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マメハンミョウを見た時の感想tweet。
「ゼッタイに食べてはいけない」マメハンミョウ。猛毒カンタリジンを含むので黄色い体液がついた場合もよく洗いましょう。赤いマスクと白いラインの入った黒いボディは悪役レスラーのよう。幼虫はバッタの卵。成虫はマメ科の葉をたべる不思議な虫。 pic.twitter.com/nY2pRyVrzN
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) August 27, 2013
ここから「昆虫の魅力を別の言葉で表現する」
以前ご紹介した
トレーニングをやってみましょう。
検索サイト google先生に教わります。
マメハンミョウの印象を端的に表す言葉を検索窓に入れれば、
マメハンミョウそっくりな画像が出てくるはずです。
いまひとつモヤっとした言葉を入れると、
検索結果もモヤッとします。
やってみましょう。
検索ワード
覆面レスラー 赤 黒スーツ
http://goo.gl/eqm3BN
グレート・サスケのような感じですね。
サンダーライガーやゼットマンもみられます。
「スーツ」が背広やタイトスーツなど、複数のものを示す語を入れると
絞込ができません。
このあたりから英語を混ぜてきます
masked wrestler suit
http://goo.gl/myxy8N
青覆面のストライプスーツの近い感じの方がでてきましたが惜しい。
もうちょっとタイトでスッキリしたイメージが欲しいですね。二輪車のライダーみたいな。
red masked rider suit 「仮面ライダー」がやはり昆虫の印象と相関があるようです。
http://goo.gl/7HCi3z
行き詰まったので
一旦離れて、「女性らしさ」から攻めましょう。
「赤毛の短髪と黒スーツ」
red short hair black suits
http://goo.gl/u1kpNT
「赤」と「黒」の組み合わせをすべて拾ってしまうので、いまひとつしっくりきません。
ちょっと「悪役」感が減ってしまいましたね。
あと、顔の肌の色が一致しにくくなってしまいました。
女性らしさはマメハンミョウのイメージにいい感じに寄ってきたので、
次はfemaleと明記します。
red face female
http://goo.gl/SMbSuo
近づいてきました。
そのなかでスクロールすると
「赤と黒のツートンカラー」を示す端的な言葉が。
「sith」スターウォーズの悪役、シスですね。
ここまでくると後は簡単です。
sith female
http://goo.gl/o4FDvP
ダースベイダーの女性コスプレに混じって
見つけました。映画には登場しないサブキャラ、Darth Maladiさん。
Darth Maladi
http://goo.gl/MsRULZ
最後に名前で検索して、一番印象の近いものを探します。
隣り合うよう調節し、色彩を整えてフィニッシュ。
実は7月中旬に既に味見していました。
味見:見た目はカミキリムシらしくなく、硬そうだが小さいので結構食える。香ばしさは少なめで甘みが強く、香りも良い。茹でただけで炒った穀物のような風味もある。同じぐらいの体型のクワガタよりだいぶ柔らかい。
ところがこの時、アクシデントが。
【悲報】クロカミキリを写真撮影する前に味見してしまったようだ。
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ) (@Mushi_Kurotowa) July 14, 2013
そうなんです。
昆虫の味見の最大の欠点は「侵襲性が高いこと」
標本であれば同定後、再度同じ個体を見ることが出来るのですが
味見してしまうとその個体には二度と出会えません。
なので写真を撮ることが必須なのですが、
この時は忘れてしまったのです。
ということで、当ブログに載っているほとんどの写真は
その昆虫の在りし日の姿。つまり「遺影」といえるでしょう。
せめて上手に撮影してあげたいものです。
コンデジとはいえ、慣れてくると過去の写真のヒドさに嫌気が差してきます。
撮り直して差し替えたいとも思うのですが
食べた個体の最後の姿を消すのは忍びないので 悩ましいところです。
さっさと写真うまくなれ、ということなんですが。
採れ過ぎたものは一旦冷凍して保存しておきたいものです。
大抵のものは一年以上保存できるのですが
「冷凍セミ」はいまひとつ味が悪いことが経験的に知られていました。
写真はクマゼミCryptotympana facialis
今回は数人でセミを食べる機会があり、
今年の一ヶ月以内のセミと、去年のセミを
アブラゼミ幼虫・クマゼミ成虫で揚げて食べ比べました。
アブラゼミ幼虫・一年前
酸味が強くなり、酢酸系の不快なにおいと腹部から胸部まで広がった明確な苦味。
おいしくない。スが入ったように食感も悪く、挙げてもふわふわしない。
アブラゼミ幼虫・今年
香ばしく、苦味もなく、木の香りがよくフワ/サクっとした食感。とてもおいしい。
クマゼミ成虫・一年前
二度揚げしてもからっとせず、ジトッとした感じ。
腹部に強い苦味があり、舌に残ってしまう。
クマゼミ成虫・今年
二度揚げによって軽く・ザクザクと食べやすい食感に。香ばしさ軽い食感が
とても好ましい。苦味は全くなく、一気に食べられる。
今回は性別を統一して食べ比べなかったので
断定はできませんが、セミの冷凍劣化はかなり速く進むようです。
ファーブルのように「セミは不味かった」と断定する前に
調理・保存は大丈夫だったか、採集するステージは大丈夫か、
注意してみましょう。
「今年のセミは今年のうちに!」
http://www.youtube.com/watch?v=cyLogCll828
在庫整理をしておきます。
ボクトウガ Cossus jezoensis
クヌギの木に食入り、樹液を噴出させ、
その樹液を飲むのではなく、樹液に来た昆虫を捕食する奇妙な蛾の幼虫。
蛾の幼虫なのに頭部と胸部第一節、第二節ががクチクラで補強されていて
ゴミムシダマシの幼虫にも似ています。
1919年の三宅の調査では、日本でも食べられている地域がありました
これの近縁種でもっと大きいオオボクトウガは、Witchetty grubと言われて
アボリジニの食べる有名な昆虫の一つです。
オーストラリアにはしばらく行けないので、日本の近縁種を食べて
思いを馳せましょう。
実績、大きさ、色もよく
茹でると赤みがましておいしそう。期待が高まります。
味見
縦方向の木の香りがする筋肉質が味わえる一方で、脂肪体に独特な匂いがあった。
リコリスやフェンネルに似た、ゴムっぽいケミカルな匂い。
茹でると匂いが強かったので、次回揚げるともっとバランスが良くなるかと。
前評判は良かったのですが、期待し過ぎて独特の匂いに好き嫌いが別れる
結果となってしまいました。
肉食の鱗翅目はあまりいないですが、日本のおもしろい種として覚えておきたいです。
今年もマメハンミョウの季節がやってまいりました。
猛毒カンタリジンを体液に含み、幼虫はバッタの卵、成虫はマメ科の葉っぱをたべる変な虫です。
体色も独特でストライプのスーツを着た覆面レスラーのよう。
昆虫食を始めるにあたって
「美味しい昆虫」よりも重要かもしれません
「食べたらいけない昆虫」
多く質問されることなので、ココにまとめておきましょう。
カテゴリA 体液に強い毒をもつ昆虫
ツチハンミョウ
マメハンミョウ
アオカミキリモドキ
アオバアリガタハネカクシ
これらは強力な炎症性の毒をもつので、
食べるのは諦めたほうが良さそうです。
カテゴリB 強い毒をもつ植物を食べている昆虫
アサギマダラ
オオゴマダラ
カバマダラ
キョウチクトウスズメ
エリサン(キャッサバ飼育)
上記四種は食草の毒成分を成虫まで持ち越すことが知られています。
エリサンは毒草キャッサバで育てた後、消化管内容物がなくなる前蛹や蛹なら
食べられるそうです。これについても引き続き調査中です。
カテゴリC 捕獲時の危険度が高い昆虫
オオスズメバチ
イラガ
チャドクガ
セアカゴケグモ
外来種セアカゴケグモは咬むことで神経毒を注入します。
イラガやチャドクガは強い毒刺毛を持つことで知られています
オオスズメバチも攻撃性が高く、毒も強力です。
スズメバチ類は駆除業者や専門家にお願いするとよいでしょう。
イラガは冬の越冬蛹だけ無毒なので、
繭ごと炒ってピスタチオのように食べられます。
カテゴリD 消化管に感染性細菌が多く含まれる昆虫
イエバエ
ゴキブリ類
オサムシ類
シデムシ類
ゴミムシ類
感染性の細菌は生きたまま体内に入ると食中毒を起こすだけでなく、
加熱前に繁殖した時に生成された毒素だけでも中毒を起こす危険があるので
腐肉食性の昆虫には気をつけたいものです。内臓を取り除くなどの
下処理が必要になるかもしれません
実はオサムシ科の中には
穀物食や、肉食のつよいものがあるそうなので、
きちんと同定すれば食べられるものもあると思います。
オサムシ科であるハンミョウは(マズいですが)一応食えましたし。
なので「未開拓」としておきます
カテゴリE 味の悪い昆虫
苦味=弱い毒であることもあります。
慎重に味見をして、無理な場合は諦めましょう。
テントウムシ
カブトムシ
ツマグロヒョウモン
ブドウスカシクロバ
セスジスズメ
ベニスズメ
ハンミョウ
ヨコヅナサシガメ
カテゴリF 長期間単一のものを食べることで初めて毒性を発揮する昆虫
アナフェ (食用昆虫科学研究会のHP)
アフリカのギョウレツケムシ科のガ「アナフェ」
がチアミン(ビタミンB1)欠乏症を引き起こす
耐熱性チアミナーゼを含むことが2000年、
日本の研究チームによって明らかにされました。
昆虫食がキケン、というよりは
単一食の危険は昆虫食にもある、といえるでしょう。
昆虫を単一で大量に食べる文化はまだ少ないですが、
養殖昆虫食が始まると同様の事象が起こる可能性があります
昆虫の家畜化については、既存の食品安全基準を元に慎重に進めたいものですね。
参考文献
Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎
皮膚に炎症が起こる、ということは食べた時、粘膜にも炎症が起こる可能性が高くあります。
更に、代謝されることで初めて毒性を発揮するものもあり、
皮膚炎を起こさないからといって毒性がないともかぎりません。
参考文献として使用させていただきました。ありがとうございます。
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このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net
2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加