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今回は味見の話ではありません。
ご興味のない方はスルー推奨です。
当ブログのタイトル「蟲ソムリエへの道」は
今はまだ素人な著者が、
そのうち「蟲ソムリエ」になれたらいいな、
という願望をこめて命名しました。
では
「蟲ソムリエ」とは何になるということでしょう。
モヤモヤしていたので
ソムリエのことはソムリエに聞け、ということで
田崎真也さんの著書を読みました。
ソムリエは
まだ封を切っていないワインについて、
言葉だけの表現でお客さんに飲む決意をさせる仕事をしています。
味わえば一発で分かることを、
その前に言葉だけで伝える。
舌の確かさだけでなく、
言語での表現力が求められる仕事といえるでしょう。
そうなんです。蟲ソムリエもそうありたいものなのです。
では、
当ブログの過去のエントリを見てみましょう。
「ギンヤンマに似た味」
「典型的なコガネムシ味」
「何の味だよ!」とツッコミのコメントも頂いたようですが
全く仰るとおりです。
これではゼロ点です。
「虫を食べたことのない人に虫を伝える表現力」が必要になります。
どうすれば身につくのでしょうか。
田崎真也さんの著書の中で
「五感を鍛えるトレーニング」が紹介されておりました。
「五感でキャッチした感覚を言葉に置き換えて記憶するテクニックを鍛える」
「物事を多面的・多角的に感じる能力が優れてくるとそれを表現する言葉も増える」
「表現力が豊かになるということは感受性も豊かになる」
いいことづくめではないですか。
味だけですと味覚に偏ってしまうので
五感全てを動員して
「虫の魅力を虫に興味が無い人に伝える言葉のトレーニング」
をやってみることにします。
実はこの本を読む前から
漠然とやっていたことなのですが、
ようやくその意味が分かってきたのでここにご紹介したいと思います。
1,カマキリの女性らしさ
フランスで出会ったカマキリがとても女性らしかったので、
言葉でどう表現すればいいか考えた結果「緑の浴衣の見返り美人」
という結論になりました。
こちら。
とてもセクシーです。
2,シロスジカミキリの顔
シロスジカミキリの成虫を捕まえた所、大変ワルそうな顔をしていました。
ワルそうなサングラスをかけて、でも髪はおさげ、というどこかユーモラスな風貌に見えてきました。
ということでコチラ。
3.エビガラスズメの蛹の合わせ
エビガラスズメの蛹はどこか女性的なラインがあり
髪の長い女性が着物を着たような感じを思わせます。
「ブータンの王女」という表現に落ち着きました。
こちら。
4,ニイニイゼミのマッチョイズム
ニイニイゼミの幼虫を捕まえた際、羽化が始まってしまいました。
狭い殻の中から大きく上体をそらし、膨らむ様は
胸部の6つに割れた腹筋六本脚も相まって
ボディービルディングの選手のようなマッチョイズムが溢れていました。
こちら。
5,オナガミズアオの風格
頭部に豊かな黄色の触角をつけ、どっしりとした風格の白いボディ。
体の各部に鮮やかなピンク色の差し色が入り大変見応えがあります。
これは直感的に理解しやすかったです。
コチラ。
6,タガメの脱皮
食用にするかどうかわからないのですが、タガメを飼育しています。
脱皮直後はいつものくすんだ茶色とは似ても似つかない鮮やかな色をしているのですが
なぜか幼虫脱皮は緑色、成虫脱皮はピンク色だったのです。
その蛍光っぽい色と透け感が何かに似ていないかと
探した結果、見つけました。なんだか成虫と幼虫の色の違いが説明できたかのようで
大変愉快な気分になりました。
このように
「昆虫の魅力を何か別の言葉で表現するトレーニング」は
昆虫を研究し、
一般にその魅力を発信する際にも使える力が身につくと思います。
逆に考えると、
「なんかムズカシイことしてるんだね」と思われてしまう研究者は
「専門用語を別の一般的な言葉で表現する」
トレーニングが不足してるのではないでしょうか。
虫に対する風当たりが強い昨今、
「言葉にして伝える技術」が
虫と人とをつなぐ事になるのかもしれません。
このブログで磨くスキルとして、
大事にしたいと思います。
ユニコーンガンダムで多少なりともその空気感が伝われば、と思います。
あと若干サイコフレーム部分にフォトショで光るよう細工がしてあります 笑
食中毒は一度もないです。
ただ生食をされた方(パフォーマンスとして・研究として)
が大変なことになった、という話は聴きますので、加熱して食べることが肝要かと思います。
過去のエントリーまで興味深く拝見いたしました。
私も蜂の子などは自分で採って食べたりもするのですが、鱗翅目や半翅目(カメムシの方)はなかなか手を出そうと思えません・・・
ところで、昆虫の味を言葉で表現しようとする試みは、ワインよりずっと難しいのではないかと思います。
私たちがワインの味を「ナッツのような」とか「濡れた子犬のような(w」と聞いたとき、ワインの味のベースを知った上で、「ああ、そんな風味なのか」と想像します。
しかし、多くの人は昆虫の味のベースを知りません。
たとえば塩炒めにした蜂の子を「甘くてコクのある味」と表現したところで、世の中には多種多様な「甘くてコクのある食べ物」があるため、虫を食べたことがない人には味の想像が難しいのではないでしょうか。
もちろん、わかりやすい言葉で表現することの重要性には同意します。が、個人的には、Musihkurotowaさんのように情熱をもって「典型的なコガネムシ味!」と言って頂けた方がワクワクします。
これからも情熱あふれる記事を心待ちにしております。
「昆虫の味のベース」は穀物やナッツのように
脂質やタンパク質を蓄積した植物の種子によく似ています。
食べなれると「虫っぽい味」というものも分かってきますし
「コガネムシ味」のような昆虫同士の味の類似性も
重要な情報なので、記していきたいです。
ただ、
食べ慣れないと最初は「味わう」ところまでいきません
初めての方は「食べられる!」という驚きの方が強いようです。
ということで
今のところ、このブログでは「まだ食べてない方」むけの書き方で
その昆虫独特の風味や味まで表現しきれていないと思います。
昆虫料理を楽しむ人が増えると、
その先の、本家ソムリエが表現するような微妙な味わいまで
表現出来るようになりたいですね。
特にオナガミズアオとタガメなんてそっくすぎです。思わず画像を保存させていただきました。
私は虫嫌いなのですが、少し表現を変えることで今回は虫に対する嫌悪感が緩和された気がします。そっくりな画像を見つけてこられることがまたすごいです。
「少し表現を変えてみる」というのは
人と人とのコミュニケーションにおいても有効なツールかもしれません。
また画像みつけましたらご紹介します。
石ノ森漫画はヒーローが昆虫由来のものが多いのが特徴です。
トノサマバッタを見た後仮面ライダーを見るとうまく特徴を捉えていて感心します。
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このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net
2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加