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K大学の教授から分けていただいたオレンジヘッドローチ。 Eublaberus prosticus?


羽化直後で柔らかかったので、これを味見することに。

彼らはGの中でかなり大型。デュビアとマダガスカルの中間ぐらい。
厚みもあって垂直な壁も登れない。しかも食欲も旺盛で
とても飼いやすい。

ただ
飼っていると臭いのが難点
蒸れた靴下に腐ったミカンを入れて野ざらしにしたような酸味のあるニオイとムレた不快臭。

正直味見するのを延期してきましたが。

これだけ美味しそうな成虫がとれたのだから食べてみましょう。
大型の昆虫は部位別で食べられるのが強みですね。

翅;クニュっとした食感とシコシコした歯ざわりが美味しい。旨味もあり昆虫の羽ではかなり美味しいレベル。

頭部;芋系の香りと粒感のあるタンパクな味。全くエグみがない。

胸部;かなり美味しい。やはりサツマイモ系の香り。
見た目で気になる脚部のトゲも食感は柔らかく、問題なく飲み込むことが出来た。

腹部;やはり強いゴキブリ臭。集合フェロモンの強い匂い。味は問題ないはずなのだが濃いニオイがダメ。調理前に腸を切除するか、揚げて揮発させる必要があり。

非常に残念。

腹部さえおいしければ100点なのに。
カミキリムシはコーン系の最上位種。ゴキブリは芋系の最有力候補 だったのに。
腹部の付属腺あたりから通常の食品では考えられない
濃い有機系香料のニオイ。

なるほど。 以下考察。
ヒトの嗅覚は数個の分子でも感じるほど敏感にできていて
しかも他のニオイ情報と混線しにくい仕組みになっている。
(2004年ノーベル医学生理学賞)
ので、
ある食べ物を口に入れると
複数種のニオイがそれぞれ異なるニオイとして知覚される。
そして
それぞれが一定以下の濃度だと「風味」として処理され味覚が優先される。

ところがある単一のニオイ刺激を強く感じると
味覚と分離することは困難になり「非食用」となる。

以前食べたシュールストレミング(ニシンの発酵缶詰)も味は良いのだが
下水の中で食べている感じで、ニオイはどうしても無視できなかった。

味とニオイを分離するには
ニオイが一定以下の濃度であることが必要なのかもしれない。

ということで、
うちのオレンジヘッドは「揚げ調理」もしくは生ごみ処理として飼育することになりました。
食欲旺盛でなんでも食べるので、おすすめのゴキブリではありますが
味まで都合よく「美味しい」とはいかないようです。





 

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冬になり、あまり野外の昆虫が手に入りにくくなって参りました。

今こそ養殖モノを、と考えてはいたのですが
養殖モノはその名の通りいつでも手に入るので
なかなか手が出ません。

今のところ
デュビア
オレンジヘッドローチ
マダガスカルゴキブリ
G三人衆が元気に野菜くずを食べてくれているのですが。。。

さて、
今回は野外のチガヤで幼虫越冬していた
チャバネセセリ。  Pelopidas mathias


アタマが大きく特徴的な体型をしています。
いつものように茹でポン酢で頂きます。

プチッとした触感と頭部のカリッと感。香りは強くなくほのかにワラの香り。
他のイモムシに比べアタマが大きいので若干ぷちっと感にカリッと感が加わりお得。おもしろい。
内部は粒感のあるタンパク系の味。

イモムシ類はプチッとした触感が魅力ですが
あまりに弾力ばかりだとクチクラのカリッと感が懐かしくなるものです。

その点でいうとチャバネセセリは両方楽しめる感じがいいですね。
「カミキリムシが美味い」
というのは昆虫食を検索した方なら必ず目にすると思います。

しかし、生木に住むことから、採集に大変手間がかかり、
薪割りの風習も少なくなってしまったことから、たっぷり食べられるほど
取れなくなってしまいました。

「テッポウムシ」と言われ大変美味なのです。

さて、
今回はとある方から頂いた
シロスジカミキリの蛹  Batocera lineolata


美しいですね。
塩ゆでにして何も味付けせずに頂きました。
例えるなら焼きバターコーン。
香ばしさとクリーム感が最高です。
食べ慣れないニオイや臭みがないので
初めてでもすんなり食べられてしまいます。

この蛹、あえて「完品」をおねがいしたのですが
造形として大変美しいので写真を撮っておきたかったのです。
チャームポイントはクルッと巻かれた触角。
カミキリムシによって巻き方に個性があります。

比較してみましょう

参考 ゴマダラカミキリ  Anoplophora malasiaca


体に対して長いので巻き数が多くあります。中世ヨーロッパのような
上品な緻密さのある印象

ベニカミキリ Purpuricenus temminckii


こちらも長いのですが、渦巻状でなく、
肩を二周する 楕円の軌道をもった巻き方です。
ロープを巻きとってしまう様子が想像されます。

クワガタ採集をされる方はけっこう朽木を割って
カミキリムシを見つけるそうです。
ぜひおやつとして食べてみてほしいものです。


追記

この美味しさを何かで再現できないかと
twitterに書いた所、アイデアを頂きました。

「ライスペーパー」
弾力がなく、フィルムのような感じが蛹の表皮にそっくりだと思います。

ということで検索すると

米粉150g ,片栗粉50g、水300gをまぜ、
大さじ二杯をのばし
レンジで一分半加熱すると出来るとのこと。

米粉ある!

次に内部の餡。
インスタントのコーンスープがあったので
水で溶いて片栗粉で粘度を調整。
良さげなところでこちらもレンジで二分。

カピカピにならないうちに巻いて
香ばしさを出すために表面を焼く。

できた。


餡はもっと脂肪分の多いクリーム状態だったので
改良の余地あり。

表皮のフィルム感はかなり再現できていました。
アイデアありがとうございました。

「昆虫料理を既存の食材で再現する」
というのも新しい切り口である可能性があります。
普通の食材から想像される「共通の味のイメージ」が
新しい食材への嫌悪感を中和しうるかもしれません。

というか思い立った時に
材料が全て手元にあったことにびっくり。 笑
以前食べたツチイナゴ

の近縁種、タイワンツチイナゴを頂いた。
ボスの許可をいただき試食する。

タイワンツチイナゴ Patanga succincta


巨大。普通のトノサマバッタから更に二回りほどデカイ。
右は比較のためのツチイナゴ。

足のトゲも強力で、蹴られたら血がにじむほど。
♀は80mmを越える日本最大クラスのバッタ。


ハネに鮮やかな赤色が入り、飛ぶと美しい。

ううむ。大きい。

実食

脚;この大きさなので、内部の脚肉だけを食べることができた。甘さとタンパク質の穏やかな味と繊維質ではない芋のような粒感のある食感。このサイズでようやく脚肉を感じられる大きさに。味はコオロギに近い。

体;大きさの割に軽い。性成熟をしないまま越冬するので、今の時期は成虫で
ありながら内部は空っぽ。カラッと揚げてサクサク食べると美味しい。味はもちろん良い。

タイ食材店では揚げたものが冷凍で販売されているのですが、
今回国産のものが手に入り食べることが出来ました。
調理済みだとわからない微妙な味の違いがわかり大変美味しかったです。

前回養殖2種を味見しましたが、日本の秋の旬としては
はずせない、鳴く虫。

エンマコオロギの♀を頂きます。

エンマコオロギ Teleogryllus emma


丸々と太っていておいしそうです。
この中には卵が入っていると思われます。

試食
お腹いっぱいに卵が詰まっており、プチプチとした食感が楽しい。香ばしさは余り感じられず、卵のコクが特徴的。やや前2種よりも外皮が固い。産卵期でなければまた違った味わいを楽しめるだろう。

鳴く虫の飼育は歴史が古く、江戸時代にはもう
「虫屋」と呼ばれる養殖業者が存在していたそうです。
(加納康嗣 著 鳴く虫文化誌

音で聞き分けることで たくさんの種を楽しむ文化が日本にはあります。
今度は味で楽しんでみるのもいいかもしれません。

Mushi_Kurotowa
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プロフィール
HN:
Mushikurotowa 
性別:
男性
趣味:
昆虫料理開発
自己紹介:
NPO法人食用昆虫科学研究会 理事長
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2008年「なぜ昆虫に食欲がわかないのか」研究を開始
食べたらおいしかったので「昆虫食で世界を救う方法とは」に変更。
昆虫の味の記載から、昆虫の特性を活かしたレシピの開発、イベント出展、昆虫食アート展覧会「昆虫食展」まで、
様々な分野の専門家との協力により、新しい食文化としての昆虫食再興を目指す。

2015年 神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学
テーマは「昆虫バイオマスの農業利用へむけたトノサマバッタの生理生態学的解析」
2018年よりラオスでの昆虫食を含めた栄養改善プログラムに専門家として参加
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