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前の記事で、昆虫発酵調味料、イナゴソースについてご紹介しましたが

それにあわせて、
どうしても食べてみたい、みなさんに食べて欲しい昆虫がありました。

「フェモラータオオモモブトハムシ」

噛んでしまいそうな名前です。フェモハムシ、とか略称がほしいですね。

原産は東南アジアの熱帯に生息する普通種だそうですが
生きた植物を食べるため、植物防疫法により輸入はできません。

ところが、
なぜか三重県松阪市の河川敷に広がってしまったのです。
理由ははっきりしていませんが、美しくて大きいことから
昆虫愛好家がこっそり飼っていて逃がしてしまったのではないか、との憶測もあるようです。

日本の冬もどうにか越しているとのことで、昆虫のポテンシャルの高さを
見せつけられます。

ちょっと遠いのですが、
そしてお伊勢参りのシーズンですがお伊勢も赤福にも目もくれず。

多く取れたら来年の発酵調味料の原料に使えるかもしれない、と考え

イナゴソースのいなか伝承社と関西虫フェスの主催者である「昆虫エネルギー研究所」にも
声をお掛けし、偶然忘年会に松阪市にお勤めの、大学の兄弟子にあたる方に
お会いできたことから、実施にこぎつけました。

フェモラータオオモモブトハムシを採る会。

採るのに夢中であまり写真がありませんが、ご了承ください。

彼らの幼虫は河川敷に繁茂しているクズに侵入します。
成虫はクズの葉を食べているそうなので、クズさえあれば生活史が回ります。
けっこう大きい昆虫なので、そのままクズの細いつるではスペースが確保できません。
なので、
虫こぶ(ゴール)を形成して、木質で覆われた強固な「シェルター」を作るのです。



このぐらいの太さが越冬にちょうど良いようです。
完全に枯れている虫こぶには住んでおらず、少し生きた木質が残っていて
湿度が供給されているものがよいようです。


より太くて立派な虫こぶもあるのですが、今の時期は脱出後でした。

大抵の虫こぶは手でもばらせるのですが、固いものは剪定バサミや
これが活躍しました。


いなか伝承社さんには申し訳なかったのですが
醤油の原料に使うにはちょっと少なく
捕獲数は135g、およそ200頭でした。




今回のキモは
「将来特定外来種になりそうな拡大中の昆虫を正しく扱うこと」です。


持ち帰って飼いたい衝動にもかられたのですが、外来種のコントロールに
昆虫食を役立てたい、と言っておきながら、
外来種の拡散に手を貸したのでは
本末転倒です。夏の成虫はまた再訪して、捕獲しようと思います。

今回は全ての虫を現地でゆでて、持ち帰ることにしました。


このコンロが活躍しました。夜の河川敷でもしっかり茹でてくれました。



やっぱ野外の虫捕りは興奮しますね。狩猟本能が帰ってくる気がします。

とても気分が良いです。




気になる味ですが、
抜群に美味しいです。カミキリムシに匹敵します。
ほのかに豆の香ばしさ、外皮もさくさくと食べやすく、中からは
上質なクリームが卵黄のような強いコクとともに広がります。


時期も繭を作った前蛹の状態で止まっており、若齢幼虫はみつかりませんでした。
おそらく休眠状態にある気がします。

(なぜ熱帯産の本種が冬眠できるのか、よくわからないので原産地での生態をご存知のかた、教えてください。)




さて、見ていると
マカロニに見えてきますね。





ここで、昆虫料理の新たなアプローチが見えてきましたので、実践しました。

キーワードは

「高度に発達した料理は昆虫と区別がつかない」

Any sufficiently advanced gastronomy is indistinguishable from insects.


次の記事に続きます


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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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