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モンクロシャチホコを捕獲していたら
同じ木に歩いているのを見つけました。
モモスズメ Marumba Moore



スズメガ科の一部の昆虫は
美味しいことが知られており、
1919年の三宅らの調査で日本でも食す地域があったようです。
現在でもボツワナのサン族がエビガラスズメを「ギュノー」と呼んで食しています。

スズメガ科まとめ
エビガラスズメ セスジスズメ クロホウジャク コスズメ  ブドウスズメクロメンガタスズメ シモフリスズメ オオスカシバ )

スズメガのボリュームと味、モンクロシャチホコの桜の香りが
合わされば、無敵の美味しさなのではないでしょうか。

味見
思いの外桜の香りは強くない。葉の苦味も少しある。
典型的な豆腐系スズメガ幼虫の味。内部はゼリー状でとろみも感じられる。
顆粒状の外皮は食感がツブツブして面白く、
味の絡みが良いので、スズメガ科のバリエーションとして楽しい。

ふむ。意外とサクラケムシほど香りが強くありませんでした。
そもそも桜の葉ってどんな味だっけ?と思い食べてみました。
確かに葉を食べても桜の香りはあまりしません。苦味がありました。
噛んでしばらく放置すると
酵素反応が促進され、クマリンの香りがしてきます。
この時、赤茶色の色変化が起こります。紅茶に似た色です。
ウィキペディアによると、
液胞内外の酵素反応によって生成されるとのこと。膜構造を破壊することが必要なようです。

とすると
モモスズメやカレハガキバラモクメキリガはそれほどクマリンの香りが強くなかったので

サクラを食草とする昆虫の中でもモンクロシャチホコは酵素反応を促進したり、
積極的にニオイ成分を取り込むことで捕食者への防御
(高濃度のクマリンは肝臓毒性があります)として
利用している可能性があります。

香りがよく味も良く、見た目も良い昆虫は、
そう簡単には見つからないのかもしれません。

さて

昆虫はその代謝エネルギーを太陽に依存しているので、
サクラ+サクラケムシは太陽光を二度使って特定の成分を精製、濃縮する系といえるでしょう。

生産された天然成分を精製する過程で、
より太陽エネルギーをしつこく利用する方が石油資源に依存しない物質生産につながります。

とはいえ、
現代は有機化学が発展しているので、石油依存型の有機物質生産の効率は凄まじく、
クマリンも安価に化学合成ができてしまいます。また、天然物抽出に関しても
精製された有機溶媒を使うことで、より短期間に、安価に達成できます。

サクラケムシを養殖して「天然クマリン」と称したところで
なかなか合成クマリンに経済的に勝つのは難しいでしょう。

昆虫の利用は経済的に考えるとなかなか難しいですね。

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ナナフシモドキ Baculum elongatum いわゆる普通のナナフシ。
近縁種のエダナナフシは触角がずっと長いことで区別できます。
これは短いのでナナフシモドキ


体は軽いですが手のひら一杯に広がるサイズ感はなかなか見応えがあります。


このナナフシモドキという名前。本家「ナナフシ」という昆虫がいるわけではないそうです。
ナナフシ=枝に擬態している=モドキというのが本当のところだとか。

とても納得です。
今まで「モドキ」の用法には気に入らないところがありました
今まで食べた中でもいくつかありました。

 ショウリョウバッタモドキ ショウリョウバッタ
 クルマバッタモドキ クルマバッタ
 サトクダマキモドキ クツワムシ(別名クダマキ)

いずれも互いに近縁種で、区別できる特徴=識別点がはっきりと定義されているにもかかわらず
和名にはそれが反映されていません。

ハチやアリなど、攻撃性や毒のある昆虫を擬態するなら
「モドキ」という擬態目標を示すことでその生物の特徴を表現できるのですが、

同種の似た生活史の昆虫の間で「モドキ」とはなにごとかと。

見ためが似ていて別種ならば何らかの区別できる特徴があるはずで、
それを名前につけるべきだ、と思います。

ともあれ 味見です。

木に擬態しているだけあって本当に枝や葉のよう。かるい消化管内容物の苦味と固く弾力のあるクチクラ、内部の味はほとんど感じられない。「細くて大きい昆虫」は外骨格への投資量が多いので、身と外皮のバランスが悪いようだ。世界最大のマダガスカルオオトビナナフシとかも固いと思う。

ナナフシモドキは味までナナフシ=枝に似せている、
正真正銘のモドキの用法といえそうです。


話は変わりますが、

今年度も私が所属する
食用昆虫科学研究会 は
サイエンスアゴラ2013に出展します。
サイエンスアゴラとは日本科学未来館で毎年開催されるブース形式の一般向け科学イベントです。

毎年昆虫食のブースを売店の隣で開いています。
ぜひお越しください。

ここで「のぼり」のような客引き用の広告があればと
いろいろ探したのですが

1,一つしか作る予算がない
2,印刷物の場合、複数作るほうが安くなる

ことから、のぼりをつくると版型の価格が高くなってしまいます。

そこで
「もう手作り一品物のほうが安いのではないか」
と思い始めました。

そして、「のぼり」で伝えたいことは何か。

1,昆虫を出すブースである
2,光る
3,食欲をそそる

ここから得られる答えは

そうですね。 提灯です
※画面は開発中のものです


これは近くの百均でみつけた提灯に
印刷したものを貼り付けた試作品ですが

現在注文中のものは
浅草の職人が一品ずつ手描きしたものになります。
サイエンスアゴラで
食欲をそそる赤ちょうちんを見かけましたら
我々のブースですのでぜひお立ち寄り下さい。
お酒の一杯は出せませんが、なにかをご用意しております。








背中のハートマークが可愛らしいツノカメムシ。
エサキモンキツノカメムシ Sastragala esakii



以前ヘリカメムシ科(ホシハラビロカメムシ キバラヘリカメムシ)は青りんごの香りがすることを紹介しましたが、

ツノカメムシ科はまだ攻めていませんでした。

また、私はパクチーがキライなので、
青りんご系以外のカメムシ臭はキライです。

ツノカメムシもいい香りであってほしいものですが

軽く嗅いでみると残念ながら食べる前から負け確率濃厚。であります。

でも食べないことには味見ブログになりませんので。
あと可愛らしい好きな昆虫なので、ぜひ美味しくあってほしいものです。

味見
わずかにヘリカメムシ系のりんごの香りがあるが、ほとんどパクチー系の普通カメムシの臭いと味。おいしくない。食感は悪くなく、色味もいいので臭いを飛ばしてしまえば食べられそう。

可愛いアイドルがウ◯コをしていたような
ちょっと冷める感じの落胆を感じました。
以前に偶然セミヤドリガに寄生されているヒグラシを発見し、その味を紹介しましたが、

虫界の風雲児、メレ山メレ子さんが セミヤドリガ蛹を手に入れたのこと。
すかさず「食べたい!」とリプライ致しました。(ダメ元で)

すると
なんとメレ子さん、送ってくださるとのこと。
即日発送はアマゾンレベル。楽天を遥かに上回る対応で手元に届いたのでした。

なんと一匹羽化! これは比べがいがありそうです。

セミヤドリガ Epipomponia nawai




繭はこんな感じ。セミヤドリガ幼虫に似た淡雪のようなホワホワで包まれていますが
繭自体はしっかりした繊維で固められています。




小さいながら緻密に成虫の構造が計画されているのがわかります。
コンパクトで機能美あふれる姿ですね。


味見
成虫:シャクっとした食感とほのかに甘い味。ほとんど味がない。小さすぎてわからず残念
蛹:やはりシャクっとした食感とプチプチとした歯ざわり。味はよりわかりやすい。木質系の甘い味。特徴はない。

幼虫のときに既に穏やかな味だったので、成虫や蛹は余計に地味な味なのでしょう。
セミヤドリガの蛹は杉の木などで見つかるそうです。

やはりオススメは幼虫期ですね。
幼虫時にヒグラシを取り、ついでにセミヤドリガが付いていたら大当たりだと思います。


さて、
話は変わりますが 今回セミヤドリガをお送り頂いた
メレ山メレ子さん
秋田のブサカワ犬、わさおを世間に紹介した強力なキュレーターとしても有名です。
食用昆虫科学研究会主催の2012年8月、つくばセミ会でお会いしたのが最初なのですが
とても面白い試みを仕掛けています。

まずは昆虫大学
我々昆虫料理研究会も学食として参加した昆虫イベント。
当ブログでも紹介しましたが、
「アカデミック・アート界の昆虫のプロ同士と全くの素人と引きあわせたイベント」
としてとても将来性のある試みだと思っています。

昆虫食の活動を通じて、
「昆虫学に全く精通していないけれど『昆虫って面白い』と思ってくれる方」
が多いことに気づいてはいたのですが、
昆虫大学のように具体的に他分野の人同士を繋げることで
更に世界が広がっていくと思います。

引き続いて
虫フェスにゲストとして来ていただき、様々な投稿昆虫創作料理
を味見・評価していただきました。

更に
幕張メッセで開かれた ニコニコ学会では座長を務めた
「むしむし生放送」では、アカデミックの研究者が日頃行っているプレゼンを
一般向けに放出してしまうとどのような事件になるか、
という未来の学会の形を提示しておりすごいことになっています。
この時「クラウドファウンディング」で学会登壇者の旅費を集めた点でも先鋭的ですね。

最近は
web媒体での連載 「ときめき昆虫学」
でヒトと昆虫と昆虫学の素敵な関係を、直感的でかつ文学的な文章で綴っていらっしゃいます。

ここで私が注目しているのがFACEBOOK上での「ダメ出しコメント」です。

「昆虫学」の分野で情報を発信する以上、
学術的に間違った用語の使い方や、情報を発信するのは避けるべきです。
そのため、印刷媒体の図鑑や専門書は、ものすごい回数・人数の校正を加えます
ですが、
著者の直感的な印象や共感する感情の動きが見えにくく
読み物として平坦な印象になりがちです。
情報のみで興奮できる(笑)専門家のみの書籍になってしまうのです。

メレ子さんは専門家でないため、
隔週の連載ではやはり用語の間違いが発生してしまいます。
それを目ざとく見つけ、指摘する虫屋の各専門家の方たち。

このやりとりが大変エキサイティングです。

このようにリアルタイムで原稿を公開し、
リアルタイムで校正され、
構成済みの文章をまとめ、書籍化するという一連の流れは

昆虫全般に関する書籍を単著で執筆するにあたって
ハードルを下げるものだと思います。
ぜひ盛り上がってほしいものです。

昆虫界の専門家を引き付ける社交性も
メレ子さんのキュレーターとしての力かもしれません。

近年盛り上がってきた「科学コミュニケーション」という分野も
ただ専門家の用語を噛み砕くだけではなくて、
専門家・専門分野の魅力を新しい形で、全く別の人に向かって発信する
「攻めの姿勢」を持ちたいところです。

「キモい オタク わけわからん」と言われながら
果敢に社会に発信する打たれ強さを、現在の社会から研究費を得ている
研究者も自覚すべきだと思います。
「研究がしたい。一般人の相手なんかしたくない」という研究者は
一般の相手をすることで分野全体を盛り上げようとするキュレーターを
応援してほしいと思います。


ということで、
メレ子さんの動き、引き続き(ストーカーのように)追っていきます。















サクラケムシを採っていたら、足元にアリジゴクがあるのを見つけました。
サクラケムシのような大型の鱗翅目ですら、アリジゴクの餌食になるようです。

掘り出してみるとあの幼虫が。

ウスバカゲロウ Baliga micans


以前に成虫を食べていました。

アリジゴクの唾液にはテトロドトキシンの130倍の毒が含まれているとのこと。
これは共生細菌エンテロバクター・アエロジーンズが唾液中に生産するタンパク性の毒。

ま 捕食用ですし微量なのでそんなに気にする程ではないと思いますが。
タンパク質の毒なので、必ず加熱して失活させておきましょう。

茹でて味見
けっこう苦味がある。テントウムシのような青臭さは全くなく、外皮も柔らかい。
うまみが全く感じられず内部は液状。おすすめの味ではない。

運動性も低く、ぷっくりとしていて美味しそうだったのですが
あまりおすすめできる味ではありませんでした。昔から好きな虫なので、
美味しくないことがわかったのでそっとしておきましょう。



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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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