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「ヒトが何を食べるべきか」
これは人類にとって大きな問題ですし、
昆虫食を行うにあたって私も常々考えている課題です。
狩猟採集から栽培養殖まで、様々な形態の食があり、
そのモノサシは様々です。
自然科学的な視点では
1栄養学的な視点
「食べると寿命を伸ばす食品」(栄養や必須微量元素を含む生物)
「食べないことで寿命を伸ばす食品」(水銀やヒ素、毒を含む生物)
2生態学的な視点
「食べることで生態系を保全する食品」(害虫・害獣化した生物)
「食べないことで生態系を保全する食品」(生態系において重要で回復しにくい生物)
人文科学的な視点では
3文化的な視点
「食べることで集団の維持に役に立つ食品」(儀礼に用いる食品)
「食べないことで集団の維持に役に立つ食品」(宗教的タブーな食品)
4心理的な視点
「食べることで心理的に安定する食品」(食べ慣れた食品)
「食べないことで心理的に安定する食品」(嫌悪・不衛生と感じる食品)
5経済的な視点
「食べることで経済状態を向上させる食品」(多くの農作物)
「食べないことで経済状態を向上させる食品」(観光資源・ザトウクジラ)
これらのパラメータを比較し、
自身の状態を踏まえ
取捨選択することで、健康で長生きし、楽しく文化的に豊かな人生を
目指すことが、好ましい食選択といえるでしょう。
ある視点からの食選択には
別視点から見てもリーズナブルである場合も多々ありますし
(豚は寄生虫が多いのでイスラム圏では禁止)
トレードオフ(あっちをたてればこっちがたたず。)の
状態になることもあります。
例えば
栄養学的な食選択を推進した結果、日本は食の欧米化がおこり、食事から塩分が減少し、
高血圧や血管疾患が減少しました。同時に、脂肪の摂取が増え、生活習慣病が増加しました。
経済的な食選択の結果、アメリカの貧困層に安く十分な食料が届くようになりましたが
炭水化物と脂肪が多く、肥満人口が増えました。
といったように、
完璧な食選択、というのも無く
時と場合に応じてバランスをとることが大事です。
そして
選択できる自由こそが、
すべての食選択の前提として守られるべきものです。
つまり、
残念ながらこれらの食選択には上下の関係があるのです。
私達が食べる食品は生物由来のものが不可欠ですので
食選択の自由度、すなわち生物の多様性を失うわけにはいきません。
つまり
2生態学的な視点
これだけは他の視点よりも優先するしかありません。
他の視点を優先させることで、生態系がバランスを崩し、
その食品が得られなくなっては本末転倒です。
このことから、
様々な視点を持つヒトが食選択について「べき論」を戦わせるとき、
生態学的な視点をもって他人の食選択の欠点を指摘する方法が有効です。
例:ウシは食用にもなる飼料を食べ、
低効率な食肉生産をしているので肉食をやめ菜食主義になるべき
よく聞かれる話です。確かに現在の大規模牛肉生産は環境負荷が大きく、問題になっています。
ところが、これには論理の飛躍があります。
低効率な牛肉生産は止めるべき
であって
牛肉食を禁止すべき、とは言えないのです。
例えば
アルプスの少女ハイジの風景を思い浮かべてみましょう。
山間部の短い日照と低温により植物は牧草ぐらいしか育たず
傾斜地なので機械耕作も危険です。
ジャガイモや寒さに強い麦をわずかな平地に植え、
傾斜地に自生する植物をウシに食べさせ乳製品や皮革に。
羊に食べさせ衣料に。
牧草が不足する季節には当然食肉にも利用すべきでしょう。
ウシは「反芻」という強力な消化システムを持ち、
恒温動物という特徴をもつので
冷涼で貧相な牧草地帯でのタンパク質生産を可能なのです。
ここのような地域での菜食主義の徹底は
ウシを腐らせるだけ、その地域で生活できる人数を減らすだけで
生態系にとってはマイナスです。
なので、菜食主義が徹底できるのは平地と温度に恵まれた
一部の地域だけ、といえるのです。
このように、生態学的に考えると
地球上の様々な環境・地域において最適な食料調達方法は異なると
いえるでしょう。気候区分、更に文化によって
パッチ状に様々な効率的な農業畜産が行われる、という未来が
持続可能な食料生産の形ではないかと考えています。
そこに昆虫も参加させたいですね。
そんなことを考えさせてくれた名著
生態学から「人類のあり方」を考える
「生体適応科学」
私の同級生も(おそらく)参加した
いい本が
東北大学GCOEの太っ腹会計のおかげで
電子書籍版無料!
内容は大学生向けですが、なにしろ無料なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
私達が「持続可能な食料生産」を達成するためには
多様な生物を利用する必要があります。
害虫や害獣をただ殺すのではなく利用し
栽培や養殖といった効率を上げる方法を採用し
「考えうる最高の持続可能な食料生産」
を達成した時、
理性的な、世界的な人口抑制政策が
取られると思います。
それまで、
私は学術的な調査研究を通じて
すべての生物を平等に扱い、
人類の共通知識を蓄積し、
最大限に利用する
「雑食主義」
をここに宣言します。
そして
「非昆虫食主義」という残念な偏見を打ち砕き
豊かな雑食文化を気づいていこうと思います。
賛同していただける方、一緒に考えませんか?
これは人類にとって大きな問題ですし、
昆虫食を行うにあたって私も常々考えている課題です。
狩猟採集から栽培養殖まで、様々な形態の食があり、
そのモノサシは様々です。
自然科学的な視点では
1栄養学的な視点
「食べると寿命を伸ばす食品」(栄養や必須微量元素を含む生物)
「食べないことで寿命を伸ばす食品」(水銀やヒ素、毒を含む生物)
2生態学的な視点
「食べることで生態系を保全する食品」(害虫・害獣化した生物)
「食べないことで生態系を保全する食品」(生態系において重要で回復しにくい生物)
人文科学的な視点では
3文化的な視点
「食べることで集団の維持に役に立つ食品」(儀礼に用いる食品)
「食べないことで集団の維持に役に立つ食品」(宗教的タブーな食品)
4心理的な視点
「食べることで心理的に安定する食品」(食べ慣れた食品)
「食べないことで心理的に安定する食品」(嫌悪・不衛生と感じる食品)
5経済的な視点
「食べることで経済状態を向上させる食品」(多くの農作物)
「食べないことで経済状態を向上させる食品」(観光資源・ザトウクジラ)
これらのパラメータを比較し、
自身の状態を踏まえ
取捨選択することで、健康で長生きし、楽しく文化的に豊かな人生を
目指すことが、好ましい食選択といえるでしょう。
ある視点からの食選択には
別視点から見てもリーズナブルである場合も多々ありますし
(豚は寄生虫が多いのでイスラム圏では禁止)
トレードオフ(あっちをたてればこっちがたたず。)の
状態になることもあります。
例えば
栄養学的な食選択を推進した結果、日本は食の欧米化がおこり、食事から塩分が減少し、
高血圧や血管疾患が減少しました。同時に、脂肪の摂取が増え、生活習慣病が増加しました。
経済的な食選択の結果、アメリカの貧困層に安く十分な食料が届くようになりましたが
炭水化物と脂肪が多く、肥満人口が増えました。
といったように、
完璧な食選択、というのも無く
時と場合に応じてバランスをとることが大事です。
そして
選択できる自由こそが、
すべての食選択の前提として守られるべきものです。
つまり、
残念ながらこれらの食選択には上下の関係があるのです。
私達が食べる食品は生物由来のものが不可欠ですので
食選択の自由度、すなわち生物の多様性を失うわけにはいきません。
つまり
2生態学的な視点
これだけは他の視点よりも優先するしかありません。
他の視点を優先させることで、生態系がバランスを崩し、
その食品が得られなくなっては本末転倒です。
このことから、
様々な視点を持つヒトが食選択について「べき論」を戦わせるとき、
生態学的な視点をもって他人の食選択の欠点を指摘する方法が有効です。
例:ウシは食用にもなる飼料を食べ、
低効率な食肉生産をしているので肉食をやめ菜食主義になるべき
よく聞かれる話です。確かに現在の大規模牛肉生産は環境負荷が大きく、問題になっています。
ところが、これには論理の飛躍があります。
低効率な牛肉生産は止めるべき
であって
牛肉食を禁止すべき、とは言えないのです。
例えば
アルプスの少女ハイジの風景を思い浮かべてみましょう。
山間部の短い日照と低温により植物は牧草ぐらいしか育たず
傾斜地なので機械耕作も危険です。
ジャガイモや寒さに強い麦をわずかな平地に植え、
傾斜地に自生する植物をウシに食べさせ乳製品や皮革に。
羊に食べさせ衣料に。
牧草が不足する季節には当然食肉にも利用すべきでしょう。
ウシは「反芻」という強力な消化システムを持ち、
恒温動物という特徴をもつので
冷涼で貧相な牧草地帯でのタンパク質生産を可能なのです。
ここのような地域での菜食主義の徹底は
ウシを腐らせるだけ、その地域で生活できる人数を減らすだけで
生態系にとってはマイナスです。
なので、菜食主義が徹底できるのは平地と温度に恵まれた
一部の地域だけ、といえるのです。
このように、生態学的に考えると
地球上の様々な環境・地域において最適な食料調達方法は異なると
いえるでしょう。気候区分、更に文化によって
パッチ状に様々な効率的な農業畜産が行われる、という未来が
持続可能な食料生産の形ではないかと考えています。
そこに昆虫も参加させたいですね。
そんなことを考えさせてくれた名著
生態学から「人類のあり方」を考える
「生体適応科学」
私の同級生も(おそらく)参加した
いい本が
東北大学GCOEの太っ腹会計のおかげで
電子書籍版無料!
内容は大学生向けですが、なにしろ無料なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
私達が「持続可能な食料生産」を達成するためには
多様な生物を利用する必要があります。
害虫や害獣をただ殺すのではなく利用し
栽培や養殖といった効率を上げる方法を採用し
「考えうる最高の持続可能な食料生産」
を達成した時、
理性的な、世界的な人口抑制政策が
取られると思います。
それまで、
私は学術的な調査研究を通じて
すべての生物を平等に扱い、
人類の共通知識を蓄積し、
最大限に利用する
「雑食主義」
をここに宣言します。
そして
「非昆虫食主義」という残念な偏見を打ち砕き
豊かな雑食文化を気づいていこうと思います。
賛同していただける方、一緒に考えませんか?
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa
HP:
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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