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以前から食べたいとお願いしていた
ネムリユスリカPolypedilum vanderplankiを頂きました。


ネムリユスリカはアフリカ原産のユスリカ科(カ科ではないので血は吸わない)で
昆虫で唯一乾眠状態= クリプトビオシス(乾燥無代謝状態)生物です。

クマムシと並んで極限状況への耐性をもつ多細胞生物として知られています。
一旦乾眠状態になると有機溶媒・熱・低温・放射線にも強く宇宙空間に出されても耐えられるそうです。

詳しくはネムリユスリカ研究室のページをどうぞ(ネムリユスリカ研究室


より大型の近縁種
アカムシユスリカは、金魚用のエサや
唾液腺染色体の観察実験でもおなじみですね。

このユスリカ
乾眠状態になるとトレハロースを蓄積するとのこと。
哺乳類のものとは異なる独自のヘモグロビンを持っていること

が特徴ですので
味見のポイントとしては
1,乾眠状態のネムリユスリカはそうでないものに比べ甘いか
2,ヘモグロビンを含むため鉄の味(血の味)がする

このあたりでしょうか。

生きがいいですね


このまま茹でると散逸してしまうので、
だしパックに入れて茹でます。 ヘモグロビンが鮮やかです。


茹でると赤色がくすんでしまいます。
糸唐辛子のように料理のアクセントとしては使えないようです。残念です。



味見
食感はほそもずくのような小気味の良い感じ。茹でると鮮やかな赤から一転、鈍い赤茶色になってしまうのが残念。だしパックにいれてから茹でたので塊となっておいしく食べることができた。血の匂いも殆ど感じず、味付けによってはかなり色々楽しめると思う。

続いて乾眠状態のものを。


味見
ポリポリと食感がよく、かすかに血ににた鉄臭さがある。茹でより鉄の匂いが強い。からだによさそう。カツオふりかけのようなみりん(トレハロース?)に似たかすかなあまみがある気がする。

残念ながら乾眠によって上昇したトレハロースの味を
味覚ではっきりとは感じることはできませんでした。

ただヘモグロビンの味(鉄臭い味)はヒトの血に近い強さですので
利用用途としては富栄養化した地域での重金属の吸着や
妊産婦への鉄サプリメントとして使えそうです。

最後に
ネムリユスリカを提供していただき
ブログ記事への利用許可を頂きました
農業生物資源研究所 奥田隆 様 に感謝致します。

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無題
常に斜め上の発想を行く味見実験には恐れ入ります。赤虫を食べるという発想は私にはありませんでした…しかしなかなか美味しそうですね!
葛粉などでとろみを付けた調理との相性が良さそうな気がしますね。
tomonari1122 URL 2013/06/19(Wed)20:07:09 編集
Re:無題
コメントありがとうございます!
いわゆる通常の赤虫
「アカムシユスリカ」はもっと大型なので食べごたえがあるかもしれません。衛生的に飼えるのであればチャレンジしてみたいです。
血のような味があるので、生姜湯のような臭み消しととろみを合わせたものが合いそうです。
昆虫学からシームレスに料理開発までつながると想像が爆発的に膨らんで楽しいですね。
【2013/06/20 01:36】
Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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