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直翅目は

甲虫類のように固い外皮はなく
成長も早いものが多く
世界中で多くの種が食べられています。

このブログでも数多くの直翅目を食べてきました。
私の研究相手の

トノサマバッタ
を始め
ヒゲマダライナゴ
ショウリョウバッタ

コバネイナゴ
ツチイナゴ
タイワンツチイナゴ
クルマバッタ、クルマバッタモドキ

オンブバッタ ショウリョウバッタモドキ

コロギス
キリギリス クツワムシ
エンマコオロギ アオマツムシ スズムシ サトクダマキモドキ
ヤブキリ クサキリ
クビキリギス
ヒメクサキリ
マダラカマドウマ
ヨーロッパイエコオロギ フタホシコオロギ
ミツカドコオロギ

そして、
今回登場 ケラ Gryllotalpa orientalis

しばらく会えなかったのですが、
昔から大好きな昆虫です。
Mole crkicket の英名の通り、
モグラのような生態で、土を掘りながら昆虫や
ミミズから植物の根まで
なんでも食べ、この重そうな外見に反して
泳いだり空も飛べる万能選手です。

多芸だけれどどれも一流でない様子を
「おけらの七つ芸」
と言われることもあり、ちょっとかわいそうですが。

タイでは灯火採集で多くのケラが食べられていますが
残念ながら養殖には至っておらず、研究用の飼育継代も
なかなか難しいのが現状のようです。

さて 写真を見てみましょう。


かわいい。 

頭をすっぽり覆うように張り出した前胸背板。
力強く土をかき分ける前肢
コオロギに似たふくよかさの腹部。
直翅目にしては貧弱な後肢。

丸く輝く瞳(複眼)

前胸と中胸の間がフレキシブルに動くのも
愛嬌が増す感じがします

直翅目ではコロギスとならぶ可愛らしさではないでしょうか。

子犬ぐらいの大きさでフェレットの飼育ケージ
飼えたらさぞ大人気になるでしょう。

ならないですか。そうですか。

さて
大事に味見いたしましょう。

味見
やっぱりうまいなぁ。英語名 Mole cricket(モグラコオロギ)の名に恥じないコオロギ味。甘みが特に強く、濃厚なコクがあり高カロリーな感じ。茹でても赤くならないのでバッタとは違う茶色色素がありそう。

このケラ
日本には小型のものしか分布していないのですが

熱帯のものはもっと大きく
フロリダ南部には害虫として侵入し
農作物に被害をもたらしています。

天敵の不在で増えすぎたケラが
植物の根を食べてしまうのです。
家畜用牧草地へ600万ドルの被害とのこと。

ここで活躍しているのが「サウンドトラップ」

オスの求愛歌を流すことで
交尾シーズンのメスを効率的に誘引し
産卵を妨害するものです。


こんな子供用プールに
バケツを付けたような簡素なもの


結果は絶大です。17,000匹のケラが一晩で採れたとのこと。



もう採れたてのエビ
にしか見えませんね。

伝染病の媒介ではなく、食害が問題になる場合
対策の要は「卵を産ませないこと」です。

そのためメスの対策が重要になります。

同様の目的で
不妊オスの放虫や、合成フェロモンによる
交尾撹乱などが行われる場合もあります。


もちろんサウンドトラップにも長所と短所があり
交尾器の春と秋の二回しかとれないので
落とし穴式トラップとも併用するそうです。

生態をうまく利用した収穫方法として
参考にしたいところです。

ケラをビニールハウスで養殖し、食べごろのメスだけ
求愛歌で集めて収穫、というのもいいかもしれません。









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無題
駆除技術がそのまま収穫技術に結び付くのが興味深いッス。けど茹でだと硬くないんですか?ケラって。素揚げにして塩なら美味しそうですけど
信州人(主に松本市) 2013/10/18(Fri)17:33:43 編集
Re:無題
ケラは甲虫に比べるとかなり柔らかいです。
ただ柔らかい部分が多いだけでなく、固そうな外皮の部分も
甲虫に比べると組成から柔らかい気がします。なので茹でで十分楽しめますね。
【2013/10/19 23:23】
無題
ケラは見た目もシャコに似てて美味しそうですね
ミーハー 2014/05/06(Tue)20:35:48 編集
Re:無題
ケラはいい味でしたね。
シャコも穴をほって棲むので形や機能が近いのかもしれません
【2014/05/08 02:00】
Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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