩攻めてみることにします。
昆虫は養殖に大きな期待がかかっていますので、
一年がかりで、チョコで育てた昆虫を作るのです。
残念ながらコオロギは
チョコが体に合わないらしく、食べてくれません。
やはり、広食性のゴキブリが最適ではないか、と考えました。
一年前の開始時には、
マダガスカルゴキブリ アルゼンチンモリゴキブリ
オレンジヘッドローチの三種しか飼育していなかったので、
この三種、体格の近いものを1頭ずつ用意しました。
そして、22gのチョコと水を入れ、開始です。
そして一年後、どうなったでしょうか。それは後編で。
当ブログでは、
マダガスカルゴキブリ以外の味見を紹介していませんでしたが
ゴキブリはペットの生き餌として、ペットそのものとして、多くの種が輸入され、
飼育愛好されています。
チョコ作りにはとりあえず3種を選んだのですが、
数カ月前に、とあるブリーダーの方から理由があり
多くの種をお譲りいただき、味見をしました。
複数種を食べ比べることで、「ゴキブリの味」というものを概観し、
今後の指針にしようとおもいます。
マダガスカルゴキブリは以前に食べましたのでこちら(前編 後編)
続いてオレンジヘッドローチEublaberus prosticusの羽化直後個体。
飼育環境下では臭いが味はどうか。羽;クニュっとした食感とシコシコした歯ざわりが美味しい。昆虫の羽ではかなり美味しいレベル。頭部、芋系の香りと粒感のあるタンパクな味。全くエグみがない。胸部かなり美味しい。やはりサツマイモ系の香り。見た目できになるトゲも柔らかく、問題なく飲み込むことが出来た。腹部。やはりゴキブリ臭。集合フェロモンの強い匂い。味というかニオイがダメ。調理前に腸を切除するか、揚げて揮発させる必要があり。
アルゼンチンモリゴキブリ(デュビア)Blaptica dubia
外皮が比較的柔らかく食べやすい。茹でると少しゴキブリ臭。揚げればいけそう
ちなみに、このデュビアは、
昨年の蟲フェスでデュビアジャパン http://dubia.jpさんが
料理コンテストに使用し、脱皮直後の虫をつかったアヒージョ「ゴキージョ」を
出品し、大変おいしくいただきました。
野菜メインの飼育をすることが、美味しさの秘訣だそうです。
オガサワラゴキブリ
Pycnoscelusの1種。オガサワラG?頂いた先に聞いてみねば。 バークチップで育てたもの。茹でて味見。シャクシャクしてとても美味しい。 嫌なニオイは全くない。昨日食べた美味しいオオGのおかげか、躊躇なく挑戦できる。 pic.twitter.com/G55gRXpoRQ
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 13
Pycnoscelusの1種脱皮直後を。こちらは土系の高湿度で維持。丈夫でよく増える。これも種を聞いておかねば。 少し臭みがあって惜しい。湿度によってもニオイが変化する可能性。シロアリに近い性質のものが一番美味しいかもしれない。 pic.twitter.com/XIKYqnXFzv
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 13
オオモリゴキブリ
オオモリG Symploce gigas gigas ヒマワリの種のような模様と大きさ。華奢で壁を登るので容器を選ぶが、つかみやすく取り扱いはわりとラク。味はかなり良い。やはり朽木食性の成長の遅いGの方が味が良い傾向がありそう。 pic.twitter.com/8NYfQIvwIZ
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 15
こちらは採集品、オオゴキブリ
日本の森林性のG Panesthia angustipennis spadica 動きが遅く、ゴツゴツしてカッコ良い。 夏から飼うも卵を産まず、弱ってしまったので茹でて味見。 とても美味しくフェロモン臭もない。味はシロアリに近い。 pic.twitter.com/S212W4ZNsa
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 12
カプチーナ、と呼ばれる種
Ergaula capucina カプチーナ、というかわいい名前のG幼虫。 成長が遅く、乾燥気味で、野菜食性が強いので、期待したが ちょっと匂う。ボリュームがあり、外皮も柔らかく味はそこそこ良い。 砂が体表につくのでよく洗うと良い。 pic.twitter.com/MFYXZ7e4sU
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 15
そういえば、やきそばにトッピングするとなんたら、という騒ぎもありましたね。
期待された気がしたので夕飯はペアでヤング(幼虫)なGの焼きそば。すりおろし自然薯を注入し、腹側を覆いキチナーゼ反応を期待したが時間が短く食感は変化せず。内部はもっちりしたので一部成功。ソースがからみにくく下味は強めにすると良い。 pic.twitter.com/KHvzs1UO7n
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 11
当然ですが、原材料に記載されていない素材が入っていた場合、食品の製造工程になんらかの問題があることが示唆されるため、
保健所に通報し、検査することが妥当でしょう。
エビ・カニアレルギーのある方の交差反応も心配です。
ただ、同時期にチェーンファミリーレストランでのo-157食中毒があり
その混入経路が不明のまま、当該店舗のみ3日間の営業停止処分だったことを考えると
同社の商品を全回収することは、
その危険性と照らしあわせてみると大きすぎる反応にも見えます。
余談ですが、
彼らが本格的に嫌われたのは、ビル化と関連していると考えられます。
「害虫の誕生」という本は
ハエや蚊などの、衛生害虫の成立と、
政府の国力増強政策が関連していることを示した良書ですが、
オビに
「なぜゴキブリは嫌われるのか」と
あるような、ゴキブリの害虫としての成立過程には
ここ数十年の現代の歴史がフォローされておらず、
もう少し説明が必要に感じます。
彼らは昔から木造家屋への侵入はありましたが、
「コガネムシは金持ちだ」という歌のように
有機物が豊富な、金持ちの家にしか来ない昆虫で
とりたてて嫌われるものではなかったようです。
数十年前でもハエや蚊、その他迷いこんでくる雑多な昆虫のうちの一つでしかなく
室内温度が氷点下になるような隙間風の多い日本家屋においては、
虫達は冬にはいなくなったものでした。(越冬するカメムシなどはいたようです)
平行して、
1970年代以降かねてからオフィスにしか使われてこなかったビルが
多目的化し、飲食店や住居として使われ始めました。
ビルは木造一軒家に比べて気密性が高く、空調によって
常に乾燥し、一年中温度が安定している、膨大な空間といえます。
そこからは、その土地に生息していたほとんどの生物が追い出されたのです。
ヒトを由来とする湿潤な有機物は、
公衆衛生の観点から、滞留させないことで、下水を整備し、
ハエや蚊の発生を抑制しました。
そんな中、ゴキブリは乾燥に耐え、温かいビルに適応しながら
わずかな有機物を齧ってゆっくりと成長し、
ビル内の環境への適応を果たしたのです。
彼らはそもそも衛生害虫でないので、
ビル内で殺虫剤を使うことは本来の用途でありません。
そのため、ハエや蚊の発生が抑制されたビル内の王者となったのです。
その根拠として、
ゴキブリ用途の業務用(害虫駆除業用)
殺虫剤が登録されたのが昭和53年。
http://www.pref.chiba.lg.jp/eiken/eiseikenkyuu/kennkyuuhoukoku/documents/15-p1.pdf
殺虫剤は農薬ですので、薬事法により用途(=目的昆虫の名前)が決まっています。
ビルに適応したゴキブリは、おそらく、当初殺虫剤を使用できなかったのです。
そこから見えてくるのは
「ビル管理者がゴキブリの苦情を害虫駆除業者に言い始めてから」
ゴキブリは嫌われ始めたといえるでしょう。
はたして、ゴキブリは
ビルというゴキブリに適した環境を提供しておきながら
そこに増えたゴキブリを害虫認定するというマッチポンプによって
日本一嫌われる昆虫の座をヒトによって与えられたといえるでしょう。
そのため、彼らはハエや蚊のような重篤な感染症の中間宿主となることはなく
感染症の運搬者となる可能性が指摘されているものの、それは潜在的なもので
カラスやタヌキ以下の低いリスクしかないものです。
徹底して駆除し、殺虫剤耐性ゴキブリを産むほどではないといえます。
今や感染症発生時のハエや蚊の駆除と同等の徹底ぶりです。
これでは、いざ彼らを媒介とする感染症が蔓延したときに、
殺虫剤が有効な封じ込め手段ではなくなってしまいます。
例えば病院では、抗生物質の使用を制限しており、
最も強力なバンコマイシンの利用は「奥の手」でありかなり慎重です。
それは耐性菌の発生を助長するものであり、院内感染の蔓延原因となるからです。
幸いなことに、というか不幸なことに、
そもそもハエや蚊ほど感染症リスクが高くないので
殺虫剤耐性ゴキブリが発生している現在も、
直接的な感染症のひろがりはありません。
また、
ニューヨークのゴキブリは、味覚が進化している可能性も指摘されています。
アメリカのチャバネGが駆除剤に塗られた甘味を感じないよう変化したという話。→ http://t.co/IdYEEfse4k
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) 2014, 12月 13
そもそも、根拠の曖昧なまま始まったゴキブリ駆除の要求は「ほどほど」を失い、もはや
ゴキブリそのものよりも怪物となっているような気がします。
おそらくですが、殺虫剤の広告において
虫への嫌悪感を煽るマーケティングは、
薬事法の「優良誤認」を防ぐため、と思われます。
薬剤は消費者に効果を誤認させるような広告を使うと、
厚生労働省から是正勧告が入り、回収を指導されてしまいます。
そのため薬剤の効果を広告するよりは、対象となる昆虫の嫌悪感を煽るほうが
効果的であり、薬事法の面からみても安全だったのでしょう。
業務用殺虫剤から、家庭用殺虫剤への変遷は又の機会に紹介します。
もしその煽りによって、極度のゴキブリ嫌いになってしまった人がいたとしたら
ゴキブリに対する加害者というより、ゴキブリと共に、被害者といえるのかもしれません。
さて この話は
仮説や妄想を多く含んでおり、検証が必要な「言い過ぎな話」が多くあります。
なので、今の段階で、この話をさも教科書に載っている正しいことのように、
引用を明記しないまま拡散しないでください。
紹介、引用する場合はこのページごと紹介して頂くと、
私に反論がきちんと返ってきますので助かります。
少し暗い話になりました。
後半は明日、書き上げます。チョコで一年育ったゴキブリたちは
はたしてどんな味に仕上がったのでしょうか。
このブログ、及び食用昆虫科学研究会としての活動を含む
昆虫食活動を半年間、夏眠させることにしました。
理由は学位取得に危険信号が灯ったからです。
2011年
ショウジョウバエ研究半ばでの
博士課程休学から3年、
いろいろあって「昆虫食」にたどり着くことができましたが
最後の1ピース「応用昆虫学の学位」がうまくハマらない状態でした。
今年度は第一種奨学金貸与も終了し、両親からの援助で生きています。
それも昨年亡くなった祖父の遺産によるものです。
大変な親不孝者だと思います。
2011年、休学直後の半年は
株式会社リバネスのインターンシップに参加し、
多くのことを学びました。
メンバーが交換可能なチームで何かを作ること、
締め切りを守ること。
科学は非科学的な「熱」で推進すること。
サイエンス・コミュニケーションという軽い言葉に込められた重い意味。
その中で
「自分にはやはり学位が必要だ」との決意に至りました。
平行して、リバネスの皆様に教えてもらいながら
研究申請書類の書き方から半年かけて博士論文テーマを作り、
2012年、二人の現ボスに拾ってもらい、
昆虫食のために応用昆虫学の学位を取ることを伝え、
了承していただきました。
その時、「本分は学位取得」ということを守るべく
2年間、二足のわらじに必死に足を伸ばしてきましたが、
残念ながら力不足を実感しています。
昆虫料理研究会には
2008年、仙台で独学で昆虫食研究を始めた当初から
お付き合いいただき、出版社の内山昭一さん、フリーライターのムシモアゼルギリコさんを中心とする
人脈から「一般向けメディア」の仕組みと仕事を学ばせていただきました。
研究者から離れた一般論としての社会人を意識できたのも、この人脈のおかげかと思います。
いち社会人としてどう生きるべきか。悩んだ中で考える場を与えてもらいました。
昆虫料理研究会に多く問い合わせのある
「昆虫食の科学的な意義」について答えるべく誕生した「食用昆虫科学研究会」は
文系・理系を問わず、他分野の学生を「昆虫食」をテーマに集めるという
今思えば大胆な設立でしたが、設立後数ヶ月で合流させてもらい、
多くの衝突から同時に学び、成長することができました。
現在は学生のみならず、地域貢献NGO・NPOからもメンバーが集い
机上の空論だった「昆虫食」を各メンバーの討論により落とし込みを行い
その「暫定解」を中心に動いています。この「解」は
今後メンバー成長や加入によって動くようになっています。
他分野が論理的に熱く議論することで、
「解」が次の具体的な行動の指針になることを感じています。
ここではあまり触れませんでしたが
理詰めでの徹底した討論とは正反対の極に位置する
「芸術としての直感的な価値」を気づく機会にも恵まれました。
2005年から興味をもった「鯨食文化」と
その語り部となっている「鯨工芸師」に話を聞き
鯨歯をつかったハンドクラフトを趣味として始めました。
オオスズメバチ蛹が美味しかったので彫ったもの。(鯨歯)
江戸時代からの天然物造形技術が培われ、今も成長を続ける
「現代根付」を習う機会にも恵まれました。
一週間に使える時間はわずかでしたが、手作業として返ってくる「直感的な価値」は大きな存在となりました。
ショウジョウバエ研究の先輩の
ラボ誕生記念にショウジョウバエ羽化ストラップ(鯨歯)を
お世話になったバッタの先輩に木彫のバッタタイを
それぞれハンドクラフトの贈り物ができたのは、
片手間の成果としてはまずまずだったかな、と思います。
その中で
ヒトはモノのイメージをテノヒラで触った時の感覚で強く決定する=「掌感覚」仮説
に辿り着いたのも、この根付というものに出会ったおかげだと思っています。
なぜ虫はあまりに多様性のあるイメージをもたれるのに、
なぜ哺乳類のイメージは共通して「モフモフ」なのか。
テノヒラで触れた時の感覚の違いではないか、として仮説を立てました。
我々人類が「ケモノ」だった時から露出していた肉球、つまり「テノヒラ」は
霊長類が平爪とともに獲得した「ユビサキ」よりも、
「根源的なイメージ」を捉えるために使う感覚器官である
という仮説です。
あながち的外れではなさそうだと感じています。
昆虫食からインスパイアされて
2013年から開始した「むしぎらい文化研究所」も育てる目処がつきました。
http://mushigirai.jimdo.com/
むしずき、むしぎらい双方が納得する昆虫の社会的地位=昆虫倫理がきちんと
話し合えるプラットフォームとして機能するように育てるつもりです。
社会的むしぎらいを再生産する不幸を防ぐのは虫好きの使命ではないか、
とも思っています。
特に、視覚障害の方の「むしぎらい」経験談は衝撃的でした。
どうやら我々が
常日頃から五感をフルに使っているというのは思い込みで
特に虫に対しては、
感覚が不慣れになることで多くの恐怖を誘引しているように感じています。
知り合いになれた教育系NPO法人や
声をかけてくださった美術教育の大学院生とも連携できれば、と思っています。
また、
学術とは別次元の価値である「芸術」が
昆虫に対する強い先入観を「撹乱する」効果もあると考えています。
これは
メレ山メレ子さん主催の
芸術・学術総合昆虫イベント
「昆虫大学」から受けた印象を育てたものです。
学術のアウトリーチに関しても、芸術的価値を利用することで
その理解や、先入観の打破を目的とした多様なアプローチができるのでは。とも考えています。
「昆虫料理標本」もそのアイデアから生まれたものです。
茨城県自然博物館の「アフリカ展」に展示参加させていただきました。
「食品サンプル」として展示することで、
日本人の来場者に、
「アフリカの奇異な食」ではなく
普通の食品との地続きでのイメージで考えてもらえたと思います。
また、
学術という極めてストイックな営みから生み出される価値そのものが
次第に美的価値をも帯びてきます。
芸術家と学術を触れ合わせた結果「芸術」として生み出されるものにも
立ち会っていきたいと思います。
これは
むしぎらい文化研究所 inアクアマリンふくしまでも導入したかったのですが
今回は残念ながらタイムリミットです。
当然、昆虫食研究を続けながら、
学位取得をできたらカッコ良かったのですが。
残念ながらそのようにスマートなことにはなりませんでした。
英語で書きながら論理を組んで伝える、
という極めて重要な能力向上に対して
もっと集中的にリソースを割かないと、身につきません。
これを身につけないと、博士とは言えません。
O氏の学位論文コピペ問題が表面化して、本当に良かったです。甘えるわけにはいきません。
これから半年間
やりかけのことだけやります。自分のことをやります。
1,むしコラの執筆
2,NPO法人化の申請書類作成
3,むしぎらい文化研究所 in アクアマリンふくしまの実施
4,当ブログ内容の書籍原稿化・英文化
5,論文執筆・実験
新たな依頼は食用昆虫科学研究会のメンバーにお願いします。
多くのメンバーが社会人のため、私が動けた部分が動けなくなりますので、
お断りさせていただくこともあるかもしれません。
ご了承ください。
既に、お話を頂いていたものはご連絡し、縮小もしくは中止の方向で
進めさせていただきます。
最後に、この「夏眠」の決断に至ったのは、
数日前に
昆虫食に関する大変「雑な」記事が公開されたためでもあります。
昆虫食は多くの分野にまたがるので、その説明に正確性をもたせるために
我々の活動においては、一人の書いた原稿は必ず複数人での校正を行っていました。
ところが、
記事でインタビューを受けていた彼は
私のとある講演で聞きかじったことを中心に、
昆虫食を雑に、曖昧にまとめて、不正確なまま語っていたのです。
それぞれの情報の間に整合性がとれておらず、
情報をつかって論理も組んでいないので
彼の昆虫食研究に対する主張を汲み取ることはできませんでしたが
多くの反響を呼んでいました。
落胆と同時に実感しました。
「このままでは彼と何ら変わりはない。」
たとえどんなに不正確でも、逆に正確で的を射た批判でも、
相手に届かない、届ける能力のない状態で騒いでいては、
野球中継に野次を飛ばす飲み屋のオッサンと変わりません。
昆虫食に関する欧米の最近の風潮には危機感を感じていますし。
一方で、
日本の今の昆虫食の状況は世界の先進国のモデルとなると思っています。
日本の昆虫食研究への理念を
オランダのFAO報告書の彼らに伝えるには。
タイで養殖昆虫ビジネスを進める彼らに伝えるには。
私が成長して、能力を身につけなければなりません。
逆に言えば、
私さえ成長すれば、具体的に行動できる人脈や環境が、すでに揃ってしまったのです。
「夏眠」
聞きなれない言葉でしょうが、「冬眠」は聞いたことがあるかと思います。
冬眠と同じように
「成長しない・発達しない・成熟しない」まま、夏の期間をやりすごすことです。
その間、エサは食べますし、フンもしますし、動きます。
ただ全く変化していないように見えるのです。
一年以上かかってゆっくり発育する昆虫にみられる生態だそうで、
ゆっくりしか成長できない私にもその期間が必要であると判断しました。
皆様からは
「変化していないようにみえる」かもしれませんが
ボスと一緒に一旦、能力向上に努めます。
夏をやりすごし「機を伺って」また、目に見える形で成長を再開します。
2015年、年が明けましたら、目処が付いていると思います。
そして2015年度があけましたら Dr.蟲喰ロトワ として
再度、皆様にお会いできることを楽しみにしております。
2014年6月13日 Mr.蟲喰ロトワ
関西クマゼミ会、関東アブラゼミ会、金沢スジアカクマゼミ会と
大変グルメな展開です。 私は本業に勤しみますので
嫉妬しながら各会場でのセミ会の成功を祈っております。
関東アブラゼミ会の2009年の様子はこんな感じ。参考までに。
元々「カニ道楽のテーマ」を使って作った動画なのですが
著作権の問題で音楽を差し替えてあります。
私の言い出しっぺ企画を引き継いでいただいたので
【拡散希望】でご紹介します。
「外来種スジアカクマゼミを食べる会」の開催が決定しました。
http://kokucheese.com/event/index/196002/
今年5月、
中国本土や朝鮮半島・台湾に生息するセミの一種、スジアカクマゼミが
石川県金沢市に侵入し、拡大しているとのニュースを聞き
http://www.47news.jp/localnews/ishikawa/2014/05/post_20140515063602.html
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20090924103.htm
石川県ふれあい昆虫館の
福富 宏和さんにご連絡しました。
福富さんは虫cafe!2014にも
サプライズプレゼンターで参加するほどのプレゼン上手で、ユーモアがあふれ、
人と虫、一般と虫屋の間をつなぐことに意欲的な専門家です。
昆虫食にも興味を持ってくださっていたので、
「スジアカクマゼミを食べたい」と、お声掛けした所
場所の確保や自治体の担当者の方にも話をつけていただき
あれよあれよという間に実施出来る状態に。
その後、
私の学位取得に向けて、夏眠を決めたので、
来年にまで延期になりかかったのですが、
虫食い仲間のムシモアゼルギリコさんが
この企画を引き継いで下さり
開催にこぎつけました。
私は生き霊を飛ばして参加しようと思います。
とまでに
思い入れのあるこの企画。
「外来種問題をニュートラルに考える」
最適な形ではないか、と思っているのです。
外来種を含め、我々一般人が生物の扱いについて考える時、
どうしても専門家の話に耳を傾けがちです。
また、外来種駆除すべてに反対する集団も存在します。
(彼らは人が目に見える形で生物を殺すことを嫌悪しますが、その目的の達成のために論理が破綻してもいとわないので、なかなか相手をしにくい方々です。)
興味のない人の間では、
「なにもせずに放置」という人もいますが
「なにもしないことがベストである」という議論も
事例に合わせてする必要があるので
いずれにせよ、社会において
ベターな解を求めて、きちんと議論しつづけなくてはなりません。
そして、議論の前には、
他人の意見に左右されない「ニュートラル」な
生物との触れ合いが大事ではないか、と思っています。
その形の一つが「食べる」でしょう。
私の経験なのですが、美味しい昆虫にはどうしても愛着がわいてきます。
おいしくなくとも、食べたことのある昆虫には親近感がわきます。
苦手だったカマドウマですら、
今では美味しいリクエビにしか見えてきません。
少なくとも、ぞんざいに扱えなくなります。
そんな彼らをどうすべきか、
知識をつけるのはそれからで十分でしょう。
生物をぞんざいに扱わないために、
きちんと勉強し、議論していく「良識ある市民」が
日本の生態系のあり方を舵取りする上で、もっと重要になると思います。
この先、
日本は相対的に貧困になることが予想されています。
その場しのぎの開発や、持続可能性の低い活動により
短期間での経済効果を求めるのではなく、
将来にわたって日本の生態系をどう付き合っていくべきか、
まじめに考えられる人が増えてほしいものです。
ま、ともあれ
彼らはきっと美味しいです。
素敵な出会いとなることでしょう。
日本では金沢にしかいない貴重な食材です。
味のレビュー、お待ちしております。
嫉妬と羨望の眼差しで、聞き耳を立てたいと思います。
ぜひご参加ください。
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このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net
2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加