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今回は前編(2008~2011)を受けての後編です。
2012年から、私はトノサマバッタの研究に入り、
彼らはただ飼育しているだけになっていました。
研究室での滞在時間も長くなり
彼らに果物の皮や野菜くずをやっているうちに
「そうだ。データをとってみよう」
と思いました。
何事も机上の空論ではなく、
かならずデータを取ってみることが重要です。
わりとバッタの飼育に時間が取られるため、
複雑で手間のかかかる実験はできませんが、
与えるエサをそのまま品名・重量を記録し
その収支を測定できれば、と思いました。
その前に、飼育装置の改良が必要です。
1,食べられる床材を使わない
今までは紙製の卵パックを使っていたのですが
おなかがすくとすぐに齧ってしまうので、プラダン、と呼ばれる
プラスチック製のダンボールを使いました。
これは1畳で数百円の安さのため、荷物搬入時の養生(傷つきを防ぐプロテクター)
によく使われています。
ホームセンターに売っている好きな素材の一つです。
2,湿度対策
湿度が上がり過ぎないよう、
水はタッパに入れ、フタに切れ込みを入れ
そこにロープを垂らしてロープを常に湿らせることでムダな蒸発を防ぎました
そして乾燥しすぎる原因となったUSBファンは
ケージ自体を大きくすることでその影響を局所的にし
彼らの移動を基本的に自由にし、階層構造は廃止しました。
3,フンの分別収集
フンの収集は今までどおり、子供が通れず、大人のフンが通れる大きさの穴を開け
下にトレイを敷くことで
乾燥したフンが続々と貯まる構造になり、フンの測定も容易になりました。
4,スダレ
状態が悪くなったり、しばらく生ごみがでないと
空腹になった成虫が幼虫を食べてしまうことがあります。
そこでスダレを丸めて設置することで、
幼虫だけがそのスキマを自由に出入りできるようにし、空腹時の共食いを防ぎました。
これがその
「G.pマッシーン三号」です。
今回は虫フェスということで、
題名を考えました。
私が
そろそろアラサーであること、
そして部屋に置くべき昆虫は何か、考えた結果
お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが
これは今年ネットを賑わせたpanasonicのダサい広告
「アラサーエアコン」をパロディにしたものです。
それでは
このアラサー部屋昆の実力をお目にかけましょう
1,二週間おまかせ!
彼らは二週間ぐらい放置していても余裕で生き延びます。
忙しく、出張も多いアラサー世代に最適な昆虫ですね。
2,生ごみを分解消臭!
50gの柿の皮をおよそ一時間で完全に分解消臭します。
美味しそうに食べてくれますね
3,おいしい!
彼らの獣系のムレ臭には、母方故郷、飛騨高山の伝統料理、
「朴葉味噌」が合うと思い、物産展で買ってきました。
彼らを横開きにし、胸側の肉をこそげ落として背側の肉と合わせ、
マーガリンとチーズをトッピングしてから
250℃オーブンで軽く焼いた後、朴葉味噌とその他の野菜と一緒にホイル焼きにしました。
想像通り、朴葉の香りと相まって、とても肉っぽい香りが食欲をそそる
美味しい料理に仕上がりました。
4,スマホ連携
アラサーエアコンでは、取ってつけたようなスマホ連携がその魅力の一つでした。
なので、この装置にもスマホを連携させてみましょうか。
Gの一種ということで、
彼らを見ると恐怖を覚え、「殺したい 殺さなければならない」
という強迫観念にさいなまれる方もいるかと思います。
そんな方の恐怖を和らげるアプリがあるのです。
アンドロイドでは
「Roach killer」
iOSでは
「iRoach」等のG駆除ゲームです。
大抵日本のGよりもG.pの方が高得点に設定されています。
普通は二度タップすることで退治できるとのことです。
やってみましょう。
余談ですが、アプリを調べているうちに、こんなものを見つけました。
「Yummy Bugs」とは「うめえ虫!」ということです。
ゲテモノ系ゲームとはいえ、我々より先にアプリにされたのは
くやしいですね。ほんとうに美味しい昆虫を、安全で美味しく食べる方法を
ポケモンずかんのように教えてくれるアプリを作ってみたいものです。
それでは、この「マッシーン3号」の性能を
実測していきましょう。
開始時点で500gありました。
こんなかんじで与えていきます。
6月4日バナナ皮60
6月5日ナス70
6月5日キウイ10
6月6日フスマ50
6月6日バナナ34
6月6日ごはん38
6月6日ネギ22
6月6日きゅうり42
6月6日手羽元38
6月8日キウイ19
6月8日手羽元14
6月12日キウイ19
6月13日ナス112
6月15日ホットケーキ19
6月15日チンゲンサイ64
6月16日スイカ85
このような感じで 4ヶ月間、測定しました。
その結果がこちら。
4kgの生ごみを食べた500gのG.pは、840gになり、306gのフンと242gの食べ残しを排出しました。
この一点しか取っていないのですが
データを取ることで見えてくるものがありました。
他の生ごみ処理機にはない特徴 それは
「増える」ことです
4ヶ月で840g、1.6倍に増えたのです。
ここで調理をぐっと我慢すると、
自然と処理能力がアップさせることができます。
データを取るということは、
未来を類推する、ということです。
この先どうなるか、やってみましょう。
それでは、
アラフォー家昆
平均的な一世帯あたりの生ごみを
処理できるだけの数を考えてみましょう
このままの増加速度だと、あと28ヶ月我慢すると、彼らの処理能力は
平均的な一世帯あたりの生ごみ排出量に達します。
ちょっと多い感じですかね。
しかし
下水道が無い地域の合同浄化槽の大きさ考えると
無理ではない規模であることが分かるかと思います。
さて、
指数関数的に増えることを考えると
地球規模ではどうなるか、気になるところです。
「アラ2030 テラ昆!」
つまり、
世界の人々が
鶏卵をG.p代替するだけで、生ごみの出ない世の中になる、
かもしれないのです。
わりとイケると思っているのは私だけでしょうか。
どうでしょうか。
そんなことを
発表するために
今回はクロトワの正装で行いました。
ゲストの岡本リサさんは
デコゴキアーティストとして
「Gが嫌いなところが好き」という
不条理系アートを攻めている方。
「虫好きの女性」というだけでも大変なのに
そこから更に攻めています。
そして
虫ドルのカブトムシゆかりさん
カブトムシを一時300頭飼育していたという強者で
「大人のお友達のための虫のお姉さん」実演などもしてくれて
私のあこがれ(食欲的な意味で)であるヨロイモグラゴキブリを
飼育しているとのことで、愛で方から飼い方、種類など
まさに
Gトークで盛り上がりました。
場所も
Gが大量に生息していると思われる
新宿歌舞伎町のロフトプラスワン。
日本の真ん中でGへの愛を叫ぶ
ステキな会となりました。
虫食い仲間
ムシモアゼルギリコさんが書いた
女子向けにも嬉しいポップな書籍
「むしくいノート」
私も協力しています。
一個500円ですが、日本人(二人が三日間徹夜)が手作業で複製し、
彩色しこれらの制作を行ったことを考えると
尋常でない安さであることが分かるかと思います。
今回、私は
「学術的(標本数とか有意差検定をしていないので学術未満ですが)」
に彼らの魅力を表現しましたが、
飼う、デコる、食べる、殖やす、絵を描く、フィギュアを作る
などなど、
愛で方、そしてその表現方法は多様だ、
ということが今回再認識されました。
知名度No.1のG達を含めた
昆虫の面白さが日本を、世界を席巻するような
最新カルチャーを発信していきたいと思います。
ご参加頂いた皆様 ご来場ありがとうございました!
そして関係者の皆様。お疲れ様でした。
人間の食用だけだはなく、いろんな家畜のエサとして昆虫が現在のどのように使われているのかもも知りたいです。
なかなか難しいですね。
昆虫の飼料利用についてはfao報告書にもあるのでそのうちまとめます!
ありがとうございます
多くのエネルギーを必要としますので、これからもっと価格が上がると思います。
また、自治体では「家庭用生ごみ処理機」の導入に助成をしているところもあるので、
もしこれもコンポストとして認可されれば…普及するかもしれません
ちなみに自分は虫がとってもとっても苦手なので、半分涙目になっていますが、虫喰ロトワ様の文章力でぐいぐいとここまで読み進めてしまいました。
このブログは虫嫌いの方への配慮が一切ありませんので
読み進めるのにたいへんご苦労されたかと思います。
今は大学院生という立場を利用して、研究室の隅っこで
たいていの昆虫を飼っています。(以前は一人暮らしの家で飼っていました。)
研究室のボスが寛容にかまえていてくださるので大変貴重な環境です。
幸い独身ですので、気兼ねなく飼えています。
「虫食い仲間」の間でも、配偶者の許可を得て飼育しているご家庭は二組しか
知りませんので、なかなか一般には理解されにくい趣味だと思います。
やはりビジュアルのインパクトが強いので、
文章で伝える力を養う必要が有ると思い、ブログにすることにしました。
これからもよろしくお願い致します。
ちなみに、どの写真が最も強烈だと感じましたか? お聞きしたいです。
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このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net
2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加