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ちょっと大事な論文を読み込んでいるので

先にオオシロアリ Hodotermopsis sjostedtiの味見レビューを。

今年の1月、
アフリカ産のシロアリを頂き、レビューした際
「屋久島のオオシロアリが食べたい」と
新年の抱負を述べていました。

本州にいる
小ぶりなヤマトシロアリは食べてみたことがあるのですが、

いかんせん小さく、
カーストによる味の違いが分からず、
おおぶりのものを手に入れたかったのです。

そんな中、今年の研究所の一般公開にて


お隣になったシロアリ研究者から、
なんと展示に使ったオオシロアリ(屋久島産)をいただけたのです。

新年度早々に
こんな幸運に恵まれるとは、嬉しい限り。

兵アリと、幼虫を頂きます。

こちらは幼虫。シロアリは不完全変態なので、幼虫からシロアリ型です。

兵アリとの比較。大型の兵アリは巣を守る存在。数はあまりいません。
頭部が柿の種のように光り輝いており、美味しそうですね。

指に乗せるとこのくらい。非常に大きく感じます。

仲はとてもよいです。殖やしたいなぁ。


味見

幼虫 
ヤマトシロアリより大型で味がある。ほんのりあまく、木の香りがしてすっとケミカルなニオイもかすかに。食感は外皮がはじけたあとくにゅっとしたしたざわり。ちょうどクワガタとカミキリムシの中間。近縁のゴキブリのような集合フェロモンの臭さはなく、可能性を感じる味。


兵アリ
頭部のプチッと感が素晴らしい。大きいぶんやや味が濃い。クワガタ幼虫のような菌系のやな香りはなく、木材のさわやかな香り。割合が少ないので、レア。大事に食べたい。


シロアリは多くの熱帯国で食べられている昆虫で、
養殖化には成功しておらず、また
飼料効率も悪いのであまり注目されていませんが

木材をおいしいバイオマスに転換する系として、
「非木材林産産物」の一つ
として今後注目されていくと考えられます。


非木材林産産物を説明しますと
(勉強したてですみませんが)

かつての熱帯の森林は、木材の供給源としてしか評価されず、
材木を取り尽くすと、開墾して畑とし、
次第に単一作物のみを生産する、
巨大なプランテーションと化していました。

プランテーションにはサトウキビやキャッサバなど、
「効率のよい」作物を植えることで
森林だった時よりも効率的な農業だ、と期待されました。

ところが、大きなデメリットがあったのです。

それは「国際価格の急落」

プランテーション地帯では、もちろん産物は単一ですので
自給しようにも、当然食べきれず、売って
他の食品を買わなければなりません。
近くには同様のプランテーションばかりですので、売り先は海外、特に先進国になります。

ところが、そこで
国際価格が急落すると、特に賃金のやすい発展途上国は大打撃をうけ
「農地で農家が飢える」というトンデモナイ状況に陥ったのです。

また、
食物の国際価格は投機マネーが価格決定に関わっており、
一度落ち始めると、急落する(逆に急騰する)特徴もあり、
例え加工原料として使う先進国がちょっと痛いぐらいの変動でも
賃金の低い輸出国にとっては致命的なダメージになります。

その反省をもとに、
森林を開墾せず、「持続的に得られるものを最大限に活用する」
ために注目されたのが、木材以外の森林資源
「非木材林産産物 Non Wood Forest Products」
なのです。

ここでいう産物とは、具体的な物質だけにとどまらず
生活に欠かせない「生きがいとしての仕事」も含まれます。
そこで、手作業での自給的食物であった昆虫や山野草においても
効率を高め、

「現金収入につながる仕事=フォーマルな仕事」
へと転換することで、「伐採・開墾による収入の誘惑」に
対抗して経済力をつける道が模索されているのです。

ここでも
やはり注目すべきは「社会性昆虫」でしょう。

人件費は
どうしても裕福になればなるほど高くなることから
ある手仕事で貧困を脱出すると
その手仕事では生計が成り立たなくなる、
というトレードオフになってしまいます。

特に
開墾しない森林は多様性が高いため、
目標とする一種類の資源へのアクセスが悪く、
手間がかかります。

日本では大型哺乳類や、一部の高価な山野草しか
狩猟採集に寄る収入は得られていません。

森林に住む昆虫はたくさんいますが、
美味しい昆虫由来バイオマスを大量に手に入れる手段として

「社会性昆虫の使役技術」
が今後重要になると考えられます。

世界中で使役されている社会性昆虫として「ミツバチ」が有名ですが

森林に散在する新鮮なタンパク質を
効率的に収集する手段としてのスズメバチ、アリであったり

分解が困難な植物バイオマスを微生物の力を使って
組織的に食糧へと変える ハキリアリやシロアリなど

更に利用価値は高まるでしょう。

そこで開発すべき技術は…
これまた次回に。今読んでいる論文がキーとなるはずです。



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これは・・・
可能性を感じるぅ~!(握りこぶし)

ちなみに生食したんでしょうか?
調理法にも可能性がぁ~(握りこぶし)
箱ミネコ URL 2014/04/22(Tue)22:10:05 編集
Re:これは・・・
「生食」は、他の生物も同じなのですが
リスクが高すぎますね。個人でこっそりやりましょう。
何かあったら貴重な症例なので教えてください!

一番こわいのが
「昆虫食哺乳類向けの寄生虫」と
「サルモネラ菌」ですね。
前者はヒトに間違って入ると、きちんと消化管に寄生せずに
体内をランダムに動きまわる「迷虫」という状態になることがあり、
臓器をやられと大変です。

サルモネラ菌は爬虫類、両生類に特に保菌されているもので
爬虫類向けの生き餌として売られている昆虫にはかなりの確率で付着していると思われます。いずれにしても生食はオススメできないです。
【2014/04/28 18:28】
Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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