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当ブログでは、
「昆虫学をベースとした昆虫食開発」を実践してきました。
その基礎段階として今までに176種類の昆虫の種・ステージ・調理法を比較し、
昆虫を食材とするにあたっての基礎的な情報が集めてきました。
が、
「昆虫食の最大の問題は昆虫に対する嫌悪感である」
と
多くの昆虫食界隈の人たちは考えています。
ENTO と名付けられたイギリスのプロジェクト
「アートでカッコよく、昆虫の姿を見えないようにして嫌悪感を無くする」
というものでした。
ですが、
「姿が見えるから昆虫に嫌悪感がある」という推測は
エビ・カニ・小魚などの「姿の見える食品」が
好んで食べられている事実と一致しません。
私の考えですが、
昆虫への嫌悪感はもうちょっと複雑で、
この製品は昆虫を破砕して「昆虫という認知をぼかす」ことで
昆虫っぽくない食品を創りだすで昆虫嫌悪感の回避に成功したのでしょう。
さて
「破砕昆虫入の昆虫っぽくない食品」は
2つの問題を持っています。
1つは調理の問題。
破砕すると昆虫の特色である歯切れのよい外皮の食感が失われてしまいます。
「えびはえびしんじょ以外ダメ」と言われると途端に味気なくなります。
昆虫食を食文化として定着させるためには
多様な食べ方も食品としての魅力になりますので、粉末一辺倒は避けたいところです。
2つめは認知の問題
「昆虫という好ましくない成分が混入している食品」が
果たして定着するでしょうか。それに継続的な付加価値がつくでしょうか。
食品に採用される昆虫は養殖モノになることは確実ですので
(採集品だと大きく生態系を破壊する可能性があります)
昆虫が入るということはそれだけ高価になるということです。
最近
コオロギバーなるものがアメリカで売られ
ニュースになりましたが
食べてみたところ甘くてとてもタンパク質補助食品とはいえませんでした。
「そのタンパク質はなぜダイズ(soyjoy)ではいけないのか」
という問いにも答えるものではなく、一時のブームに終わると考えられます
そのため「定着した常食」になるためには、
「昆虫は好ましい食品であること」という
根本的な昆虫に対する認知の転換が必要だと思います。
そこで、
「昆虫嫌悪症=entomophobia」とその克服について調べたのですが
収穫はいまひとつです。
Feelings Into Words
Contributions of Language to Exposure Therapy
クモに対する嫌悪は言語で詳細に表現することで低減する
という論文に行き着いたのですが、これもアメリカ人のタランチュラに対する嫌悪症の
論文で、日本の昆虫嫌いを反映したものとはとても言えませんでした。
昆虫食の伝統がある日本でなぜ近年、昆虫がここまで嫌われるようになったのか
年齢によって、種によって昆虫への嫌悪感が変遷するのはどんな要素が考えられるのか
昆虫ぎらいを再生産する構造にはどのようなものがあるのか
なぜ昆虫嫌いは本人の意志で克服できないのか
という「日本人独自のむしぎらい」に
先進国と昆虫の新たな関係性が見られると考えています。
ということでたちあげました
昆虫食研究スピンオフプロジェクト
「むしぎらい文化研究所」
twitter: Mushi_Girai どうぞ末永くご贔屓に。
投稿者・研究者を募集しています。
一緒に日本の独自の新文化、むしぎらいについて
考えてみませんか?
というわけでしばらく更新止まっていたのは
コチラをやっていたからであります。お待たせしました。
ちなみに
一つの答えは既に出ています
「むしを食えばむしぎらいが克服できる」
これは紛れもない事実です。ヒトは単純なもので
美味しい生物はどうしても嫌いになれないのです。
ただ「食う前」に克服出来ればそれに越したことはありません。
ということで
「昆虫を食う前プロジェクト=むしぎらい文化研究所」
ご協力をお願い致します。
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このブログは以下に移動しました。http://mushi-sommelier.net
2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。
2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加