忍者ブログ
このブログは以下に移動しました。旧記事も見ることができます http://mushi-sommelier.net
[25]  [26]  [27]  [28]  [29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34]  [35
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お盆が過ぎ、もう立秋も過ぎ、
夏は過ぎ去ろうとしています。

今年は自分の計画性のなさ故にセミ会にもいけず、
思った以上に夏を満喫できていない缶詰状態ですが
秋の始まりをみつけましたので報告しましょう。

秋といえば「鳴く虫」ですね。



鳴く虫文化史によると
鳴く直翅目を楽しむ文化は日本、中国、ドイツなどの特異な文化とのこと。
江戸時代の江戸は鳴く虫文化の花盛りで、野生・養殖を含め虫カゴと合わせた鳴く虫市場があったとのこと。
日本の昆虫利用文化のレベルの高さが伺えます。

さて
今回「聴き比べない」のは四種類

エンマコオロギ Teleogryllus emma


コオロギ科 枯れ草や石の下によくいる普通種。
鳴き声 コロコロリー
味 以前も味見したが相変わらず美味しい。
甘みの強く脂質系のコクもある。シコシコとした筋肉も美味しい
大型なのに外皮が柔らかいため汎用性が高い。


アオマツムシ Truljalia hibinonis

マツムシ科 樹上でみられる動きの速い虫。明治時代の外来種らしいです。
鳴き声 リューリューリュー
味 キリギリス系よりコクが強めの味。穀物のようなうまみが強く
コオロギとも違う味。外皮は柔らかく小さいが味が濃いので楽しめる。


スズムシ Homoeogryllus japonicus

マツムシ科 エンマコオロギと似た所に住む。
声 リーンリーン
味 特徴的な青っぽい香りがする。コオロギと大差ない味だと思っていただけに意外。
味はヨーロッパイエコオロギに近い地味な味。手足が長い分すこし口に残ってしまう。


サトクダマキモドキ Holochlora japonica


ツユムシ科。全長45 mm以上で飛翔力が高い。(4Fのベランダで発見)
声 チ・チ・チ・
味 典型的なキリギリス系味。甘みが強くクセが全くない。
内部は粒感のある食感で旨みが強い。

直翅目同士で近縁、しかも音でコミュニケーションをとるだけに
よく似た味かと思っていましたが意外とそれぞれ異なる風味。

いずれも外皮が柔らかいのが直翅目の特長ですので、
食材としてのポテンシャルはバッチリです。
好みとしては
アオマツムシ>サトクダマキモドキ>エンマコオロギ=スズムシ といったかんじでしょうか

音声でコミュニケーションをとる直翅目を半養殖して
メスだけをスピーカーから出る音声で集めて収穫
とかできれば
養殖がより容易になるかもしれません。




PR
今年は本業に精を出すため関東セミ会には参加しませんでした。
我慢ガマン

自宅で、仲間とセミ会をしたい方はコチラを御覧ください。

さて。
セミ会のメインはなんといっても幼虫。
日没の前後にノソノソと木を登ってくるので簡単に捕獲できます。
アブラゼミ、ミンミンゼミの幼虫は肉質でむっちりとしており
外皮も柔らかく初心者でも大変美味しく頂けます。

一方セミの成虫は採るのに苦労するわりに中身がスカスカで、
揚げると味も正直単調ですので、セミ会ではバイプレイヤー。
幼虫の影に隠れてさっと揚げてポリポリ食べられます。

ですが
他の方から写真が欲しいとのことでしたので
いくつか成虫を捕獲し、モッタイナイので
今回は茹でて食べ比べをしました。

ヒグラシ  Tanna japonensis


朝夕に遠くから聞こえてくる物悲しい声が魅力的なセミ。
実際はというと初夏から初秋にかけて鳴き続けるスタミナタイプ。

高所に留まって鳴くことが多いので、静かなイメージですが
実際に捕獲するとバカうるさい。
腹部が透けるほど空洞が大きく、ミンミンゼミより二回りも小さいのに
カ!ナ!カ!ナ!カ!ナ!カ!ナ! 
大きな声で鳴いています。

「会いたくて会いたくて震える」という近年のヒット曲がありましたが、
モチーフはヒグラシなのかもしれません。
味見
木質の強い香りがあり、成虫にしては幼虫に近い味わい。少し苦味がある。
外皮の柔らかさと肉のうまみのバランスは良い。
ヒグラシについては以前にセミヤドリガ味見の時に食べたので、味見は一年ぶりなのですが、
だいたい同じ表現で、舌が衰えていないことを確認しました。


ミンミンゼミ Hyalessa maculaticollis

日本の代表的なセミ。ミンミン鳴くからミンミンゼミ。
ここらへんではちょっと少なめでアブラゼミの方が多い感じです
グリーンの体色と透明の翅が夏らしいですね。
今回は銀杏の木に留まっている所を素手で捕獲。

茹でると固いが、メスは腹部にうまみがあり、食べごたえがある。鳴かない分腹部の味は良い。結局くちにクチクラが残ってしまうので、揚げて食べるのがおすすめ。加熱すると特徴的な緑が消えてクリーム色にっなった。耐熱性のある緑色素は少なく、構造色に緑が多いのものこのへんかもしれないと思った。


ニイニイゼミ Platypleura kaempferi

去年に羽化直後のものとその脱皮殻を食べたのですが
今回は桜の木で元気に飛んでいるものをゲット。

味見
香ばしさが強く、やや苦味がある。タンパクな味でうっすらうまみ。つよいうまみではない。翅とかクチクラが口に残るので揚げがおすすめ。

アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata


こちらも昨年食べたのですがいい成虫の写真がなかったので再度捕獲
深夜に脱皮後数時間経ったものも捕獲してみました

味見(脱皮後数時間のもの)
木の香りがかなり強い。外皮が固まり始めており、しかも適度な弾力があり調度良い。以前食べた脱皮直後よりもかなり良い。結局口に残らず完食できた。
脱皮直後は濡れティッシュのようで味気ないので、このぐらい弾力がある方が美味しい。
成虫では一番美味しい時期だと思う。


クマゼミ Cryptotympana facialis


大型のセミで主に西日本に分布。
高校時代に図書館の周りにボタボタおちていて
夏休みの補習(クーラー無し)ではシャーシャーと安眠(?)を邪魔する存在でしたが

関東に移動してからはトンとお目にかかれず、こちらは譲っていただいたもの。

味見
固い。とにかく固い。甲虫と考えたほうがよいほど茹でるだけでは埒があかない。
とにかくじっくり揚げるべし。


あとは
ツクツクボウシについてはまだみられず、去年も食べたので、
ここらでまとめとしましょう。

ミンミンゼミメスは旨味が強い。
アブラゼミは脱皮後数時間が結構美味い。

きちんと食べ直してみると何らかの発見があるものですね。





そういえば食べてなかった半翅目
アオバハゴロモ Geisha distinctissima


以前ツマグロオオヨコバイを食べた時にも言及したのですが

とあるサル研究者によると、
サルの食べている昆虫の中で一番美味しいのはアオバハゴロモ

とのこと。
その方からは
「サルが食べている昆虫の味が知りたくて生で食べていたらアレなことになった」
という話も聞いています。

再度お知らせです
昆虫はヒトに影響をあたえる共通感染症や寄生虫症について十分に調べられていないので
くれぐれも加熱して食べるようにしましょう。

さて、味見

美味い。とても美味しい。身が詰まっており外皮の歯ごたえもよく、しっとり系スナック菓子の食感。味は穏やかな枝豆「さやえんどう」に似ている。半翅目では一番美味しいかもしれない。

サルも納得の美味しいお味。虫っぽくない名前も優雅でいいですね。
小さめの半翅目は美味しいものが多そうです。



以前にジグモのメスとその卵鞘を味見しましたが、

美味しかったので久々に捕獲してみました。
今回は産卵前のメスとオスがいましたので
食べ比べてみましょう。



向って左がオス、右がメスのジグモ Atypus karschi

形は小ぶりですが、カンボジアで食用にされているタランチュラとよく似た体型。
攻撃性は高いですが 味がよく、
土中に巣を作ってけっこう高密度で生息しているので、
日本で養殖するにはこっちのほうがいいかもしれません。
と思ったら
性成熟まで3〜4年とのこと。ちょっと長いですね。。。。

味見

ジグモはやはりメスが美味しい。旨味の強いシーチキンのようなタンパクの美味しさとプチッとした噛みごたえ、適度な重量感が茹でた時にプリッとして大変おすすめ。オスは外皮の噛みごたえがあるものの肉質は少なく、体液の甘みがある程度。少し口に残った外皮がジャリッとする。やはり産卵期のメスがおすすめ。

今年の6月初旬
シロヒトリ Chionarctia nivea
の幼虫がワシワシ歩いているのを見かけ、捕獲しました。


ヒトリガと並んで「クマケムシ」と呼ばれる定番のケムシ。
大変食べにくそうなのですが、これを前蛹まで置いておけば
美味しく食べられるのではないか、と期待しました。
桜の葉をせっせと与え、何も食べなくなってからフタ付きのケースにティッシュと一緒に入れました。

しばらくもぞもぞしていたのですが、
彼はケース内に自らの毛を使って繭状の構造を作り、寝床にしていきます。

以下閲覧注意


Mushi_Kurotowa
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[01/19 スーパーコピー ブルガリ ピアス 中古]
[01/19 カルティエ時計 男性]
[01/19 Miltonexire]
[01/19 正規品と同等品質のコピー品]
[01/19 ヴィトン スニーカー スーパーコピー 2ちゃんねる]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net

2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
バーコード
P R
カウンター
コガネモチ
忍者ブログ [PR]

material by: